カテゴリー別アーカイブ: 形成外科

2024 . 4 . 5

眼瞼下垂症は手術法を間違えないで下さいな。今回左側は短縮縫合法で、右側は前葉切除法と使い分けました。

昨今、眼瞼下垂を手術する美容医療の医師が増えています。SNS上で話題ですから、チェーン店系の非形成外科医も手を出してしまいます。また、眼科が担当すると考え違いしている患者さんも、たまにいらっしゃいます。何故違うのかと言えば、確かに眼科は眼球周囲を取り扱いますが、目的は視機能を診療する分野ですから、多くの眼科医は形態に留意するべきである、眼瞼を取り扱うのは得意としません。ただしそのような意味では、眼瞼は機能と形態の両面を留意しなければなりません。形成外科医は機能と形態のバランスを考えて治療する科目ですから、確かに合致します。したがって形成外科を学ばないで、医師となって直ぐに就職するチェーン店系美容外科の医師達は、機能面を学べないので、手術を担当するべきでなかったのかもしれません。 という
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2024 . 4 . 1

口角挙上術の2回目ですが、口角の内側の白唇がダブついているから、台形切除のデザインです。

美容医療は形成外科と美容外科を車の両輪と捉えて、使い分けて診療するべきです。一言でいえば、形成外科医療は何らかの原因(外傷や病気や先天性異常等)がある状態を正常な形態に戻す治療ですから保険診療、美容外科医療は正常範囲の形態をより改善してまたは加齢という正常変化による形態破壊を取り戻す治療なので自費診療です。しかし歴史的には紆余曲折がありました。 そもそも、美容的な医療は有史以来自然発生したのです。重瞼術は三国志にも記載されています。我が国でも少なくとも昭和時代に医学論文が刊行されています。もちろん美容外科どころか美容整形との科目名もない時代で、眼科医や耳鼻科医が手を出していました。日本は昭和36年に国民皆保険制度となりましたが、それまでは美容医療に限らず自費診療でしたから、美容医療に忌
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2024 . 3 . 25

若くして上白唇が長いのですが、上口唇短縮術は周囲の構造と関連します。

上口唇短縮術は、流行っています。欧米では、実際はもう25年以上前から発表されています。ですが鼻の下を切除する上口唇短縮術は、本邦では論文を渉猟する限り10年前からです。実は日本語には、”鼻の下が長い。”という揶揄があります。内面的人格に繋がる外面的形態と捉えられます。毎回私が書いて来た美容医療の基本的概念に合致します。ですから私は積極的に施行しています。 ですが、鼻翼間を切開して白唇を短縮する手術は、美容形成外科手術の中でも数少ない、顔の前面を切開縫合する手術です。顔の前を切る主なものとしては、黒子切開ですが、これは必要なら致し方ないと言えます。リフト手術は顔の横の耳前や髪の前の切開ですが、丁寧に縫合すれば傷跡は見えなくなります。眼瞼の切開は二重の線なので目を開いていれば見えません。ま
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2024 . 3 . 1

6年越しで眉下切開(切除)の2回目。保険診療ですが、ブログ提示を申し出て下さいました。初めて来院する際にブログを視ましたと。お互い様という事で。

眉下切開(切除)は眼瞼下垂症の改善のための手術です。したがって保険診療です。但しいつも書いてきた事ですが、適応患者さんを選ばなくてはなりません。前葉性と後葉性。先天性と後天性を鑑別診断する必要があります。眉下切開は後天性前葉性眼瞼下垂症には最適で、時に先天性前葉性(=一重瞼)にも使えますが、後葉性眼瞼下垂には適応しません。私は医者ですから!、この点を重要視しています。逆に巷間の美容外科クリニックはビジネスマンですから、医学に基づいた診断根拠に基づいた診療なんか出来ません。 毎回書いてきましたが、医師は大学医学部で学んでも、最低限の知識しか得られません。教わるのはは国家試験が求める程度の深さです。もし各専門面の細かい知識を国家試験に出したら、程度によりますが、ベテランの医師か大学医学部の
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2024 . 2 . 28

可愛い女子は何回かの美容医療を受けて来ましたが、経年変化に対して修正術を依頼されました。

Poly surgeryとは読んで字の如く多手術です。同一部位の複数回手術と、数々の部位の手術症例があります。これまで形成外科分野では、Poly surgery症例を好ましくないとされて来ました。その理由の一つには、同一部位を手術する場合には、それまでの治療法(手術に限らず侵襲)が少なからず影響するからです。深部も含む瘢痕(傷跡)が硬くて切りにくかったり、剥離(皮膚ならず内部の組織を剥がす事)の際に引っ掛かって力加減が難しかったりで、私に手間が増え、又は結果の良否に影響する可能性さえあり得ると言えます。もう一つの理由として前医が不明だったり、覚えていなかったり、少なくとも前の治療法が解らないことが多く、私が手術時に開けてびっくり玉手箱状態のことも少なからずあるから、私は術中に”どうしよう?!
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