三つの手術を同時に行いました。トッピングでもぼったくりでもありません。逆に、適応をよく検討した結果です。診察を念入りにして、鑑別診断の下に決めますし、人格や周囲の目を加味して、ダウンタイムも選択の要素になりますし、過去に受けた医療も関係するし、生来の状態も関係します。これらを全て診察所見と言います。
上眼瞼下垂症を簡単に鑑別すれば、先天性と後天性及び前葉性と後葉性の要素の組み合わせで4種です。程度は計測値により、手術法は自ずと選ばれます。幾つかの選択肢が適するならダウンタイムと持続性も選択の基準に加わります。今回は先天性前葉性眼瞼下垂が主体でしたから、眉下切開と重瞼術埋没法が適応しました。
下眼瞼形成術はやはり多種に亘ります。シワが主か?、目袋が主か?。両方か?。下眼瞼は何と言っても外反を起こしやすいので、手術適応を吟味しなければなりません。シワなら、皮膚剥離が主体で眼輪筋は折り畳んでたるみをなくし、涙袋も希望があれば温存します。目袋のたるみは眼窩脂肪の多少によるのでなく、前で抑える眼窩隔膜や眼輪筋の伸展緩みが原因ですから、筋や隔膜の吊り上げや引き締めが主たる手技となります。決して眼窩脂肪が増えたわけではありませんから、いわゆる脂肪除去しても、早晩眼窩内から逸出してきます。Hamra変法である眼窩脂肪移動術は目袋の改善の持続的効果はありますが、やはり外反のリスクが高まります。
上下眼瞼の同時切除は目尻部で上下に引かれて、目尻に縦のひだができることがあります。取っちゃったら起きたのなら治せないの気をつけなければなりません。でも上眼瞼は眉下で切除して、下眼瞼は皮下剥離を主とし、皮膚はシワが伸びる程度だけの切除に留めれば緊張が無いのでひだが起きません。今回は都合よくこの組み合わせで手術できましたから、安全でした。
眼瞼形成術は奥が深く、念入りに診察して手術適応を吟味しなければ結果が得られないどころか合併症を起こします。みなさんは美容外科医は医師だから、まともなことしかしないと考え違いしていますよね。美容医学の知識と技術と経験は積み重ねです。ましてや新人医師を雇う美容外科チェーン店では、勉強の時間など持てませんし、丁寧な診察の時間を持てませんから、無理な話なのです。私は真摯に診察して、丁寧に手術することをモットーとしてきました。
症例は52歳女性。2年前から当院で主にエステ的な治療をしていた。今回約1年半ぶりに来院し私の診療を希望された。いきなり「眉下切開は出来ますか?。」と訊かれた。ブログで症例を視たそうです。
カルテから転記します。眼瞼は先天性一重まぶたで、30歳代にSで埋没をうけた。もう緩んでいる。LF13㎜と先天性後葉性は存しない。前葉性と眼窩脂肪の量ですが、触診上ヘルニアでは無い。重瞼は狭くなっているので埋没で再建が必要。下眼瞼は目袋は軽度ですが、しわが多い。皮膚切除で形成可能で涙袋は元来あるので温存するために眼輪筋を折り畳む。眉下で前葉性を治すことが可能で、ダウンタイムも短くできる。開瞼時に眉を挙げる7㎜切除が有用です。なおアートメイクがあるので、切開線はその直下にすれば傷跡が見えなくなるが、眉尻は短いので書いてもらう。
手術当日はブロウを書いていないが、ほぼ水平に延長して書くことが多いそうで、その様にデザインすることとなった。MT方で3点止めは既存のラインを強化。下眼瞼は皮膚切除と眼輪筋折り畳みで、涙袋形成を予定通りする確認した。
画像を視ましょう。
眼瞼部遠近画像では、やはり開瞼は落ちていないのに瞼縁の上に皮膚が載っています。開瞼時に眉を挙げています。下眼瞼はシワが主です。
近接像で見ても重瞼が大部分緩んでいて乱れています。目袋はありません。
上にデザインの開閉時画像。眉下:アートメイクの下縁線から下に、目頭から目尻まですべて幅7㎜切除のデザイン。眉尻はアートメイクを超えて水平に書いています。
埋没法(MT法):前回何十年前に掛けた線がうっすら残っていますから、その高さに両側3点。
下眼瞼:切開線は瞼縁のまつ毛のラインの1㎜下ですが、この画でも隠れて見えません。点で描いた範囲が皮膚剥離範囲です。
今回は切除物を撮りました。上左図は眉下で切除した皮膚、皮下脂肪。ここには眼窩脂肪でなくブロウファットが厚く(約5㎜)ありました。これを取ればすっきりします。直下には眼輪筋があります。これを縫い寄せて引き上げます。今回は両側6針懸けました。上右図は下眼瞼で切除した皮膚。下眼瞼縁には皮下脂肪はなく、今回は眼窩脂肪は触っていません。皮膚は両側とも幾つかに分けて切除し、その度に外反が無いか確認します。
術直後には突っ張ってしまいます。腫脹も眼瞼に落ちます。下眼瞼は皮下手術なので腫脹は軽度です。創はまつ毛に紛れます。
術直後の近接画像では、さすがに創が見えます。
翌日再来。疼痛は無い。被さりが取れたために眼球が乾燥気味でしたと。涙変わりの点眼を処方した。血痂除去してそう経過は順調。開瞼は良好でぱっちりしたとお喜び。
下には術後1週間の抜糸直後。
遠近画像とも目の開きが改善されてパッチリしています。患者さんはすっきりしたとのこと。下眼瞼のシワはなく平らです。 外反もScleral show直訳すると強膜(白目の表面膜)の露出も見られません
近接画像で見ても創跡(もう抜糸したのでキズでなくきずあと )は日に日に目立たなくなっています。埋没法の引き込みの強さはなだらかになります。下眼瞼のキズ跡は谷線になっていますが、必ず平坦化して見えなくなります。
術後1週間までの経過です。結構ダウンタイムが早いでしょう?。次回術後1ヶ月ではほとんど見えなくなるでしょう。お楽しみに!。
下に術後1ヶ月の画像。
眉下切開と当院ではMT法と称する重瞼術埋没法で目がパッチリして明るく元気に見え、若返りました。目の窓が急に大きくなったので乾燥しがちだそうです。慣れます。それまで目薬使ってください。差し上げます。
近接画像で診ると、まだ傷痕は赤いですし、下眼瞼は平らでも傷痕は弧線状に陥凹しています。実はこれは平坦化します。もちろん幅はなく治ります。眉下の傷痕も白くなれば見えません。
次回術後3ヶ月をお楽しみに!。
下には術後3ヶ月の画像群。
とにかく目がパッチリとして、若返り、視界が明るくなりお悦び!。傷跡も気にならないとのことです。
眉下切開に関しては私が丁寧に真皮縫合したからでしょう。MT法=埋没は同時に受けてよかったです。下眼瞼はたるみによる目袋は術前に無かったので、平らになっただけですが、小じわはほとんど消えました。傷跡は術前の近接画像を見ればわかるように瞼縁には赤みがあるのが正常ですから、そこに赤い線の傷跡があっても不自然ではないのです。
当院では、厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。
症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。
施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の説明も加えます。眉下での切除術は先天性でも後天性でも、前葉性眼瞼下垂症と診断されたら保険摘要となります。MT法は消費税込みで10万円。下眼瞼たるみ&しわ取り術は皮膚の切除だけなら、28万円+消費税となります。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。