この数ヶ月、目頭切開を併用した眼瞼下垂手術の症例を提示させて頂きました。
今般3症例とも術後経過写真を撮らせて頂きましたので、本日ブログ上に取り揃えました。3症例の、術前と現在をお示しします。
症例1 26歳、女性。
術前診断:一重瞼、皮膚下垂強い。挙筋活動距離は10mmとやや低下。眼裂縦径(第一眼位=正面視)は7mm 眼裂横径24ミリ、内眼角間37ミリ。角膜中心距離60ミリ。蒙古襞の拘縮強い。前頭筋常時収縮とChin up そのため若年にしては皮膚伸展。
9月11日手術:控えめの重瞼線=瞼縁から4.5ミリ(臥位で皮膚無緊張下)で切らない眼瞼下垂手術。目頭切開は一辺4.5ミリのZ-形成法
現在約3ヶ月の経過:眼裂縦径8mm 内眼角間距離34mmと満足な結果で目力が付いたと歓ばれた。大人っぽくなった。右まぶたのほくろの位置に注目。おでこの力が抜けて眉毛の位置が下がり、目元がキリッとした。
症例2 24歳、女性
術前診断:5年前某美容外科で切開法と目頭切開。開きが足りない。挙筋滑動距離11.5mm 眼裂縦径6.5mm 眼裂横径24mm 内眼角間距離32mm フェニレフリンテストには、反応する。
先天性眼瞼下垂に腱膜性が加わっている。目頭は離れていないが、もうこ襞の拘縮は強い。
11月12日手術:前回のラインを使い。皮膚を3mm切除。一辺4.5mmのZ形成術をつなげてデザイン。挙筋腱膜の短縮と、重瞼固定を強化。
現在約1ヶ月半の経過:術前の常時眠そうな二重瞼が解消。二重瞼は幅は不変なのにくっきりした。開瞼は7.5mmと正常下限。眼がきらっとした。内眼角間距離はZ形成のデザインを45度にしたので、両側1mm×2=2mmの移動だが、拘縮は解除されている。患者さんはメイクが映えると悦び、はっきりした目元が演出できた。
症例3 25歳、女性
術前診断:先天的に眼裂小さいのは親にも指摘され、自覚していた。幼少時から前頭筋常時収縮していた記憶がある。無治療できたが、頭痛肩こりが若年性に生じてきた。挙筋滑動距離右8mm左7.5mm 眼裂横径24mm 内眼角間距離38mm フェニレフリンテストには反応。
他院では眼瞼下垂ではないといわれ、重瞼術も施行されず。当院を受診した。先天性眼瞼下垂に腱膜性が合併している。皮膚は一重瞼のため下垂。しかも前頭筋の常時収縮のために、弛緩(=伸展)している。
12月2日手術:普通のライン6mm。切除は3mm。一辺4,5のZ形成術による目頭切開をつなげる。挙筋短縮と重瞼固定。
現在約3週間の経過:術前、術後の差がはっきりしているが、むしろ術後のほうが自然な二重瞼となり、目力は自然に入る。前頭筋は力が抜けて、眉の位置が下がり、無用な力が入っていない、自然な表情に見える。内眼角距離は35mmだが、顔とのバランスではいい数字。
無理にお願いしている訳ではないのに、こんな自然な笑顔を作ってくださると、患者さんは喜んでいるのは見えますし、私たちもうれしいです。
ブログを公開し始め、症例提示の割り引きを募り始めました。月に1例程の承諾症例が得られ、順次提示する事ができています。
今回はこの数カ月に応募いただいた上眼瞼の3症例を並べてみました。
眼瞼下垂と、蒙古襞の突っ張りによる抵抗。一重瞼による皮膚下垂などの併存による開瞼障害、つまり機能障害が存在する症例ですが、それぞれにどのような治療をするといい結果が得られるかが、選ばれなければなりません。
何度も言いますが、人の顔は、または人の顔の部品は、同じものはありません。似ていても同じではなく、必ず違いがあります。ただし、違うものにそれぞれに違う対応をすることは、余りにも複雑で決められません。そこで仕方なく、類型化しなければ診療が進みません。私達がミリ単位での調整をします。といっても、ミリ以下の調整はできないのです。そこで、逆に言えば、類型化が必要なのです。
逆に全ての症例に類型化どころか、診察をおざなりにして、医療者の都合、または狭いレパートリーの中での、人の顔のバリエーションを考慮しないでの、どなたにもほとんど同じ様な治療法を勧める。オッと、正しくは押し付けるというべきな診療方針を取っている美容医療クリニックが多くあります。特にチェーン店クリニック=大手有名クリニックが治療した症例が、ナ二これ?!、ゼーンゼン思った通りの結果じゃない!。との不満を感じて、私達を頼って来院されるのですよ。
今回の症例を見直してみましょう。やはり、他院(=大手チェーンクリニック)での診療結果に不満で、私達を探して来院されたのです。
そう言えば、このブログを見て来院された方も、数名いらっしゃいます。考えてみれば、このブログが、患者さんの光陰となっている訳で、さらなる情報発信の必要性が感じられます。もう一度言いますが、人は二人として同じ顔は無く、同じ顔を求める訳でもありません。でも機能=社会的機能と、形態=美容的観点が、医学的、科学的、社会的に求められる敷居線を設定できる筈です。またはその閾線を作っていくか、見出していく事は、私達美容医療に携わる医師の使命でもあるといえます。今私は、私が信ずる理想を手元に置き、一人一人の患者さんに真摯に対峙して、一例一例に対して、患者さん個人にも社会全体にも満足な結果を与えられる様に努力していきたいと、肝に念じております。
今回3例並べて提示したのですが、参考になりましたでしょう!?。年の瀬も迫って、私達美容外科医は忙しいです。そこで今回は総集編と銘打ち、今年の症例をまとめて、その上で、違いを相違を提示したいと思ったのですが。
長くなりましたので、ここで一度切ります。総集編なので、長くなり過ぎたので、次回に続けます。