近々9月末に北海道札幌で日本美容外科学会 JSAPS, Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery があります。発表を依頼されました。日本に二つある美容外科学会の一方の形成外科トレーニングを受けた美容外科医の集まる側の学会です。お題はやっぱり、”Rejuvenation 口唇”です。Rejuvenation とはJuvenile,若年を、Re, 再現する、つまり若返りです。口唇は10年で1㎜伸びますから、若返りの為には欠かせない手術です。もっとも若年時から長い人も居ますから、Rejuvenationに限りませんが・・。ちなみに昨年にはもう一つの日本美容外科学会 JSAS, Japan Society of Aesthetic Surgery でも依頼されて発表しました。私は現在はJSAPSにスタンスを置いていますが、15年前ではJSAPSとJSASに二股に足場を持っていました。父は20年前にJSASの会長を務めましたから、私はその際眼瞼下垂の講演をしたくらいです。
なにしろ私は、口周りの専門家みたいに思われています。巷間ならず、二つの美容外科学会からも指名されます。ですが、私が上口唇短縮術を始めて施行したのは本症例です。7年前でした。思い起こせば当時、患者さんに「こんな手術あるんだって、先生やってくださいよ!。」と教えてもらいました。急いでインターネットの図書館で論文を探して手術法を学んで、初めての症例でした。
実際当時は、日本で上口唇短縮術をできる美容外科医は数名だけでした。なぜなら傷跡が顔の前にある手術ですから、形成外科の手技を極めた医師でないと、傷跡が目立ってトラブるからです。当時はまだ、美容外科領域に参入する形成外科医は、医局から後ろ指を刺される風潮があったのです。ちなみに私は、34年前に形成外科入局して同時に、父の銀座美容外科医院で診療を手伝ってきましたが、そこは特別な事情として容認されていたからです。
本症例の患者さんは、銀座美容外科医院時代から長らく診てきた患者さんで、とても懇意にして下さっていて、それでいてフランクな性格なので、私と馬が合う患者さんです。美容形成外科医は人の顔を診る仕事ですが、容貌は社会的適応性に大きく関わります。ですから顔を見ることは、個人の人間性を診る訳で、私は全人格を見つめ合う仕事と捉えています。
今回また、上口唇短縮術の二回目を提示しますが、何例目でしょうか?。数ヶ月の中期で追加した症例もあります。本症例の様に年単位で追加した症例は他にもあります。一回目にどんなに長くても、傷跡の問題と後戻りの問題から、最大6㎜の切除に留めます。一例7㎜切除したら、傷跡の幅が拡がったし、6㎜でもわずかに後戻りがふえたので、それ以来5㎜以下にさせてもらっています。定番は4㎜です。傷の長さも差があります。通常2回目の手術時には3㎜以下を進めています。同じ線を切開縫合するので、創治癒に影響し、傷跡にも影響しかねないからです。
症例は50歳女性。7年前上口唇短縮術6㎜。現在16㎜。今回追加として3㎜切除希望。前回はまだ利用していなかった寄せる効果も追加したい。だらんとした口唇の中で人中を深くして白唇に抑揚を付けて、弓をはっきりさせて口唇結節を前向にして赤唇を際立たせる目的で、用手的にシミュレーションして、両側鼻柱部を縫合する際に1.5㎜ずつ寄せる策を加えましょうと進めたら、「そんなこと出来るんですか?。」とすぐ乗ってきました。
頬がこけた。フィラーとして同部にヒアルロン酸は好ましくないです。PRPを片側1CC。
画像を書く方向別に比べて視ましょう。
正面像の術前とデザイン後。3㎜切除ですと、鼻翼の横の切開が少なくなります。
術直後は腫れるのですが、白唇よりも赤唇が厚くなります。鼻翼も広がります。
術後1週間では大阪院で抜糸しましたが、画像は忘れました。術後1ヶ月で来院されました。傷跡は消えてきました。まだ夜には時折痒いそうですが、摂食や講語など際の運動制限はありません。ちなみに腫れて広がっていた鼻翼は元のサイズに戻っています。
術後2ヶ月の画像は自分で撮ってくれました。薄いメイクしているので傷跡は見えません。術後3ヶ月で完成を見せて下さいました。傷跡は赤い線ですが消えます。前回もそうでした。
下に中下顔面部の画像。
術前、デザイン、術直後、術後1ヶ月ですが明らかにすっきりしました。
なんと術後1年以上経て画像を戴きました。傷痕は不明です。後戻りはなく長さは13㎜でした。
近接画像で手術直後と術後1ヶ月。傷跡は目立たなくなりました。
術後2ヶ月の自撮り画像では傷跡が見えません。
術後1年以上経て画像を頂きました。傷痕はクローズアップしても判りません。少なくとも患者さんは隠す必要をみません。
4方向で、頬も診ましょう。
注入前には頬骨弓の下に影が診られます。
注入後は影が診られません。
PRPは1ヶ月後には一時的に減ります。
PRPで頬コケは埋まっています。
下には術後1年の4方向。
E-ラインがマイナスなので、スッキリした口元です。
当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の提示です。上口唇短縮術は28万円+消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。