2022 . 6 . 1

眉下切開(切除)は保険適用の手術ですが、ご厚意でブログ掲示をさせてもらえました。

いきなり手術中に話が纏まって、眉下切開の画像を頂きました。ありがとうございます。患者さんは友人の紹介で手術に到ったのですが、その為かお互いの信頼関係が深く、そもそも明るくフランクな(私も)人で、今後も更に友人を紹介頂けるそうです。そんな話しをしていて、私もついお願いしてみたら、「皆さんに魅せてあげて下さい。」と、悦んで承諾して下さったのです。

眼瞼形成術は幾つかに分けられます。重瞼術は、一重瞼のアジア人には古来行われてきました。三国志にも載っています。日本でも戦前から眼科医が行い、論文も発行されています。戦後にUSAからGHQが戦傷外科として、形成外科医も含めて医師団を連れてきて、当時の形成外科のの眼瞼形成術の最先端を手解きしました。眼瞼下垂手術も含みます。昭和51年に日本政府が形成外科を標榜科目にします。当然に眼瞼”形成”術の中でも眼瞼下垂手術は保険収載されます。

眼瞼形成術の中で、眼瞼下垂手術は保険が広く摘要されていきます。医師の診断根拠が有意ならです。ただし厚労省の見解としては、切開手術に限ります。いつも私は書いてきましたが、診断と相談が必須です。眼瞼下垂症は、第一眼位での瞼縁の位置が角膜に2㎜以上架かれば診断が下ります。また、第一眼位で前葉成分が瞼縁より下にあれば、病的と診断されます。

細かく書くと、眼瞼下垂手術は3種類有ります。1−挙筋前転法と2–吊り上げ法と3−その他の方法です。1は眼瞼挙筋腱膜の縫合です。先天的に挙筋力が弱い場合は短縮して瞼板に縫合します。後天性に挙筋腱膜が瞼板から外れて(とはいってもバラバラでなく伸びた状態)来たら、瞼板に縫い付けます。どちらも挙筋の前縁を前に持って来るのでこの術名です。2は先天性に挙筋筋力が、下から上まで動く距離が8㎜以下とかなり弱い症例には、前転すると目が閉じなくなるので、眉と繋げる手術法です。繋げる材料は多種あります。目を開く際に眉を挙げても、皮膚は伸びるので瞼縁を挙げる程の力が働かないのですが、眉と瞼縁を硬い者で繋げると、眉を挙げたら瞼縁が同じ距離を挙がる様になる仕組みです。開く程度の調整の為練習が必要となります。3は前葉性の眼瞼下垂症に適応します。第一眼位(*脚注)で瞼縁よりも皮膚が下に被さる場合に適応します。一重瞼は先天性前葉性眼瞼下垂症ですから、瞼縁を隠すなら手術適応です。先天性または作成した二重瞼でも、後天的に皮膚が弛緩して瞼縁に被されば、眼瞼下垂症としてその他の方法が適用となります。

説明を読んでお判りになったと思いますが、逆に言えば、上記の診断が得られなければ、保険摘要の手術法が選択されません。一般的に、チェーン店系の美容整形屋は形成外科学を研修しないので、診断力を持ちません。だからもちろん保険診療はしませんし、そもそも保険診療の資格を持ちません。また現在は卒後臨床研修を受けないと保険医登録出来ませんから、チェーン店に卒直後に入職した医師は資格を得られません。実は更に、非形成外科の美容整形屋では、保険診療の適応の手術でも自費請求していて、自由価格ですから、保険診療で患者さんが払う3割の額の5〜10倍の額、保険診療で医師に入る額の20〜30倍を請求しています。

前置きが長くなりました。本症例はいきなり眉下切開(切除)術を希望されて来院されましたが、診察はしました。先天性にも後天性にも挙筋筋力は瞼縁に伝わり、後葉性眼瞼下垂症は存在しません。生来二重瞼で、先天性前葉性眼瞼下垂症もありません。皮膚の伸展は後天性前葉性眼瞼下垂症で、画像を視れば判りますが、瞼縁を隠しています。眼瞼の重瞼線の上で切除しても良いが、ダウンタイムが長いので、眉下で対応出来るならお奨めします。しかも眉が濃く、創跡が隠せます。

そうなると手術プランを立てるのですが、切除幅は、第一眼位(*脚注)で開閉瞼で眉を挙げてみて決めます。眼瞼下垂症の患者さんは、開瞼時に反射的に前頭筋が収縮して眉を挙げます。本症例の患者さんは後葉性眼瞼下垂が無いので軽度ですが、開瞼時に動きます。ですので、先ず第一眼位で鏡を見てもらい、次に目を閉じて眉を元の位置に戻してから、眉が挙がらない様に私が抑えて、同時に定規を眉の下に当てて、目を開いてもらいます。その後私が徐々に眉を上に持ち上げて、開瞼の程度を見せながら、患者さんに丁度良いところを決めてもらいます。挙げ過ぎると重瞼が広過ぎるし、挙げ足りないと被さります。多くの患者さんは丁度良いところで「これが昔若いときの幅だ!。」と、ピンッと来ます。定規で眉を挙げた距離を測って、その幅を切り取ります。

