2023 . 7 . 5

保険診療の眉下切開術の掲示。同い年の患者さんに皮膚と皮下脂肪をたっぷり切除したら、同じ様にぱっちりしました。

無理にお願いしてモニターになってもらった症例です。ただし英語のMonitorは、訳すと本来は監視装置や傍受です。医療者が患者さんを観察するのはモニタリング,Monitoringと言いますが、それでは対象が逆です。人に魅せて参考にしてもらう為の画像、または経過や結果を収集して提示するのはTesterで、患者さんが対象です。本来は受益者が見せてくださることです。そして受益とは本来、金銭的な対価=”得”を伴うはずですから、美容形成外科での自費診療では割引して、画像を使わしてもらいます。ただし保険診療では、法制上割引出来ません。お願いするだけです。更に個人情報保護法が制定されてから、画像提示は確実に承諾書を要します。学会発表でもかなり厳しく制度化しています。今回、手術直後の結果に大喜びされた症例の患者さんに、手術直後にお願いしました。皆さんに魅せたいからです。その時患者さんは、”得”していませんが、”徳”を示して下さいました。もちろん巧く出来て、患者さんは”得”しています。

毎回書いてきましたが、美容外科・形成外科は医療です。単なるビジネスではありません。もちろん医療機関は稼がなくては運営できませんから、費用は掛かります。でも医療は診察の上成立します。”診療”は、”診”察の上で治”療”を施すことです。チェーン店のビジネス系美容整形屋は、診察も適当です。来院直後にカウンセラーと称する受付嬢に説明させて、たとえば重瞼術埋没法なら、医師はブジーを当てて「これで良いですね?。」と訊くだけで、あとは料金を提示するだけです。診察と称してトッピング料金も加えます。勢い治療後は”やっただけ”の結果しか得られません。実はつまり、あちらで受けると”得”しません。

”診察”は、医学的知識に基づきます。物作りでもそうですが、経験と知識の集約が必要です。医師は国家試験に受かっただけなら、必要最小限の医学知識しか持ちません。医師となってから、大病院で上級医の下で、徒弟制度みたいに修行をしながらも、出来るだけ多くの論文や成書を読み、学術的研鑽を繰り返さなければ、専門的知識は身に付きません。チェーン店では新人を雇うので、残念ながらこの機会は得られません。

私は診察にも時間を掛けます。知識を集中します。患者さんは個体差があります。ですから一人一人に応じた治療方針を立てなければ、好結果は得られません。さらに人は夫々の社会性を持ちますから、私は人を診ます。社会性に応じた治療方針を立てなければ、その人に合っていない結果となり兼ねないからです。古代中国のことわざに、【大医は国家を治す。中医は人を治す。小医は疾病を治す】とあります。上記の様に私は、中医を心掛けてます。さらに上の様に美容形成外科を含む美容”医療”においてビジネスを排して、国民全体に恩恵を与えることで大医を目指してきました。あえて言えばビジネス系美容整形屋は小医よりも劣ります。

偉そうなこと言っても、やはり患者さん一人一人の満足感が重要です。本症例は実は、長い経過で信頼関係も深く、そのために診察時にお互いに理解し易く、その後は治療(手術)に専念出来て、好結果が得られました。ですから、無理言って提示させてもらいました。

症例は64歳女性。手術直後嬉しいとの感想を頂いたので、直ちにブログ提示をお願いして、ご承諾を得ました。しかも創も判らないとおっしゃる。手術直後にも関わらずニコニコしていました。では、病歴を転記します。何と15年前に、私が眼瞼下垂手術を施行しました。その結果として、後葉性眼瞼下垂症の原因である眼瞼挙筋の働きは改善され、いまだに保たれています。その際前葉成分は、重瞼を瞼縁から5㎜に設定して、皮膚を幅3㎜切除しましたから、パッチリクッキリしました。その後経過観察は見合わせていましたが、4年前と3年前に来院されて、当院の他医に相談しましたが、やはり私に診て欲しくて、本年お電話いただき、久し振りに私に罹りました。

