2024 . 11 . 13

齢を重ねても眼瞼手術で元気に若々しく。本来小さい目の窓を大きくすれば、明るく暮らせます。

何回も書いてきましたが、形成外科医療と美容外科医療は、美容外科医療の車の両輪に例えられます。そして形成外科医療と美容外科医療は共に、形態を治すという目的を持っています。違いは、機能的改善をも目的とするかです。形成外科医療は、先天性でも後天性でも、または外傷や腫瘍などの原因がある疾患に対して、機能的な損失を改善することが必要とされると同時に、形態的な損失も取り戻すことが目的とされます。身体機能は形態的な良否と表裏一体だからです。対して美容外科医療では、正常範囲の形態をより向上させることが目的とされます。逆に結果として機能的損失を生じない様に治療するのは当然です。

こう考えてみると、身体機能に対しては、治すか壊さないかの逆の方向性ですが、どちらにしても身体機能の、解剖学的または生理学的な構造を知らなければならない訳ですから、医療者としては同レベルの素養を要するのです。そして形態面つまり美容的観点は、美容外科・形成外科どちらにも必要なのは当然です。そこでは美容医学的(科学的、人間学的、美術学的)な学術的修練と、美容医療の専門分野での経験が求められます。

何が言いたいのかと言えば、眼瞼の美容医療は、形態と機能の改善という両面性が高い分野だからです。敢えて言えば、ですから眼科医療では取り扱うべきではないのです。もとい、眼瞼下垂症は確かに身体機能の低下です。ただしそれは加齢による形態的変化、または先天的な異常に基づきます。ところが、眼瞼下垂症には目頭部で、蒙古襞の拘縮を伴う症例がほとんどです。前葉性では遺伝子が同座なので合併します。蒙古襞は下眼瞼に付着して皮膚と眼輪筋が突っ張るため、開瞼を阻害します。拘縮の解除のためには形成外科的な素養に基づく治療が求められます。これは何度も書いて来ましたが、目頭切開は蒙古襞の切除では目的を達しません。非形成外科医の美容外科医が未だに”やっちゃう”のは犯罪行為です。だからか美容外科治療として、残念ですが自費診療となってしまっています。ですから眼瞼の診療(=診察と治療)は、機能と形態の両面に配慮出来る医師、つまり形成外科と美容外科を共に修めた医師が扱うべきだと言えます。

症例は73歳女性。5年前から親子で来院されています。もちろん娘さんが連れてきて下さいます。いくつかの注射等の美容医療を受けていました。今年の夏に突然、眼瞼の治療を希望されました。

娘さんがブログを見てくださったのです。眼瞼下垂症と目頭切開(Z-形成)の記事をご覧になり、結果が見えるので、適応を訊かれました。となると早速診療と計測を始めます。まあ一目見て眉を挙げているし、前葉性は進行しているし、眼裂横径も小さいですから、計測するまでも無いのですが。

LF10㎜と後葉性がありますが、横が小さいので比率的に筋力低下では無いと考えられます。前葉は昔に他院S.で埋没を受けました。加齢と共に皮膚が進展して、被さって来ました。眼裂横径25㎜:内眼角間距離35㎜:角膜中心間距離57㎜で数字的に蒙古襞は被さり、縦方向に拘縮を呈しています。閉瞼して眉を抑えて開瞼を図ると、前葉が邪魔になって開けません。

術前の両側眼瞼部の画像です。

今回は斜位の近接画像で診ます。窪み目は後天性後葉性眼瞼下垂に合併してます。

デザイン後の画像です。重瞼線=第一切開線は閉瞼して、無緊張下で瞼縁から6㎜上に設定し、皮膚切除幅は4㎜で第二切開線をデザインしました。

蒙古襞の下眼瞼付着部から蒙古襞の稜線に沿って4㎜の縦辺。一辺4㎜、60度のZ-形成術をデザインしました。

DSC_0077

いつもの、机上の図。図の左が術前のZ-形成のデザインで、実物の左眼瞼(向かって右)に描いています。図の右が術後です。一辺4㎜ですと目頭の位置は1.5㎜内側に動き、蒙古襞の拘縮は伸びて、目頭の角である三角形abdはa’c’d’へと下向きから横向きへ入れ替わります。術後画像でも説明します。

なお、眼瞼部の第一切開線と第二切開線はZ-形成の上の辺に止まっています。

上左図は術直後の眼瞼部画像です。上右図は切除した皮膚です。

斜位近接画像でよく診ると、蒙古襞は拘縮が解除されています。開瞼は右が強くなりました。

手術翌日の眼瞼部画像です。まだ眉を挙げています

近接画像で診ると、よく開いています。重瞼も揃っています。

術後1週間で診ました。全抜糸します。

ご覧の通り、やはり右眼瞼の方が大きく開いています。でも視界が広くなってお喜びです。娘さんも喜んでいるのを見て、お褒めに預かりました。

そこで近接画像を診ると、右の眉の方が挙がっています。そこでボトックスを打ちました。

下には術後2週間での画像。

ボトックスの効きが、注射後1週間ではイマイチの様で、まだ右眉が動きます。でも前頭筋が弱くなっているので、眼瞼の窓が対称に近づいています

よく診るとまだ右眼瞼の下に白目が見えていました。よく開いて視界は良好だとおっしゃっていましたが、乾くのを感じるそうです。まだ変わります。

下には術後1ヶ月です。

左右の開瞼が揃って来ました。

目頭の肥厚性瘢痕も悪化していません。

術後2ヶ月でも魅せてもらいました。

よく開いて便利で、若々しいです。

下には遂に術後3ヶ月で完成を観ましょう

よく開いてお喜びですが、ちょっと眩しいと訴えます。でも今後まだ後戻りは起きますと告げました。

右上眼瞼縁の下に白目が露出することはなくなりました。これなら乾いて困ることはありません。

当院では、一昨年に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」を遵守しブログを掲載しています。

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用は、眼瞼下垂症の診断が得られれば保険診療です。3割負担は約5万円(出来高請求です。)です。目頭形成術は角膜に掛かる程でないと保険は適用出来ません。自費で28万円+消費税です。