症例は50歳女性。友人が私に罹って、眼瞼形成術(眉下切開術)を受けたそうで、教えてもらって来院。はっきりした顔達で美人系だったと思われる女性。しかし眼瞼は皮膚が進展して、加齢顔貌を呈するのが気になるそうです。診察すると、LF,Levator Function 挙筋筋力(正しくは瞼縁滑動距離)は15㎜と強力で先天性後葉性眼瞼下垂は存じない。二重瞼は先天性で先天性前葉性も無い。正視でC.L.,コンタクトレンズ装用歴無く後天性後葉性も生じていない。皮膚、眼輪筋が伸びた後天性前葉性眼瞼下垂症だけが生じています。内眼角間28㎜:眼裂横径29㎜:角膜56㎜と目が近く間も近い。話しが他に飛びます。11月にフルリフトでもゴルゴ線は残る。Jowやl頤下は効果が物足りない。年末以降に検討する予定ですと。人中部の上白唇の縦の長さは20㎜。口角は下がっている。話しは戻って、診察を再開します。シミュレーションして、眉下で眉を挙げる7㎜切除が適応。眉は後日アートメイクで作り治す予定と。

術直前に診察します。やはり幅7㎜切除希望。眉頭から眉尻まで全て7㎜の同じ幅を切除すると、眉頭部では曲げて、眉尻部は7㎜以上延長しますが、眉が長いから可能です。

画像は慌てて撮り直しました。

IMG_0964IMG_0965

術前の両側眼瞼部の遠近画像。眉を少しあげて目を見開いています。第一眼位で角膜上縁が2㎜隠れているのは正常範囲です。前葉成分の皮膚は、瞼縁と同高です。つまり所謂奥二重となっています。7㎜の重瞼線は変わっていないのに、加齢で皮膚が被さってきたためです。眉はやはり挙げています。

急にモニター承諾を戴いたので、デザイン画を撮りませんでした。

IMG_0966IMG_0967

代わりに術中の画像を撮りました。上左図は切除直後。上右図は真皮縫合終了時。切除幅は目頭の直上から目尻の直上まで7㎜です。眉頭部は毛に沿って上に曲げます。目尻の直上より約7㎜は外までTaper,先細りして切除します。皮膚、皮下脂肪を全層切除しています。創の底には眼輪筋が全層残しています。次に眼輪筋を折り畳んで縫い寄せます。今回は両側6針ずつです。7㎜幅の半分は近づきます。次に真皮縫合で隙間無くピッタリ縫合しました。今回は両側12針ずつでした。上右図はその直後でまだ皮膚は縫合していません。創の赤い線は幅ゼロで、引っ張ってみても拡がりません。こうすれば術後瘢痕の幅が拡がりません。

IMG_0971IMG_0973

上二葉は術直後の開閉図。開瞼時の重瞼幅は若いときの好きな幅だそうです。眉が挙がらないのは局麻の残存(通常数時間)の為ですが、逆に言えば術前の様に挙げなくても重瞼が出来ています。閉瞼時と比べて眉は動いていません。皮膚縫合はクリアー(透明)ナイロンで連続縫合なので糸は良く見えません。創が赤い線のは血が滲んでいるからですが、72時間以内に出なくなります。 創は眉が濃く並んでいる直下ですが、手術時に一部の毛を切れてしまうので、特に眉頭部付近は隠れていません。毛根を摘出していないので数週間で伸びれば隠れます。腫脹は48時間がピークです。内出血も96時間までは起き得ます。閉瞼時に見られる白い重瞼線(先天性二重瞼の線は白い)は若い時と変わていないそうです。瞼縁から7㎜で、私と同じです。

翌日念の為診ました。画像も頂きました。

IMG_0979IMG_0978

術後は48時間まで、腫脹も亢進し、場合によっては内出血も露呈してきます。眉下切開は優しい経過ですが、どうでしょうか?。眼瞼全体は術直後より腫れています。結果的に重瞼も被さっています。術後48時間から引きますから、術後1週間でどの程度でしょうか?。お楽しみに。

術後1週間で抜糸しました。

IMG_1272IMG_1273

忙しい日で抜糸は他の医師にお願いする事になりました。そこで、後から画像を診るとギョっとしました!!。右の眉頭の創が・・、赤く幅?。そこで慌てて1週間前からの画像を見直します。その目でよく視ると、手術翌日から、ここには創に赤く幅が見えます。ちゃんと丁寧に縫合した筈ですが・・。画像でなく実物を診たいと思います。ケロイド肥厚性瘢痕では無いといいんですが・・、いや、ケロイドだとしたら2週間以降ですから早過ぎます。ですからケロイドではないでしょう。引っ掻いたのかな?。私が術中に?、抜糸時に?(人のせいにしようとしている)。

ところでそうは言っても、目の開きは見事に造り出せました。お悦び戴けましたかね?

*脚注:第一眼位が診断に寄与します。顔面正立で正面視です。まず下眼窩縁と外耳道の上縁を結ぶフランクフルトラインが顔面の水平線です。両側のこの線を含む面が診察者(私)を向くと、顔面が正立します。そのまま診察者(私)を視た眼位が第一眼位です。眼位(上下の眼球の向き)は上眼瞼の開瞼を左右します。日常生活で第一眼位で視界が良好なら機能的に正常範囲です。上方視はスポーツ選手や鳶職等特殊な個体に必要です。よくエレベーターに乗っていて、年配の後天性眼瞼下垂症の人が、上にある階の表示を見られないので、違う階で降りようとしてしまいます。私は開瞼が強いので、教えて挙げます。下方視は、実際には日常的に下を向く際は、顔も下向くので生活上の機能には関係しません。何れにしても第一眼位が診断根拠となります。

当院では、厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えます。眉下切開術は眼瞼下垂手術の一種ですから、保険診療です。点数で6000点×2=12000点。出来高請求で薬剤代等込みですから、3割負担で約4万円です。モニターでもこの費用をカットしてはいけないとの厚労省からのお達しですが、個人情報提供のための同意書は頂いています。つまりこのブログ提示はご好意です。ありがとうございます。