2013 . 12 . 12

鼻の美くしさⅡ:アップノーズとショートノーズ。部分とバランス。

前回の鼻の美しさⅠのプレゼンで、美容外科的に具体的にいくつかの留意すべき点と改善法を羅列してみました。a,幅の短縮が求められる場合鼻翼縮小術 b,鼻尖の位置を下げたい場合鼻尖下制術とか延長術と呼ばれる手術 c,鼻骨部が幅広い場合鼻骨々切り術 d,鉤鼻にはヒアルロン酸注入やシリコンプロテーシスで安全に改善できる e,正しい意味でのアップノーズを作成するヒアルロン酸でのシミュレーション f,彫りを作るヒアルロン酸注入での隆鼻術 g,鼻尖から鼻柱、鼻唇角をヒアルロン酸で鼻尖と同時に形成していく。またはここだけのプロテーシス h,鼻尖を綺麗に作る為の耳介軟骨の3段重ねで”Diamond型”の移植。忘れていましたが、鼻孔縁の下制術というのもあり、適応症例はありますが、リスクがあるのであまり選択されません。

他にも留意点はありますが、今回はこの中から、1症例に何が必要かを考えていきましょう。

今回の症例はこのような鼻です。

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正面像では、二つのポイントが見いだせます。①鼻翼の幅が広い。最大幅が36mmあります。内眼角間距離は目頭切開していますので33㎜となっていて、差があります。目の間と鼻の幅は同値が好ましいバランスです。また、鼻翼の最大幅部が下方にあり、いわゆる”あぐら”を書いたような鼻の形です。②鼻尖の位置が高い。上を向いた鼻尖です。これはアップノーズとは言わず、ショートノーズと言います。左右の鼻翼の最下点=鼻翼基部を結んだ線より鼻柱または鼻尖の最下点が上にありますが、下にある方がきれいです。その目指すところは”矢印鼻”といわれます。さらに言えば、鼻尖の最突出点の下から鼻柱への移行部ががペタッと平坦です。鼻せんのサイドのシャドーはダイアモンド型が理想ですが、下半分がはっきりしません。そのために、鼻孔の最上点が切れ上がって、鼻孔が目立ちます。③鼻すじのハイライトがはっきりしない。やや太い。

斜位でも、正面像と同様の②上を向いた鼻が見いだせます。③鼻すじ=鼻稜線は他院でのプロテーシスが入っていて、患者さんは好きだそうです。高さはいいと思います。正面で見て、太いが気に入らないそうです。私も同感です。

下面像では、①鼻翼幅が大きいのがはっきり見えます。鼻柱長よりも長く、3点を結ぶと正三角形よりもつぶれています。これは治したいところです。②敢えてよく見ると、鼻柱の一番下=鼻柱基部と鼻の下=白唇部の角=鼻唇角がペコって凹んでいます。鋭角だからです。鼻尖が上にあるだけでなく鼻柱も上にあり、さらに鼻唇角が喰いこんでいるのです。それはよく見ると正面像でも判ります。鼻柱の陰に鼻唇角が隠れています。

治した方がいい部位は判りました。それではどのように治しましょうか?。ここで私は、頭の中の引き出しを開いて探し出します。②鼻尖鼻柱に対して:前回の治療法のb,鼻柱延長術は、片側耳介軟骨だけでは不足だと思います。鼻中隔軟骨では鼻尖と鼻柱を共に下げることはできません。肋軟骨は硬いし、傷跡からして論外です。この場合、鼻尖鼻柱の位置を下げるというよりは、下に出す=下制術の論理ですが、この症例では、h,のダイアモンド型を作りたいです。鼻尖の形を際立たせて、鼻尖の位置も下げるには、3段重ねの耳介軟骨移植がきれいです。父はプロテーシスでそれを作ってきましたが、やはり、負担がかかり、長期的(10年~30年)でのリスクがあることを経験してきました。今や私はこれを軟骨で作るデザインを習得しました。いい形を作れますよ。①鼻翼に対しては:a,の鼻翼縮小術が二通りあることは前に述べましたよね。この症例では鼻翼が広いが丸い張り出しはないので、付け根を狭める適応です。両側を糸で縛るのですが、33㎜を目標とすれば、余剰は目立たないので切除は不要と考えます。つまり切らない鼻翼縮小術で充分に可能です。③鼻陵の太さはプロテーシスを細くすればいいと考えられます。患者さんもこの高さとカーブは嫌いじゃないとの事ですから、これを改造しましょう。

具体的な手術手技を説明しても、解らないと思いますので、先ずは術直後の画像をご覧いただきましょう。

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今回は、患者さんの希望で、静脈麻酔をかけました。そうすると使わない時と比べ、術中に腫脹が倍程度亢進します。特に、操作した部分が酷いのです。それはそれとして、見てきましょう。

左の正面図では、「どうです?。」という結果でしょう。上から、鼻陵は腫れて太くなっていますが、ハイライトが中線に来て綺麗な断面にできました。鼻尖は、鼻柱から鼻唇買うの腫脹の為に持ち上げられ、上向きのままですが、必ず下がります。でも鼻尖の形が自然になったし、鼻尖の下まで丸みができましたね。また、鼻尖のハイライトとシャドーがダイアモンド型になったのを示しています。鼻翼気部と鼻柱気部の位置も平行にできました。正面から見て、鼻孔縁に切れ込みがあったのが、解消しています。もちろん鼻翼幅は縮小し、術直後は31㍉にオーバーコレクションにしています。鼻翼のカーブもあぐらでなくなっていますよね。右の下面図では、鼻翼のダラッとした広がりが治せて、三角が正三角形より縦長になりました。これが、外人鼻の条件です。鼻孔の形も縦長になりました。鼻尖の下から鼻柱にふくらみが見え、いいカーブです。鼻尖の形そのものは、腫脹で判定できませんが、腫れが取れたら軟骨の形が出てきます。

何をしたらこうなるの?、との声が出そうなので、4つのポイントを説明します。①鼻翼縮小術は両側の付け根に2点ずつ糸を通し、X字に掛けて引き締めます。予定のサイズにするには2倍の原料をすれば、戻ってちょうどいいのです。経験からそうなります。糸を通した孔は翌日には消えますので、ダウン態めが1日です。②鼻尖から鼻柱の美しさは、カーブ次第です。私がよく行う耳甲介軟骨を三段重ねするダイアモンド型は綺麗です。軟骨を15×10㎜取り、三枚に分けて、山形に積み上げます。親亀の上に小亀を乗せて、またまたその上に孫亀乗せて?、って言う格好で作ります。③プロテーシスを26年間作り続けてきた私は改良もお手の物です。ここはセンス=経験です。鼻根は一度しぼられてから、眉間の彫りに繋がるのが美しい鼻=外人鼻ですが、最近は本物のハーフタレントが多く、綺麗な鼻は当然彫りがありますから、好まれます。

④ではなく、コスト!。こんなにいろいろなことして、40万円+消費税です。時間は3時間かかりました。患者さんも私もヘバリましたが、いい形ができたと確信できた時は、至高の悦びです。

患者さんは翌日来院され、眉間に血腫を生じて可哀想でしたが、自然軽快を待ちます。形が出るのは1週間では済まないかも知れません。完成を楽しみにしましょう。患者さんも期待しています。

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