2019 . 2 . 9

鼻翼挙上術はこの様に手術します。

標題にある様に鼻翼挙上術の症例ですが、これも標題にある様に、画像を見せながら手術法の説明から入ります。またこの部位の形態は、美容形成外科的診療に於いて、周囲とのバランス(=比率)がいかに重要かも説明します。美容医療は技術だけではありません。空間認知能力つまり視覚的認知能力とそれを処理する頭脳的知識と経験がものを言います。この面で私は、31年の美容外科・形成外科医のキャリアーを持ちますから、学問的知識と診療経験を積み重ねてきて身に着けています。チェーン店にいる様な、医師になったばかりの若造には備わっていない素養です。

症例は30代の女性です。目を凝らしてご覧になればお判りの様に、口周りの手術も受けていますが、私の手術後はよく判らないでしょう?!。さらに鼻唇基部(=鼻唇角)下制術(=実はプロテーシス)に因って鼻柱は下に移動しています。

正面像で、両側の鼻翼基部と鼻柱基部の位置を結んだ線は下向き三角が綺麗です。少なくとも上向き三角では鼻翼が下がった胡坐鼻で喰い込んだ鼻柱が憎たらしい印象です。

先ずは鼻柱を下げて、わずかに下向き三角にはなっていますが、まだ鼻翼は下方が幅広な為に野暮ったい印象です。そこで鼻翼挙上術を施行したくなりました。

下には術前の正面像と近接像。

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鼻柱基部は両側鼻翼基部よりわずかに下。

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下面像では鼻尖が形良く美しく、側面像斜位像では鼻尖が鼻稜線の延長線上よりわずかに前方に有る、本当の意味(典型的には白人の美人)のアップノーズになっています。

残る問題は1、鼻翼をもう少しでも下にしたい。2、鼻翼の最大幅部を上にしたい。

下左図は手術デザイン。下右図は右切開後。

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鼻翼をUの字に、顔面に平行に切開して鼻翼を皮弁状に外します。

IMG_4529左図は両側鼻翼を持ち上げた状態。フック(引っ掛ける道具)で引っ張っています。実はここで中の土台を糸で3㎜縫い縮めて挙上したのですが、糸は写りませんでした。

IMG_4531左図は鼻翼を土台の上に戻して撮りました。IMG_4527IMG_4530

上左図は術前の鼻翼と鼻柱の位置関係を定規で示しています。鼻柱がわずかに下です。上右図は挙上後で縫合前。創の縁は術前より上にあります。

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上図は縫合して終了時。

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上の列は術直後の下から、右斜位、左側面。

術後1週間で抜糸しました。

IMG_4682近接像だけです。白唇部短縮術の傷跡を基準に見ましょう。鼻柱基部の傷跡が鼻唇角にあり、鼻翼基部の傷跡と高さを比べてみると明らかに鼻翼の方が上方にあります。つまり鼻翼挙上術の奏を効していると言えます。

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斜位、側面では傷跡が見えます。斜位像でも傷跡の位置から結果が診られますが、側面像では今回の鼻翼の傷跡は診られるのに、鼻柱基部の傷跡が見えませんから評価が出来ません。角度の問題もあるのでしょう。

いずれにしても今後の経過が期待されます。

術後2ヶ月半ですが、他の点の経過中に画像を戴きました。

IMG_0871両鼻翼の高さと口唇の傾斜が並行になりました。