2022 . 12 . 24

今回はやっと上白唇短縮術に至ります。これまでの経過も載せます。鼻唇溝(法令線)に脂肪注入したらボコった。幾つもの修正術をしました。口角挙上術も応用して治しました。

美容医療に於いてやっていい事と悪い事があります。先ず取り戻せない形態不全はやって欲しくないのです。プランとデザインの不備です。確かに取り戻せる、または追加修正が可能な不備は仕方ないのかも知れませんが、無駄な時間と手間を要する事になります。今や美容医療は流行し、医師はピンからキリまで居ます。美容医療は自費治療が主ですから、参入者が増えたのです。結果、まともに医療を学んでいないで、ビジネスに特化したクリニックが増え、逆に医学を学んでも美容学の経験を身に付けていない医師も増えました。

今回はどちらが起こした事か不明ですが(多分両面です)、取り戻すのに苦労した症例に、一段落したので、追加手術を加えました。その経緯を視て下さい。

鼻唇溝に脂肪注入を入れて、それもオーバードーズ,Over dose:過量だと、こうなるという典型でした。しかも脂肪注入は除去や溶解が難しいので、治しにくい。切開して、皮下剥離して、削り取ることは不可能ではありませんが無理すると皮膚を痛めて孔が開く可能性があります。ただし皮膚皮下脂肪ごと、一部を切除することは可能です。さらにもう一つ脂肪注入で変形した形態を手術で修正することは方法次第です。今回の患者さんは、私を見つけて、いきなり口角挙上術で治してくださいと希望しました。もちろんブログを視て思いついたのです。そうそう見かけない変形ですから、教えて下さったのは患者さんです。

症例は32歳女性。2年前他院で鼻唇溝に対する脂肪注入と口角挙上術を受けた。他で上口唇赤唇縁での切除術を受けた。結果、赤唇縁の畝が無くなって貧弱感を呈する。また鼻唇溝上三角に脂肪注入は禁忌とされている。結果的に現在も上唇鼻翼挙筋が動かない。つまり笑顔の表情を作れない。口角が注入皮下脂肪組織に埋もれている。ご覧のように鼻唇溝上にも脂肪。この状態に対して口角挙上術で改善を図れないかと来院された。

その後の経緯は後段に載せることとして、今回はまず上白唇短縮術の画像から載せます。

昨年初めの初診時からカルテを見直します。鼻唇溝への脂肪注入と、口角挙上術は2年前。3年前にSで人中(上白唇)短縮術。その際赤唇縁が富士山型な点にも触れています。でも注入脂肪の除去を優先しました。口角は5㎜上げました。口角の赤唇縁が見える様になりお喜びでした。脂肪吸引等の際にも白唇短縮術を希望されていましたが、待つ様にお願いしました。赤唇の修正や傷跡も修正しました。右口角挙上は2回追加しました。今年初めには結果が得られました。

先月久し振りに来院されました。上白唇短縮は10年前だそうです。口角は当院で3回挙上しました。現在人中部の白唇縦長は14㎜で、鼻翼下が長くもたついています。鼻翼下を5㎜、人中部を2.5㎜切除します。口唇結節が欲しい赤唇です。人中を明瞭化して、弓を急峻化したい形態の改良を求めて、鼻柱部を1.5㎜ずつずらして縫合するプランを立てました。

手術前に確認しました。画像を経時的に視ていきましょう。まずは今回の術前の画像から。

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人中溝の縦長は14㎜で長くないのですが、比べて鼻翼の下は長いです。

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脂肪注入も影響して、皮膚も伸びていると考えられます。もたっとしています。

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デザインは鼻翼の下を幅広く、鼻柱の下は少なく。上右図の切除物は皮膚皮下脂肪。

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術中写真です。切除後は撮り忘れました。上左図は筋層をPlication, スカートのプリーツの様に縫い合わせる縫合後に鼻翼基部を真皮縫合して、鼻翼横の真皮縫合まで行なった後。上右図は両側の鼻柱基部に対して1.5㎜外側に人中稜を真皮縫合した時点。人中が狭くなりました。弓は腫れているからまだ狭くなりません。結節は前に向きました。

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続けて創全長に渉って真皮縫合をしました。隙間無く合わさっています。上右図は皮膚を連続縫合しました。わずかに厚さのズレがあるのを合わしました。

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上には術直後の画像。力を入れないと上左図の様に閉じません。上右図の様に力を入れるととじますが、頤に梅干しが出来ます。

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術直後の4方向の画像では、腫脹で形態が不明です。なお翌日は腫脹が亢進します。ただし内出血は見られませんでした。

術後1週間で両側鼻翼間を抜糸しました。

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腫脹は48時間がピークです。1週間では引き始めています。赤唇の結節は見えてきました。

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スッキリしたとお悦びです。

下には術後2週間での全抜糸後。

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経過は順調で腫脹も引いてきました。画像を見比べると鼻翼の下のもたつきが減っています。

ですが、あと一つ、口角の揚げた部分と今回挙げた鼻翼の下の部分お赤唇がもう少し挙げたい希望はありました。赤唇を露出したいのです。幸か不幸か、赤唇縁に切開痕があり、その上を切除すれば挙げられます。この点についてはもう少し話し合いましょう。

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術後3ヶ月で結果を診せて下さいました。

赤唇が前に向いて可愛く、短縮効果は十分得られてお喜びです。

ここまでが今回の手術経過です。

さてこれまでの経過を載せます。注入脂肪を見えなくしたいと苦心しました。まず口角挙上術です。内眼角間34㎜:鼻翼幅39㎜:口唇幅55㎜で口唇横径は黄金比率によって計算するまでもなく、画像でも判るように拡大する必要はない。真上はジョーカーリップになるため、わずかに斜めの、垂直から20度傾けて5㎜挙上する口角挙上術で改善を図れることを、シミュレーションした。切除する白唇の深部の皮下脂肪も当然取れる。他の部位の脂肪は後日に検討することとした。例えば、鼻翼横のボコっている脂肪は、鼻翼の付け根の切開で削れると示唆した。

先ず術前の画像二葉;正面像と近接画像を診ましょう。

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鼻唇溝(法令線)が埋まっているのですが、多過ぎるから膨隆しています。また赤唇縁の口角から内側に掛けて白い創跡がありますが、畝がありません。口角部は畝がなくても自然ですが、前方は畝がないと貧弱な口唇になってしまいます。口角の角が見えないのはその上の白唇に脂肪注入があるからです。触診で判明しました。口角挙上術で治せるでしょう。定型的に手術しました。

IMG_6171IMG_6172IMG_6554IMG_6176少なくとも口角部が見えます。その上の膨隆も減らせました。ご覧の様に上赤唇縁の私が切った創は後にあるから目立たないのです。斜位像で術前と術直後を比較すると、きれいに挙がっています。「への字。」から笑顔になりました。

一回目の手術から3か月経たので、次の段階に進みました。超音波脂肪吸引です。IMG_9136IMG_9142

その後やはり鼻翼から口角にかけての脂肪注入の膨隆は残りました。その後切開剥離して削除に至ります。

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何とか出来ました。ただし右上赤唇に手術中にDog Earが出来ました。後日切除しました。その結果が今回の状態です。口角部の赤唇は挙がっていて、両側とも鼻翼の直下付近がもたついています。前回の上口唇短縮術のデザインが不備だったのです。ですから今回2回目の手術で工夫しました。上段を視ましょう。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。