近年になって美容医療が流行したと考える国民が増えました。確かに人数は増えたのは統計上で明らかです。忌避観念がなくなって来たのです。でも最大の要因は、コマーシャリズムでしょう。TVCMも増えましたし、JRの電車内の扉の横は美容医療の広告だらけです。ただ、そのS.クリニックグループではトッピング治療も横行しています。先日ある患者さんが目袋の相談時に言いました。「広告で安く載っていたのでS.に行ってみたら、大して診察もなく、見積もりだけ出されたの！。とんでもない額でした。広告の３倍額よお〜！。もちろんもう行かないわよ！。」半ば怒っていました。患者さんはむしろ行っただけ損した感じの、自虐ネタでした。私患者さん(S.にでは無い)に失礼と思いながらも「やはりS.ではまだトッピングが常道ですよね。だってあんな安く出来ないもの！、広告費の元が取れないもの！。」してやったりと返しました。
ちなみにSNSでも、詳しい説明は省き、キャッチーな画像ばかり選んで載せて、患者を誘引する医療？機関が横行しています。そのほとんどの内容は医学的に間違っています。私は、ブログには、契約した患者さんの画像を経時的に提示して、内容の説明して、多くは患者さんのコメントも加えていますから、信用されています。
この様な状況は、時代が起こします。今は亡き首相は百以上の嘘の答弁を述べましたが、政治がそんなだから、美容医療なんかもっと説明不足が常識となりました。ただしでも、トッピング治療は嘘ではありません。この間電車に乗って読んだら、大きく安売りの値段の下に、”状態によって治療は変わります”と小さく書いてありますから、誇大広告にはなりません。虫眼鏡でないと読めない約款みたいです。さらに、脂肪３袋と乗っていても、画像は２袋なのです。一般市民は気づかないけれど、私は判ります。さすがあ〜！、S.は医学的じゃないと一人で嘲笑しました。しかも実は袋ではなく、部屋です。英語でCompartmentです。眼窩脂肪を包むのは隔膜ですが、眼窩脂肪は眼球を取り囲んでいますから、取っても後ろから再び逸出します。つまり、張りを造って抑え込まなければ、目袋は再発します。逆に沢山取れば再発しないけれど、経年変化で窪み目になります。
本題です。埋没法の重瞼術は戦前から行われています。当初は材料が絹,シルクですから生体反応し、侵襲が強くダウンタイムが長かったのですが、昭和４０年代からはナイロンを始めとした生体反応の起きない材料が開発され、確かにダウンタイムが無いに等しく出来る様になりました。昭和５０年代にT.先生が”プチ整形”と称して宣伝したので、今や日本でも二重瞼の人が増え、生来は一重瞼の女性の１５％以上が二重になっています。 実は眼瞼下垂症の医学的定義にも関係します。狭義の眼瞼下垂症は先天性の眼瞼挙筋々力の低下です。一定の割合で産まれますから１００年近く前から手術がされています。１９４５年の論文も見つけました。
眼瞼を切開するので形成外科医が手術するべきと考える様になったのは、私が医師になる直前、今から約５０年前です。その後１９８０年代に、後天性に挙筋が”伸びる”後天性後葉性眼瞼下垂症の手術が提唱され、UKの医師が論文を発表します。今世紀に入って、本邦でもS.大学形成外科のM.教授がマスコミに売り込み、形成外科医がどんどん参入します。私もその一人です。日本美容外科学会,JSASでも講演しました。そしてその後は、医師の裁量として、広義の後天性”前葉性”眼瞼下垂症でも、ごく軽度でも後天性後葉性眼瞼下垂症があれば保険診療の対象とされます。その頃から保険診療規則に、”眼瞼下垂手術–その他の方法”が載ります。広義の眼瞼下垂症に対して、大手を振って前葉性でも保険診療を適要することが出来る事になりました。さらに、先天性前葉性眼瞼下垂症である一重瞼者は、上を見られないので眼瞼挙筋の成長が進まないから、軽度の後葉性眼瞼下垂症を伴うことが多いので、その修復を兼ねて眼瞼下垂症手術を保険摘要します。
さらに本題に近づきます。埋没法は、糸で繋げて二重瞼の構造の替わりをさせます。結んだ糸を埋め込むから埋没法と称するのです。基本的に糸を内蔵しておくので、原則は非吸収糸です。時折「糸をずっと入れておくんですか？。」と訊かれます。私は「異物ではありますが、生体反応のない材質ですから安心して下さい。」と説明します。ちなみに真皮縫合も糸は埋没しますが、理解していない患者さんも多いのです。どちらも表から見えないから、ビジネス系美容医療屋はその点に触れないのです。いつも言いますが、真皮縫合は手間と時間を要するので、ビジネスには向かないので、彼らは手抜きをして、中期的に傷跡が拡がります。
