2024 . 10 . 21

下顎縁より下方を引き上げるリフト。これまで何箇所かリフトしたけれど戻ったらしい。剥離が足りなかったんでしょう!。

私は、本症例の様に、リフト手術を繰り返す事が出来ます!。面倒では有りますが、出来ます。リフト手術は半永久的でも、何十年もの若返りは不可能です。どんなに頑張っても、10年分以下が限界です。それ以上切り取ると、傷が縫えなくなるか、数ヶ月後に傷跡が拡がって目立ってしまいます。ですから通常は5年分程度です。でも患者さんは要望がエスカレートします。5年後に年を取ったらまた若返りたくなります。昔父は初診時から、「リフト手術は一回で済まそうとなんて思わないで若い時分から複数回受ける方がいいよ!。」と強弁していました。ちなみに最高8回受けた患者さんがいらっしゃいました。5回が父で後年は私が3回手術しました。最後80歳でも50歳代に見えました。私も最低で28歳の患者さんをリフト手術したことがあります。なお、後戻りは手術法と手技で少なく出来ます。剥離範囲と層、さらに縫合法が効果を持続させます。そこは、形成外科と美容外科を研鑽した医師だけができる技です。逆に瘢痕が支える訳ですから、繰り返すほど長持ち度が増えます。

逆に今時の、巷間に跋扈する素人に毛が生えた程度の美容形成外科、特にS.等々のビジネスを目的としたチェーン店系の美容クリニックでは、断られるそうです。理由はいくつかあります。まず2回目以降に同じ切開で入り、同じ層を剥離すると、瘢痕が硬いから切り難く、逆に丁寧にしなければならないのです。硬いものを着る際は力を要するから、少しずつ進めないと危ないのです。また剥離範囲を拡げるためにも時間を要します。時間が掛かる手術を、チェーン店では時間対価が下がるからしたがりません。また彼らには技術が伴いません。形成外科の研修を受けていないどころか、内科系の他科からの転科医が未だに多いからです。医師は卒後教育の質が技術と知識を担保します。チェーン店美容外科で云われて、”リフト手術は一生に2回までしかできないんでしょう?”とかいう患者さんがいらっしゃいます。騙されたあ〜!。

私はリフト手術を部位ごとに分けて行います。当院では手術時間を3時間45分最大5時間45分と限っています。リフト手術では、特別に4時間を超えて最大5時間45分の時間を用意してくれる時も有りますが、こうなると私がの体力と集中力が保つかどうかが不明です。ですからやはり、私はリフト手術を分けて行います。その代わり、集中して、丁寧剥離操作を加えます。リフト手術は、剥離範囲と層が持続性に直結します。何度も書きましたS.等の剥離幅ゼロに等しい、なんちゃってリフトは数ヶ月で戻ります。手術時は患者さんは自分を見られないので、剥離範囲も何も知り得ません。直後の結果は得られても、数週間から数ヶ月の経過でバレます。そんな患者さんが、主観的判断と片づけられて、その後は当方の下によく来ます。一言!、真面目にやりましょう。

でも数ヶ月じゃあなくて、数年保っても加齢には抗えません。私は予めその様な点を告げておく場合もありますが、逆に患者さんに「じゃあ後何年後かにも同じ森川先生に受けたいのですが、いつまでならやってくれます?。」と頼まれると私困った顔を見せて「父も70歳以降は手の動きが落ちました。私が後方から二人羽織で手術していながら父がやってる振りをすることもありました。」「後5年かな?、10年は無理でしょう。」「ですから後1回かな?。」と答えます。だから今のうちに沢山手術しています。まだまだ手術となると集中力が湧き上がるのです。