診察しますと、眼瞼挙筋は画像の通りによく働いています。重瞼線も引き込まれていて、画像の通りにシワはあっても、乱れてはいません。ですが、画像の通り眉を上げて目を開いています。前頭筋が常に収縮しています。前葉が伸びたのです。患者さんも理解していて「先生!、よく出来ていて目はよく開いていますけれど、かぶさってきたんです。」とおっしゃる。お褒めに預かりましたが、改善を求められました。私「この15年間で当然伸展しましたが、前葉だけですね。眉下で出来そうです。」とシミュレーションする間もなく、患者さん「ブログ視ています。」と既に判っていて、さらに「だって先生の手術綺麗ですもの。前もですよ。」とこれまた褒められて、私「沢山取って、沢山真皮縫合します。丁寧に時間を掛けて手術しますよ」と自信を見せて、さらに「でもアートメイクしていますよね。だからカムフラージュ出来ますね?!。」と言いながら、やっとシミュレーションします。

眉下切開切除のシミュレーションは眉を挙げてあげて測るだけです。ご覧の様に開眼時には常に眉を挙げているのを、さすがにこの患者さんは知っています。まず目を閉じて、前頭筋をリラックスさせて眉を正位にしてから、私が動かない様に抑えてから目を開いてもらいます。そのまま私が徐々に眉を挙げて見ます。定規を当てて動いていない位置をゼロミリとして、挙げた幅を測ります。本症例では何と8㎜でやっと、目が軽くなりましたですと。ですが「8㎜幅切除するとこの眉のアートメイクの範囲を超えますが、どうします?。いいですか?。」と訊いておきます。患者さん「だって先生なら傷痕消えるでしょう?。」と期待されますが、私心の中で”絶対は無いし、客観的判断は難しいんですよ”と叫びながら「じゃあ頑張って丁寧に沢山真皮縫合します。」と、任せなさい状に胸を叩きました。この際は実は、こんなに意気投合するとは予想していませんでしたが、同い年であるのは意識していました。

その様なわけで、画像は手術直前からとなります。

術前の遠近二葉。上左図の近景では下方視ですが、眉は強く挙げています。それこそ8㎜以上です。遠景でも同じくおでこに力が入っています。

手術法は皮膚、皮下脂肪は全層切除し、筋層は縫縮し、真皮縫合は片側12針以上、皮膚縫合はクリアーナイロンで連続縫合したので糸は近寄って見ないと見えません。

手術直後の遠近二葉の写真。上左図の遠景でも上右図の近景でも、眉は挙がっていません。結果的に重瞼幅は大きく広がってはいませんが、開きやすいのは間違いなく、若年時に戻ったと感じられて喜んでいます。座位になって見せたらいきなり「先生と同じになった。」とお悦びでした。

本当?!。ならば私の両側眼瞼部も提示してみました。すると、撮影時に私は、前頭筋を使っていませんから、重瞼は広くはありません。比べたら患者さんの方が広いかも?。どうも私は表情が豊かなのか、診療時には、しゃべくりながら眉を挙げているのでしょう。今度動画を撮ってみます。

手術翌日も画像を頂きました。直後と比べて、内出血は露呈してきましたし、腫脹も亢進しています。いつも説明してきましたが48時間までは何もかも亢進します。人間、いや生物の身体の創傷治癒の機序はその様に反応する様に出来ています。かと言って程度は個体差が大きく、本症例は軽い方です。この程度なら1週間目の抜糸時にはかなり軽快しているでしょう。

下には術後1週間での抜糸後の画像。

診るなり患者さん「2日まではすごかったです。」そうです。「私が言った通り48時間がピークでしたでしょう。」患者さん頷かれます。確かに翌日の画像はすごいし、比べて今はすっっきりしてきました。本題です。「重瞼幅いいですか?。」患者さん「エエ〜よいです。」私「私と同じになったとおっしゃったけれど、画像上は私より広いかも?。」患者さんダンマリ?!。とにかく経過診ましょう。「次回できれば術後1ヶ月に。」保険手術のモニターなので無理は言えません。でも多分魅せてくださるでしょう。お待ちしていおります。読者のみなさんもお楽しみに!

当院では、厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間(48時間)は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えます。眉下切開術は眼瞼下垂手術の一種ですから、保険診療です。点数で6000点×2=12000点。出来高請求で薬剤代等込みですから、3割負担で約4万円です。保険診療では、モニターでも費用を下げてはいけないとの厚労省からのお達しですが、個人情報提供のための同意書は頂いています。つまりこのブログ提示はご厚意です。ありがとうございます。