これまで何回か登場して下さった患者さんです。この度久し振りに本当のHamra,ハムラ法=Orbital fat Repositioning, 眼窩脂肪移動術を施行しました。吊り上げは筋皮弁法を使います。手間と時間が大変に必要な難しい手術です。
この手術はUSAでも有名なリフト手術の得意なAesthetic Plastic surgeon であるSam Hamra が考案した方法です。本来Composite Face lift としてFace lift と下眼瞼からのmid Face lift を組み合わせた手術法ですが、日本では下眼瞼の瞼頬溝,Tear Trough の改善法だけを応用した手術をハムラ法と呼んでいます。因みに下眼瞼から上顎骨と頬骨へのアプローチは、頬骨骨折整復術や頬骨骨切り手術の際に使われるので、形成外科医の得意分野です。下眼窩神経血管束を触ると大変面倒な事になりますから、形成外科の診療を充分に経験していない医師は手を付けてはいけない手術です。
症例は49歳女性。いくつかの美容医療手術を受けてきました。私に罹り始めてから、顔面のバランスを取って、部品部品ごとに改善してきました。加齢顔貌に対する再建術と、美容目的の理想的な顔貌を求める治療を組み合わせて、治療してきました。私が順位を示唆すると患者さんはスケジュールを調整して手術計画を立てて行かれます。今回は下眼瞼の弛み取り手術ですが、本年初頭から計画してきました。下眼瞼の切開手術はダウンタイムが長いのでタイミングを合わせないと出来ません。
実は瞼頬溝があったからかどうか知れませんが昔他院でヒアルロン酸を入れていて、それが却って陥凹の原因になったと申告されています。私はその経過を良く判りませんし、理解が難しいのですが、触れると硬いものがありました。6月に先ずこれを溶かしてから、手術しようとなりました。結果として溶かしたら溝が目立ちます。内側が特に深いです。こうなるとHamra法が適応ではあり、それも内側コンパーメントだけで可能です。筋皮弁法で5㎜は挙げて内側脂肪移動しましょうとなりました。
画像は各方向別に術前から
翌日は下眼瞼が平坦化していますが、腫脹は亢進しています。特に右、左は通常程度。結膜下血腫は無いし、眼窩内に問題は認めない。目尻付近にScleral Show が診られる。
4方向の左列は術前、右列は術後1週間です。瞼頬溝は消えなくても目袋は見えない。
上には術後2週間の画像群です。下眼瞼の傷跡は目立たない。弛みない。溝はわずかにあるが上にあるので弛んで見えない。
上には術後1か月の画像群です。創跡は目立たなくなりました。手術の効果は充分です。
下の列にはいよいよ術後3ヶ月の画像群を並べました。
正面像で視線を変えて撮りました。下を向くと下眼瞼縁は2㎜程度下がり、わずかに目袋が出来、溝が見えます。上向くと下眼瞼縁は上に引かれて溝は見えません。
斜位像で溝は見えたり見えなかったり、視線で変わります。でも目袋そのものは袋に見えません。下眼瞼の半円形部に張りがあり、しわもありません。
側面像では下眼瞼から頬前に懸けて凹凸がないのが判ります。患者さんは大喜びです。大変面倒な手術を時間を掛けて施行したので、私も嬉しい限りです。
当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の提示です。下眼瞼形成術は術式により30〜40万円+税です。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。