2016 . 3 . 30

ちょっと治せばいい感じーでも悦ばれます。

この違い解りますか?。かなり微妙な差ですが、症例患者さんの希望に叶ったのです。

症例はこれまで数回の重瞼術と眼瞼下垂手術を繰り返してきました。今回は左側の重瞼ラインを整えたい希望です。

下図が両側眼瞼の画像。左図が術前、右図が術後1週間。

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下図が左眼瞼近接像で、左図が術前、右図が術後1週間

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近接像で見ると、よく解るでしょう。術前はへの字の重瞼線だったのが、平行のラインになりました。何をしたのかと言いますと、外側2/3の皮膚を切除しただけです。

詳しく説明しましょう。

まず重瞼の幅といっても、閉瞼時の幅と開瞼時の幅が評価基準になります。さらに開瞼時でも視線の位置、つまり開瞼の度合いによって幅は変化します。術前のデザインは、まず棒を当ててみて、開瞼して正面視をしてもらって幅を見てもらい選びます。棒を当てたら自然に眼球に沿ったカーブのラインにしかなりません。高さは選べます。決めたらマーキングして閉瞼時にもラインはカーブが決まっているのです。重瞼術では、何点か引き込めばラインが出来ます。

ところが瞼縁の挙がり方でラインの幅と形は変わります。瞼縁を強く挙げれば=強く開けば、開瞼時の二重の幅は狭くなります。また挙筋は瞼の中央20㎜程度にしか付着していないので→当たり前ですが、目頭と目尻は動かないのですから、強く開けば中央が狭くなり、内外が広くなります。それは挙筋を強化する=切らない眼瞼下垂手術でもそうです。本症例がそうでした。

こうして、重瞼のカーブが変わった際、または開瞼時の重瞼の幅とカーブを変えたい時に、ラインを変える為には切開線を増やさなければなりません。埋没なら点が増えても目立たないのですが、線が増えたら目立ちます。だから切開法はラインの選択に充分な留意が必要なのです。そこで、重瞼のラインを変えないで、開瞼時の重瞼を拡げるには、ラインの上の皮膚を切除すれば可能なんです。それも瞼全体ではなくても、一部だけ取れば、「ここを広く、ここはそのままで!」とかの要望に応じた調整ができるのです。

今回は内側から1/3の当たりを始点に、外側から1/3の当たりを最大幅2㎜まで切除しました。下の線は元のラインで、上の線を木の葉型にデザインすればラインを増やさないで幅を変えられるのです。

この方法は繊細なデザインを要しますし、切開も確実にしないと二本になってしまうので、切る時に緊張します。私は独自にこの手術を行っていますが、多くの美容形成外科医は面倒に思い、対応してくれません。とはいっても、切開法で手術した人だけに適応なので、そんなに多くの適応者は居りません。私は切開法の手術を多く施行してきましたし、当院では皮膚が弛んで被さった年長者の患者さんが多いので、切開(切除)法の手術が他より多いのです。そして今回も含めて、大部分は保険適応としています。

形成外科医の繊細な技術と美容外科医の美容的な眼を両翼の如く駆使して、この手術は遂行されます。どちらかでは不可能です。巷間のチェーン店系美容整形屋ではしないで下さい。形成外科だけしかしていない医師でも美容的に不安です。

たぶんこの症例では右側もしたくなりそうです。