2022 . 9 . 1

あぐら鼻には鼻翼外側楔形切除術と鼻唇角プロテーシス挿入術が適応します。

美容医療に於いて形態的な理想を求めて外鼻の手術を行ないます。鼻の中と外は担当科が別で、鼻の中は耳鼻咽喉科ですが、鼻の外の形態は美容形成外科です。今どきは間違う人は少ないでしょうが、戦前の昔は耳鼻科医が外鼻も手術していました。まあどうでも良いことですが・・。

しかし外鼻の美容形成外科は多彩です。形態的な理想像といっても、アジア人は特徴的で、鼻が低く大きい。でも平均的に身長が低く、その割には顔の幅がある短頭ですから、比率的には鼻が余り大きく見えない。ただし逆に顔面の前面が平板でそこに鼻が乗っかっているから大きい鼻が目立つ人も居ます。何回も強弁してきましたが、美容形成外科に於いて形態の評価は夫々の部品だけでなく周囲の部品とのバランス、顔面と体幹の形態と、三次元的な比率を考慮しなければなりません。

アジア人に於ける外鼻の手術は、隆鼻術は定番ですが、低鼻術の適応者は稀です。最近は食生活の影響か、アジア人でも鼻骨だけが高くなって鼻尖の軟骨が発達していない所謂鷲鼻(正しくは鈎鼻)が発生しています。その症例には骨削りも適応になる場合が有りますが、わざわざ低くするよりは鼻尖を高くする症例が多いです。そして今更高さを求めないで、大きさを変えたい人が多くなりました。外鼻は前後サイズと横サイズの三次元的な比率で格好良く出来ますから。ただし鼻翼縮小術は、適応を見極めなければなりません。丸く張り出した人に適する外側切除の対象者は25%くらいしか居ません。付け根の幅が大きいから寄せたい症例が多いのですが、糸出の埋没法は必ず後戻りします。鼻孔内の切除も半量以上後戻りします。形成外科医の知識と技術を駆使する皮弁法なら長期的に保てますが、当初の後戻りはゼロではありません。

多彩な外鼻の美容形成外科を紹介しました。細かい手術法等はその度に説明します。本題です。今回の症例は”あぐら鼻”!結構居ます。鼻翼基部と鼻柱基部の上下の位置です。鼻柱基部の方が下に有れば”矢印鼻”と呼ばれ、鼻が長くて格好良いです。面長の人では強調したいところです。逆に鼻翼基部が低いのを”あぐらはな”と呼びます。もちろん、あぐらをかいた時の膝と足の位置を模した用語です。ただし細かい位置関係により手術が多種類あります。顔面正立位での鼻柱と鼻翼と夫々の基部の高さにバリエーションがあるからです。基部とは白唇との折れ返り点ですが、鼻翼が基部より下に伸し掛かっている場合に、私はオーバーハング,overhungと呼びます。この場合は鼻翼の下法部分のオーバーハング部分を切除して基部に縫い付ければ挙がる訳です。同様に鼻柱や稀ですが鼻尖が基部より下に垂れ下がっている場合、鼻唇角が鋭角になっている事が多く、私は「喰い込んだ鼻。」と呼び鼻唇角を下げる事を奨めます。多くはシリコンプロテーシスを挿入します。あぐら鼻の改善法の中でも明らかな結果が得られる方法です。対して、鼻翼挙上術は後戻りが多く創跡も目立つので難しい手術です。本症例は前者ですから結果が見えると思います。

症例は60歳女性。本年に入ってから当院にかかり始め、眼瞼については眉下切開術で前葉性下垂を改善しました。当初から鼻唇溝が深いのが気になっていたし、鼻翼があぐら型なのも気になっていた。これまでにいくつかの美容外科治療を受けてきましたが、何箇所かは再手術の希望も述べられました。先行して、眉下切開を施行しました。

今回あぐらを描いた鼻翼を治しましょう。と提案したら、患者さんは身を乗り出します。全身状態からして、大きな手術は後回しと言うことになりました。

鼻翼幅は最大で36㎜ですが、付け根は33㎜で1.5㎜ずつ膨らんでいます。そして鼻翼基部(何度も言いますが、鼻翼の最下点)が鼻柱基部(これも何度も言いますが、鼻柱と両側人中稜の交点)よりも下にある”あぐら鼻”です。上に説明した様な手術で改善を図るプランを立てました。

手術直前には確認します。鼻唇角に上下8㎜のプロテーシス挿入。鼻にはL型プロテーシスがあるので注意して円錐形のプロテーシスの予定。鼻翼外側は基部で最大3.5㎜切除。

画像を診ていけば形態的変化が見えます。先ずは顔面正立での正面像で見比べましょう。

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上左図は術前。上右図は術直後。術後診ると、量的にはサイズは変わらないが、質的に形態が明らかに改善している。翌日診ると、血痂は少々でしたが、内出血は生じていました。プロテーシスの位置は適切でレティナーで固定して貰いました。

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術後1週間で鼻翼部は抜糸しました。右鼻柱内側の層は念の為術後10日としました。鼻翼は術後腫れてオーバーハングしています。上右図は術後1ヶ月。形は安定しています。鼻翼基部と鼻柱基部の上下の位置関係は水平線上にあります。

IMG_3369術後3ヶ月です。私が「完成!。」と宣言するや否や、患者さんは次の話題を訴え始めました。その際もブログ掲載でしょう?。

近接画像を見比べていきましょう。

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上に術前像。両側鼻柱基部の方が鼻柱基部よりも下です。下からの煽り画像は鼻孔内を見ます。よく診ると、鼻翼基部よりも鼻翼が下に膨らんでいます。

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まず鼻唇角プロテーシスのデザインですが、両側鼻柱基部から人中綾にマーキングします。中心化は人中との位置関係だからです。なお鼻翼のデザインは正面からは見えませんから下段に載せた側面像や斜位像で。

上右図は術中画像ですが、鼻翼は縫合後で、右鼻柱内側の切開からポケットを作成して鉤で開けて観せます。ポケットの中は空洞です。

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そして挿入した鼻唇角プロテーシスの実物像。上左図が正面像。この向きで入ります。上右図はプロテーシスの側面像。円錐形と言うよりどんぶりの逆さ形です。

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上左図の手術直後像は見事に矢印鼻に近づいています。上右図の下からの煽り画像でも鼻柱基部の創は見えません。

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術後1ヶ月の近接画像と下面像。形態的に落ち着いています。

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術後3ヶ月です。現在鼻柱と両側鼻翼は水平線上にあります。成功!。

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斜位像で術前のデザイン左二葉。鼻翼縫合後は右二葉。鼻翼基部の位置が変わりました。

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術前の4方向。側面像で鼻柱が鼻翼に隠れています。斜位像では鼻柱が上に喰い込んでいます。

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術直後の4方向。鼻翼は腫れて若干オーバーハングしていますが、斜位像での鼻柱の見える量が増えています。

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術後1週間では鼻翼の腫脹が軽減し、側面像で鼻柱基部が見えます。ここがポイントです。

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上の列は術後1ヶ月です。側面増でも、斜位増でも鼻翼の影から鼻柱が見えます。

術後3ヶ月で完成を診ましょう。

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当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

料金も提示します。鼻唇角プロテーシスは15万円+消費税。鼻翼縮小術外側切除法は28万円+消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。