ところで埋没法は、戦後すぐから美容整形医院で行われました。切らない二重瞼手術として、売り出しました。ちなみに一重瞼は東アジア人に特有の遺伝的異常ですから、日本が発祥地です。論文の著者の国を見れば明白で、韓国や中国はその後に真似て発展しました。重瞼術の埋没法は、眼瞼挙筋と皮膚の裏側を糸で繋ぐだけですから、挙筋側は外れないのですが、皮膚側の糸の結び目は引きこまれて中にずれていきます。すると皮膚を引き上げる力は働かなくなり、いわゆる外れた状態になります。この点は否定出来ません。念の為書きますが、糸が切れたり解けたりすることは滅多にありません。私は診たことがありません。
埋没法は重瞼術のために開発されましたが、当院では開瞼力の強化にも使います。眼瞼結膜側の最上部から、糸を眼瞼挙筋腱膜に通して、瞼板にも通して、糸を結んで縫い寄せます。眼瞼挙筋腱膜が伸びている後天性後葉性眼瞼下垂症に対して、元の状態に戻すことが出来ます。埋没法の眼瞼下垂手術です。なお先天性では、筋力が足りないので効きません。現在私は必ず、糸を結んだらそこから皮膚側へ糸を出して、埋没法の重瞼術も併施します。瞼板を挙げて瞼縁だけ挙げると、皮膚は相対的に挙がらないので、必要だと考えます。この様に、切らない眼瞼下垂手術を埋没法の一種だと考えますが、埋没法はどちらにしても保険摘要が不可とされます。厚労省の手引きには”美容を主目的とする場合には摘要しない”とあります。保険診療の請求時には、レセプトを保険所に提出しますが、それこそ嘘は書けません。切開法と埋没法では材料費等の内容が違うためにバレます。
症例は４５歳女性。これまで私が幾つかの美容形成外科手術を施行して来て、お互いに信頼感が醸成されて来たいい患者さんです。初診は２年前の暮れですが、このブログによく登場される患者さんに紹介されたそうです。いくつかの手術を施行してきて満足されています。
眼瞼は後天性二重瞼で浅い引き込みでした。後天性前葉性眼瞼下垂は進行してきました。これまで何回か埋没法もしてきました。内眼角間３６㎜：眼裂横径２８㎜：角膜中心間６３㎜で、蒙古襞は拘縮していますから、目頭Z-形成術の適応であります。今年に入っての来院時埋没が弱ったのが見えました。開瞼も低下。後天性後葉性も進行したと感じていました。でしたらフェニレフリンテスト！。目薬を２滴で患者さんが「可愛い！。」と自賛？。ならば直ちにNILT法の適応です。どうせなら重瞼も広げましょうとなりました。実際には術中に挙筋の強化後にラインを選びましょう。
遠方なので、一部の画像は自撮りして送ってもらいます。
上には術前の遠近二葉。前に私が造った重瞼線が不確かです。開瞼も不良です。
上は術直後の遠近二葉。開瞼は向上して、重瞼もクッキリ引き込んでいますが、目頭の蒙古襞が拘縮している為、内側の前葉が上がらない典型例です。
上は術後３週間の自撮り画。自撮りでは妙に力が入るので右眉が上がって右眼瞼のラインが乱れて写っています。開瞼は向上しています。
上は術後６週間の自撮り画。露光不定でフォーカスも不明ですが、開瞼は向上しています。
次回来院されたら診察もできます。その際の画像をお楽しみに！
術後２ヶ月で画像をいただきました。どうしても目頭方面の内側付近が上がらないし、重瞼が浅いのです。やはり目頭Z-形成術の適応でしょうと伝えました。今後の課題です。
当院では厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守し、ブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。
症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。
施術のリスク・副作用について：・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは１～２週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、３ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに２週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、２週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後３日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後１週間（抜糸まで）は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の説明も加えます。NILT法は消費税込みで22万円。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として２０％オフとなります。