症例は36歳女性。画像を見れば判る様にいくつかの手術をさせてもらいました。私だけでなく他院での問題の修正も含んでいます。

5年前に他院S.で脂肪注入時にフェイスリフトを受けた。耳前から耳後生え際までの切開で、ネックにも効いたが、後戻りした様です。私「有りがちですよね!。」「剥離不足でしょう?。」「それに後だけを狙わないと足りないんですよ?。」と説明して、さらに「ちゃんとやれば、むしろ下顎下のリフトの方が後戻りが少ないのですよ!。」と強弁してしまいました。また本症例に対しては、下顎縁より下に対して私は、1年前に頤下切開で脂肪削除を行った結果は効果的だったが、下顎角付近は触っていない。患者さんは「ここを挙げたいのです。」と示します。画像でもわかると思います。要するにエラ(人間は魚ではないので、鰓は無いが、胎児の時には原基がある。本当は下顎角という部位)の下付近に残っている弛みを引き上げたいと指し示します。ついでですが、いつだか他院で入れた糸が触れるので抜いて欲しいとも頼まれました。確かに触れるとありました。私「剥離したら出てくるでしょう。引っこ抜きます。」と安請負しました。

当日確認します。患者さんと私で触れて「ここら辺を。」と指し示します。剥離は広いし、頸部の皮膚は薄く柔らかいので血腫を生じやすい為、PRPを併用させてもらいます。局所麻酔です。

画像は同方向を経時的に比較できる様に載せます。後段に近接画像で手術と創の説明も載せます。

正面像で術前と術直後を診るとむしろ術後は腫れて膨らんでいます。フォーカルポイントの下顎下は見えません。下の斜位像と側面像で観ましょう。

翌日診ました。血痂は少々で除去しました。創の癒合は良好でした。腫脹はさらに増えていましたが、「48時間がピークでしょう。」と説明しますと、患者さん「いつもの事ですから知っています。」と余裕を見せてくれます。前方は引き締めていない訳で腫脹も多くなります。なお、内出血は生じていませんでした。私「信頼関係が成立しているから、患者さんが精神的に安定しているからですよ。」とにこやかに告げました。

術後1週間で診ます。上左図は耳後溝以外は抜糸しました。上右図は術後2週間の全抜糸後ですが、腫脹は術前程度まで軽快してきました。

さて下の画像で観てください。斜位像で観ると、リフト効果が丸見えです。患者さんに鏡を振って見せたら、感動していました。

上は術前の斜位像です。下顎縁の下の影に弛みが覗いて見えます。

デザインです。点で囲んだ範囲を剥離して引き上げます。

術直後の斜位像ですが、腫れていても下顎縁の下には影がくっきり見えます。

術後1週間では、エラ!の下に皮膚が隠れています。

術後2週間では撮影位置の差もありますが、下顎下に影しか見えません。お悦びでした。

術前の側面像でも下顎縁そのものの縁が丸みを帯びています。

術直後では腫れていてもエラ!だけが見えます。

術後1週間では露光の加減でもありますが、下顎円がシャープにエッジが立って見えます。

術後2週間では綺麗な下顎縁のカーブが効果を魅せます。

下に手術中の画像を少々載せます。視たく無い方は飛ばして下さい。

右耳介部の画像です。耳介前の切開は耳垂部だけ必要です。既に剥離が済んで、耳垂先端だけキースーチャー(引き上げ量を決める点の仮縫合)をしています。前にも皮膚が余っています。耳後部の皮膚は剥離した皮膚を耳後溝に沿ってずらしていきます。最上部に皮膚が余っている分をマーキングしてあります。

こうして切除した皮膚は、耳垂先端で15㎜、耳後部最上部で右20㎜、左18㎜、生え際の切開最上部も両側18㎜でした。結構多く取りました。

皮膚をトリミングして丁寧の縫合します。術直後は糸で畝畝になります。

術後1週間で耳後溝以外は抜歯します。

術後2週間で全抜糸が終わりました。まだ傷跡に畝畝が残っていますが消えます。

当院では、厚生労働省より制定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。ネックリフトは35万円+消費税です。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。