2019 . 3 . 7

目頭形成術単独はこんなに自然で美的形態と開瞼機能が向上。

このところZ−形成法による目頭切開が認知されて来た様です。根気良くブログで説明して来たからでしょうか?。一部の患者さんがインスタグラムに載せて下さったからでしょうか?。とにかく正しい手術法が患者さんに知れ渡ったからでしょう。

目頭部の蒙古襞には個体間の差異があります。 遺伝子が決定しますが、統計上一重瞼の人と二重瞼の平均的な差異は内眼角間距離で3㎜と判っています。最も眼球の距離と顔面幅にもバリエーションがあり、横比率のバランスが大事ですから、距離が最重要ではありません。要するに蒙古襞の被さりと狗縮度を診て形態と機能の改善制を見極める必要があります。また鼻根の壁が3次元的に見え方を左右しますし、鼻翼の幅との比率や顔面の縦のサイズとの比率も診なければなりません。

そもそも蒙古襞は被さりをメインに診断基準とされて来ましたがそれだけでは片手落ちです。私達は狗縮による開瞼の阻害という意味での機能障害と、下眼瞼に向かう吊り目という社会的に影響する形態的特徴を重視して目頭形成を行なって来ました。

その為にはゼッタイ!。Z−形成術が適切な手術法と科学的見地から断言します。狗縮とは、蒙古襞が下眼瞼に付着していて皮膚眼輪筋が伸びない事です。水かき状とも言えます。この狗縮を解除するにはZ−形成術が最適なのは形成外科医に執って科学的に自明です。科学といっても中学生で習う幾何学に基づいている初歩的原理です。したがって数字上幾何学的に計算通りの結果になります。

これまで何でこの手術法が普及して来なかったのか不思議ですが、形成外科の初歩的研修を受けていないと知り得ないからです。またぞろ強調しますが、医師は免許を得た時点ではメジャー科目の初歩的知識しか持ち得ません。形成外科の様な専門分野の知識は医師になってからの研修で身に付けていきます。ましてや、医師になって直ぐの新人を執ったり他科からの転向を求めるチェーン店系(医師のソースが無い)では学ぶ土壌が無いからです。

Z−形成術は形成外科診療の基本です。私は15年形成外科医として一般病院(主に徳洲会)で診療していましたから、熱傷(やけど)で指の間が水かき状にくっ付いたのを治した事もあります。歩くのに不便な外傷性(怪我の痕)に狗縮した足背(足の甲)の瘢痕も解除して歩行困難を解決した事があります。もし昔に形成外科医が存在したら野口英世は治せた筈です。

とにかくZ−形成法の目頭形成が普及する事を祈ります。尚、目頭の蒙古襞は切り取ってはいけません。あくまでもZ−形成は皮弁の入れ替えに因って狗縮を解除し、被さりを減らす手術法です。ですから今から、目頭形成と称します。

症例は25歳女性。口周りの診察時に鼻の手術の既往:一昨年韓国でクローズ法。追加手術予定。E-ラインが+3mm。軟骨移植追加を予定していた。目頭も治せば鼻骨骨切りは不要と考えた。本年に入って再診。細かい計測は省いて、蒙古襞の狗縮が見える。蒙古襞の被さりもある為に内眼角間距離がある為に鼻根の高くないのが目立つ。形態と機能を改善したい。眼瞼はよく開いて重瞼も定着している。目頭形成を希望し、一辺4㎜のZ-形成法を予定した。

画像を診ましょう。

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上左の画像は術前。蒙古襞の縦の狗縮が強い。

上右の図の左側の如く、一辺4㎜のZ型の2枚の皮弁=皮膚を一部付けたままめくり上げて(観音開き状態)、図の右側の如く入れ替えると、一辺4㎜なら、縦距離a-b(蒙古襞の縦の突っ張り)がa’-b’に3㎜伸びて狗縮が和らいで、横距離(=蒙古襞の被さり)がc-dが3㎜減ってc’-d’になり約1.5㎜横に動きます。図は左目です。下図の如く目頭にデザインします。

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開閉両図を診ても縦の辺a-bは蒙古襞の稜線にあるのでよく見えません。上の辺a-cは見えます。下の辺b-dは蒙古襞の下端から下眼瞼に向かいます。丁度縁に黒い線が見えます。

皮弁を入れ替える前に眼輪筋を内眼角靭帯(正しくは腱)、medial palpebral ligament (tendon) から、眼輪筋を外していきます。目頭の裏側は靭帯の付着部で、これを下から横に動かしたいからです。

IMG_0130入れ替えると目頭が横に向きます。蒙古襞の突っ張りも消失します。内眼角間距離は約2.5㎜近づきます。

IMG_0325術後1週間で抜糸しました。開瞼が向上しています。目頭部分の蒙古襞の狗縮(=突っ張って下眼瞼に繫がっている)が解除されると目を開き易くなります。内側の二重も存する様になります。内外の白目の見える面積が均等化しました。決して寄り目になりません。

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近接画像で診ると、涙湖が見えます。この程度は自然にもあり得ますが、創の癒合時に引かれているからで徐々に緩んで丁度良い露出量になります。開瞼が向上して吸い込まれる様な目元です。

今回は術前術直後から術後1週間までの経過を載せました。同時に手術法の解説とそのコンセプト、方法論の優位性について書きました。結果は次回もっと良く判ります。お楽しみに!

術後1か月で来院されました。形はいいのですが、撮影時に前頭筋が収縮して眉が挙がり、くぼみ目が見られますし、三白眼となっています。何故でしょう?。眼瞼下垂の合併症でしょうか?。今後また診察していきます。

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当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。