2017 . 1 . 17

難しくも面白く、腕と目と頭脳の見せ所です。

先週の症例は難しかったのですが、デザインがうまくできました。術前、術直後、翌日と画像提示しました。どうなることかと思ったでしょうが、私と患者さんは「イケる!」と感じていました。

今回は何回かの美容外科治療を受けてきた結果として、何らかの形態的変形と機能低下が見られるために、改善を計る為に当院の私を訪ねていらっしゃいました。

症例は31歳、女性。7年前に眼頭切開。その後同部を修正した。先天性に右眼瞼下垂症があり(左右が違うのは見えていたそうです。)6年前に某非形成外科で切開法重瞼術を眼瞼下垂手術と称した手術を併施され受けているが、変わっていないとのこと。もちろん兎眼やLid lagもないから上眼瞼挙筋をスライドしていないのは明白。もっとも悪化はしていないそうで`医原性`眼瞼下垂ではない模様。LF:挙筋筋力(滑動距離)は右11mm、左13mmで右先天性眼瞼下垂は軽度。まずは術前と術直後の画像を提示します。

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続けて術翌日と1週間後の画像を提示します。

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術翌日に診ると、眼頭の下の皮弁が膨らんでいました。これは前回の手術の幅広の瘢痕を含んだ皮弁となっているからです。そこだけ腫脹が強くなったのです。瘢痕皮弁を移動するとこうなるといういい経験でした。1週間後には治ってきました。そして瘢痕の位置が下眼瞼に移動したので目立たなくなります。患者さんは悦んでいました。眼頭の位置は下から横に移動しました。丸みも作れています。腫脹や出血などの術後の炎症期は48時間がピークです。

今回も近接画像を提示してみます。

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上2枚の画像では何点かの合併症が見て判ります。下に解説します。

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術翌日は炎症期ですから、開いていませんでした。

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術後1週間で抜糸にいらっしゃいました。評価は下に挙げた術前の問題点の改善度合いが示します。

まず目頭:基本的に目頭の皮膚を三日月型とかに切り取って縦の創跡を残すと最悪で、この術前のような形状を呈します。その内容は1、傷跡は横には縮んでくっつくのですが、結局幅が出て来ます。白い陥凹した帯状の瘢痕です。2、そして傷跡は縦方向には拘縮します。これは蒙古襞の突っ張りと同じ方向なので、三日月型の目頭切開手術は、拘縮の解除にならないどころか蒙古襞の拘縮を再生産しています。被さりは切除した分減りますが、突っ張りは治らないどころか創跡が目立ってしまいます。3、結果として、目頭の尖りが下を向いたままで開くから余計に不自然。そこで受けた或る患者さんは「カマキリ(虫)の鎌みたい!」と自分を表現していました。他の患者さんは「鳥のくちばし!」と表現していました。確かに似ているでしょう?何回も言って来ましたが、目頭切開の結果縦方向=蒙古襞の方向の創跡を残してはいけません。巷間で、目頭切開の結果に対して悪評が飛び交っていますが、そのどれもがこの様な【縦方向の、陥凹した、帯状の創跡】に対してです。私がZ−形成法による目頭の蒙古襞拘縮解除術で修正して治して来ました。みなさんご存知でしょう。ブログが証明していますよね。

術直後にはデザインに従った形態ができているだけです。術後も形態は変遷します。腫脹や傷跡の拘縮や筋や神経の回復が影響するからです。眼瞼は動く部位なので開くための眼瞼挙筋と閉じるための眼輪筋のバランスが形態を表出します。術翌日の画像では開いていませんが、1週間では開きが見られるので、目頭も丸くなりました。上記3です。上記1位ついてはZ-形成で三角皮弁に乗せて傷跡も移動したので目立たなくなりました。患者さんも長年の懸案が解消したとお悦びです。上記2については充分に伸びました。目頭の角から上眼瞼の中央に向けて丸く挙がりました。術前は斜めにカーブがなく突っ張った形です。厳密に言えばカーブの方が直線より長い筈で、画像上で計測すれば明白でしょうが、現在ソフトがないため割愛させていただきます。

眼瞼下垂の改善と眼瞼の改善について評価します。1、先天性眼瞼下垂が存在する症例に重瞼術切開法だけを施すと、眼瞼下垂状態が露呈します。私は過去20年近く前から、切開法重瞼術の際に挙筋腱膜の縫合を併施してきました。当院での約10年前からは眼瞼結膜側からの縫縮=LT法で可能な場合はこれだけで、本症例の様に先天性眼瞼下垂が合併するなら前方からの挙筋腱膜修復や短縮も併施しています。2、LT法にしても挙筋腱膜修復にしても短縮にしても、あくまでも糸で縫うのは点ですから、瞼縁のカーブを意識します。意識しないと内下がりになりがちです。内側に短縮を追加する事もあります。本症例では、術前の右眼瞼は内側がかなり(約1.5㎜)下がっていますが、術直後では差が0.5㎜程度になりました。カーブが出来て吊り目が解消しています。更に目頭切開=Z−形成法による蒙古襞の拘縮解除術の併施が、内側を開き易くしている面もあります。3、重瞼幅と形は、結局開瞼の程度に依存します。瞼縁が強化されれば相対的に重瞼は狭くなり、開瞼が不足だと重瞼は広くなるのです。本症例の術前では両側とも内側が広い逆末広型の二重です。日本人にはあり得ない二重です。これがアジア人に自然にも存在し似合う平行型の二重瞼です。

術直後には開瞼が得られていませんでしたが、術後1週間では開いています。逆末広型の二重ではなく、平行型の二重にできています。上記3はクリアーしました。上記2については、下の画像で比べてみれば開瞼はまだまだです。カクカク感は解消していますが、アーモンド型の窓にはなっていません。左はまあまあです。右は術前の画像では、中央より外から直線的に落ちているのに対して、術後では中央付近が挙がっているのに対して内側三分の一部分が直線的に落ちています。これを治したかったので、術前と比べれば格段に改善していますが、程度の問題です。ただし眼瞼の中央付近が挙がっていれば眼はパッチリするというものです。これまでの症例を見て行けばお判りのように、術後1週間からもまだまだ変化していきます。結構そろってくるものです。上記1については、パッチリ開いているのは明白ですが、ラインは腫脹が解消するまでデザイン通りになりません。まだピークの40%は腫脹が残っています。幅は2/3程度になり丁度いいでしょう。

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まだ術後1週間で腫脹がピーク時の40%程度はあります。これからさらにキレイ度がアップします。それにしても、パッチリくっきりに出来て、眠そうな吊り目ではない形態に改良できたと思います。また機能的には満足な結果が得られていると思います。傷跡はまだまだかかりますが、部位が正しいので目立たなくなります。ですから経過が楽しみです。患者さんも喜んでいます。