可哀想です!。若くしてくぼみ目が目立つ患者さんです。いや、だから、疲れて見えて可哀想です。私の書いたブログを観て、治せるといいな〜と想ったそうです。くぼみ目に対して切らない眼瞼下垂手術で治した症例を、私が何例かブログに載せているのを視た様です。かといって診断が必要です。ただし見た目の診断(視診)も役立ちます。美容形成外科医として医師として、真面目に診療する私の出番です。診断は治療方法の選択に役立ちます。
くぼみ目は幾つかの原因があります。1、眼窩骨が眼球よりも前にある人は、眼球と骨の間にくぼみを生じます。この場合家族性が多いです。2、眼窩脂肪が少ない。加齢で減る場合。羸痩=痩せて、眼窩脂肪も減った。後天的な経年変化です。3、脱水症状や日中顔が上方にあり水分が重力で減ってきた場合。疲れとかやつれと表現され一時的。日内変動です。4、後天性後葉性眼瞼下垂に随伴する代償症状。加齢性または疾患に因ります。 通常1〜4の原因が組み合わされます。だから診断が難しいのです。診断は治療法を選ぶためにあります。料金を決めるためではありません。ただし逆に、多くの症例で4の原因に対する眼瞼下垂手術が功を奏します。何故なら後天性後葉性眼瞼下垂は成人後に必発するからです。
本症例には原因1はありません。画像をご覧になれば解ると思います。眼瞼に覆われた眼球が、骨より後ろにあるわけではありません。原因2の痩せて体重減少&体脂肪量減少は、訊けば判ります。体重減少したのでもなく、もともとくぼみ目傾向だったのが、徐々に悪化してきたそうです。原因3は日内変動を伴います。誰でもです。季節変動もありますが、脱水の程度に個体差がありますし、加齢で保水力が落ちると悪化要因になります。定常的にくぼみ目なわけではありません。
ここまで書いてきて、「これじゃあ〜!、原因不明となってしまい診断不備で、治療法も決定できないじゃあないか?。」ということになりますが、もう一つ検討の課題があります。原因4は程度の問題です。後天性眼瞼下垂は加齢に伴うわけですが、進行するスピードは個体差が大です。そして、生来眼窩脂肪が少ない原因2の人はいるのです。そのタイプの人は成人後に、加齢に伴い軽度の後天性後葉性眼瞼下垂症が進むと、くぼみ目が顕著になり得るのでしょう。いずれにしても、切らない眼瞼下垂手術が効を奏します。
そこで、原因4の後天性後は性眼瞼下垂症が窪み目を呈するメカニズムと、切らない眼瞼下垂手術について説明します。
後天性後葉性眼瞼下垂症は、上眼瞼挙筋が瞼板から外れる事です。先天性後葉性眼瞼下垂症は眼瞼挙筋の筋力が産まれつき弱い病態です。後天性後葉性眼瞼下垂症はいくつかの原因も考えられますが、成人後は成長が止まればその後は単純に加齢性変化です。そして進行に伴って多くの形態的変化と機能性症状を呈します。眼瞼挙筋が緩むと開瞼時にミューラー筋が頑張るので交感神経の亢進を来たします。また、眼瞼挙筋の前には眼窩脂肪が載っていますから、挙筋が外れると一緒に後方へずっこけます。従って窪み目が進行します。重瞼も乱れます。
眼瞼挙筋が瞼板から外れたのなら、寄せれば治せます。従来は眼瞼の重瞼線を前から切って剥離し、眼瞼挙筋に到り挙筋を瞼板に縫い付けて挙がる手技が主流でしたが、現在は当院で開発された結膜側から縫い寄せる方法で、効果を得られる事が証明されました。私が学会で画像提示したのです。この方法は切らないので侵襲が少なく、ダウンタイムが短く楽に治せます。ちゃんと瞼板に糸を通せば抜けませんし、だから後戻りも稀です。ただし先天性では筋力が弱いので直ぐ戻ります。後天性後葉性眼瞼下垂症に伴う窪み目を呈する場合、本症例でご覧になれる様に、短期的には効果的です。ブログでは3か月までの中期的経過を提示しますが、今までの症例では後戻りが診られません。楽しみに診て下さい。
症例は29歳の女性です。主訴:くぼみ目と上顎の前壁が平坦で目袋の下に瞼頬溝もあります。ただし、それは画像を見れば判りますが、厚く無い目袋の下の浅い溝は手術適応ではなく、注入療法の適応ですと説明しました。くぼみ目はNILTで効果がありますと紹介するも、既にブログで視た模様。二重のラインは変えない希望。フェニレフリンテストでシミュレーションするチャンスがなく、二重がどれだけ狭くなるかは予想が付かなかった。つり目で眼裂横径23㎜:内眼角間29㎜:角膜中心間55㎜と蒙古襞は拘縮がある。顔が小さいので一辺3㎜のZ–形成術による目頭形成術の適応ではある。NILT後2週間診てPRPか?。
