2014 . 4 . 14

美容医療の神髄Ⅹ-歴史的経緯第10話- ”口頭伝承話”その10

昭和53年に美容外科が標榜されてから、チェーン店方式や、フランチャイズ方式が産み出されました。前回はグダグタと正論を振るってばかりで進みませんでした。

実は、チェーン店系の美容整形ビジネスの者共に対する、中傷になるのではないかとの声が聞こえてきました。私は実名は出していませんし、私や、父が面と向かって交わしたやり取りを記憶している範囲で記載したまでです。ご存じのように、私と亡き父はJSAPSとJSASの両方の日本美容外科学会に属していたものですから、数多くの美容外科医と意見交換してきたからです。但し、記憶違いで間違っていたら御免なさいですが、勝手に相手が誤解して誹謗と取るなら、それは相手がそう言ったからからですよね。

話は戻って、チェーン店とフランチャイズの相違は、ご存知の通りです。美容外科診療所=医院(クリニックとは名称です。)でも、コンビニやファーストフードでも、経営形態は同様です。直営なのがチェーン店、つまり本社の経営です。フランチャイズは、ブランド力で売るし、物的資材や人材の提供は受けるが、法的には経営は独立。でも、上納金を渡すというギブアンドテークです。

コンビニ等の販売業では、ブランド力は全国にコマーシャルを打つので、稼げる最大の理由になります。製造業では、品質と価格を売り出したいので、有意性を打ち出す為にブランドを広告します。

しかし、美容外科以外の医療機関では、ブランド力の源泉は口コミです。または、地域の広告です。何故なら、医者のレベルが品質だからです。保健医療では価格は公的に決定されていますから、コストパフォーマンスは医者の質によります。そうであるとすれば、いい医者が沢山集められる訳はないので、全国展開する医療機関は希少となります。今般話題の徳洲会を初めとしていくつかの広域医療法人はありますが、ベッド数で言えば、合わせても5%にも満たない様です。医療機関は病院でも診療所でも、独立機関が大多数です。保険診療がフリーアクセスである限り、地域で受ける。少なくとも通院するのに、遠隔地は避けるのは、当然です。

しかし美容医療では、口コミは効きません。日本人は世界一保守的だからです。何度も言いますが、理由は二つあり、日本人は儒教精神につかり、封建的である為と、そうでありながら、戦後のアメリカナイズによって美容整形が隆盛した日本では、トラブルが生じたのをその世代の人は知っているからです。だから、「私、どこどこで美容医療を受けて綺麗になった。」とか、「若返った。」とか、「あの美容外科医は上手。」なんて人に教える人は滅多にいません。逆に患者さんの中には「広告をしている美容外科医はいい医者だ。」などと訳の分からないことを言う人が居ます。「バカじゃないの〜!」と思いながら、「じゃあ、あの広告にいくら掛かっているか知っています?。貴女が払う治療費のうちの何%が広告費か教えてあげましょうか!。」と言って諭します。

全国展開は広告費用分を各地域で回収する事が出来るので、広告費にかなりの%を費やしても、各地方で広告費を分担するので、広告費が上昇しても、総売り上げが増えれば、利益は増えるという計算です。やり方として、高額で高度な治療を地方で施行する際にはハイレベルの医師を派遣し、標準レベルの治療は各院の医師がすれば、人件費も供用できる訳です。本来医療レベルが医療の料金に反映されて来たのですが、高給の医師を寝かせていないで、使い回せば、利益は上がるからです。

しかし、医師が低レベルだと、患者に満足を与えられません。通常彼等は、マニュアル化した医療しか出来ません。その面の教育は長い年月でしか与えられないからです。または、そんな教育をしていては数をこなせないからです。いきおいチェーン店やフランチャイズ店では、治療方針がマニュアル化します。美容医療の患者さんは、元の状態が60億通りあり、理想的な美があるとしてそこを目指すとしても、方法が60億通りある事になる筈です。人は物ではないのです。同じ行為をしていては、地球上60億通りの人には満足を与えられる筈がありません。画一的な美容医療などあり得ません。コンビニで売っているいつも同じ物ではないのです。チェーン店方式は、広域美容医療には有用ですが、人を診る医療ではなくて、経済=金を診る医療となってしまうのです。

フランチャイズでは、各院の方法論が反映されそうな気がしますが、広告を見て来院する患者さんを主体にする限り、ある程度従わなければ、広告が虚偽と受け取られ、広告が信用されなければ、患者さんは来院しないので、運営できません。結果として、フランチャイズ制では、院長の診療方針と、本部の広告にある診療内容の齟齬が生じて患者が不信を抱くか、広告を見て患者さんが望む診療内容をしたが為に、患者さんに適応する治療でない行為をしなければならない機会が多くあり、結局は患者さんが満足しない症例が多く輩出される事になってしまいました。

これが、チェーン店、フランチャイズ方式というものでしょう。皆さん、これが美容医療においてあるべき姿ですか?。考えてみて下さい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です