手術直前の診察時。シミュレーションが不備だったのを申告し、「眼瞼挙筋を強化すると、眼瞼の後葉は挙がり、前葉は変わらないから相対的に二重は狭くなります。」「二重の幅は変えたく無いのですよね。」「ならば、挙筋を短縮してから重瞼線を決めましょう。」とお願いし、ラインは術中決定としました。
画像は遠近の正面像から経時的に診ていきましょう。
上には術前の遠近二葉。左の遠景よりも右の近景の方が開いていません。窪み目は深い。
今回術中にも座位で撮りました。上左図は挙筋を縫縮した直後です。既に窪み目は軽快しています。瞼縁がかなり挙がって皮膚はそのままですから、二重が消失しています。上右図はその場で左眼瞼前葉にブジーを当てて、二重をシミュレーションしている際に撮りました。「これでどうでしょう?。」「元と変わらない幅ですよね?。」と念を押して二重幅を決めてマーキングします。
上左図の如く、その後ライン上に針孔を開けて、糸を出してもう一度座位で診ます。窪み目は消失しているのに重瞼幅は術前と同じです。ただし開瞼は拡大しています。上右図は一休みしてからもう一度撮りました。楽に開いています。
手術直後の開瞼時と閉瞼時。直後は糸の通した3点ずつに血が着いています。なお開き過ぎで閉じにくいのは局麻が切れたら治ります。
下には左右眼瞼の近接画像。今度は術前術直後を並べます。
上の左眼瞼部像は角度と視線が変わって写りました。従って開瞼は強化されて見えませんが、窪み目は浅くなりました。一応重瞼線は同じですが内側は開瞼が強く出来てわずかに狭くなりました。LTの効果は短期的には半分戻りますから揃います。
上の右眼瞼も視線が違います。術直後の開瞼は、痛みもあり弱めています。窪み目は消失していて、重瞼は変わりません。
今回術前と術直後を比較しました。次回術後2週間で画像を戴きます。かなり落ち着いて良い形態と機能が診られると思います。お楽しみに!。
下に術後2週間の画像。
ご覧のようにとても良い形態と機能を呈しています。開瞼は良好で主たる目的であるくぼみ目も解消しています。閉瞼での糸の後の点はまだ赤く、わずかに凹んでいますが、日常生活で閉じて見せなければ見えませんし、瞬きの瞬間では判りません。
何より自然な開きと重瞼線で、年齢相当のくぼみ目は眼窩縁に沿っている自然な構造です。年齢とは成人までの眼窩骨の成長に伴う形態を呈しているのです。
重瞼に関しての質問を戴きました。早期に外れたらテクニカルエラーですから掛け足します。2点なので瞼縁と重瞼が全く並行なのでなく追加も可能です。次回術後1ヶ月で診たいと思います。
ラインが弱い。近々追加するかも知れません。
術後3ヶ月がやって参りました。
重瞼の深さは変わりなく、幅も対象的です。追加手術は現在必要ないと見えます。窪み目の改善は功を奏しています。ところで窪み目は上眼瞼ですが、目周りがコケ気味です。下眼瞼の目袋の下の瞼頬溝はPRPの適応です。それなら上眼瞼くぼみ目も追加してもいいでしょう。
目の開きは充分に保たれています。だから窪み目が少しでも再発しても目元が元気なままでいられるのです。術後3ヶ月は勤務が合わなくて診られませんでしたが、近々見せてくださると嬉しいです。その際次の段階の検討もしましょうよ?!。
当院では、厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。
症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。
施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の説明も加えます。NILT法は消費税込みで22万円。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。