2017 . 5 . 31

若くしてクマが目立つ症例にはPRP

症例は34歳、女性。当院のスタッフですが、時々いじらせてくれます。今回は目の下の隈:クマ。ここに若年者で黒い半円がある人は少なからず居ます。疲れて見えるし、それが故に年齢を感じさせてしまいます。可哀想なので、治して差し上げようと思いました。それにこの職域に於いては女性スタッフの顔は売り物です。いや顔が命みたいなものです。その意味でも、ブログ提示を条件に治療させてもらい、読者の皆さんに魅せたいと考えました。毎日している治療ですが、だからだけではなく精魂込めて、上手に注射しました。結果的にはこれを見たら患者さんが殺到しそうな好結果を提示出来ました。

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何故か、自撮りの画像が、横ッちょ向いて不思議な画になってしまいました。 私がちゃんと合図をして撮ってあげればよかった。でもこの画像上、その効果は見事に描出されました。

目の下のクマ(美容医学的には下眼瞼縁)は三つの原因があり、組み合わせの場合もあります。

1、うっ血で下眼瞼が半円形に紫色:眼瞼は皮膚が薄く、眼輪筋の血が透けて見えるからです。疲れて血の巡りが悪く、静脈血が鬱滞し易い人に起きます。そのためか、いかにも病的な感じの色合いになります。

2、色素沈着:擦る癖がある人は擦ると皮膚が傷みます。表皮細胞や角質が剥がれます。自己修復されますが、その際にはメラニン細胞が賦活されメラニン色素が沈着します。メラニン色素には肌色と茶色の二種類あり、色合いにばらつきがあります。またアトピー等で傷んだ痕に、下眼瞼だけが全面的に茶色い人も、少なからずいらっしゃいます。

3、下眼瞼の眼窩縁の半円形の溝:下眼瞼は眼球の前の半球ですから、丸く突出しています。眼窩縁の半円形の骨の前後関係にバリエーションがあり、下眼瞼と溝の段差が目立つ人と、余り目立たない人が居ます。溝を瞼頬溝; Orbitomalar grooveと言います。

本症例ではどうでしょう。もう一度画像を載せて説明します。FullSizeRender のコピー 3

ご覧の通り、上顎から溝にかけて前方への突出が少なく、フラット気味な典型的なアジア人の骨格です。したがって下眼瞼縁骨より下眼瞼が前にある為、目袋; `Bag`gy eyeが生じて、その下に半円形の溝があります。溝は影ですから黒く、クマと称されます。歌舞伎の隈取りは恐い悪い人の役柄です。これを美容の世界ではクマといい、加齢顔貌の改善の第一目標の一つです。コワい人は体力的に精神的に疲れているからクマがあります。他覚的な疲労感は、老い先が短い加齢顔貌に見えるのです。日本人は骨格が平板な人が多く、クマが出来易いと考えられます。読者の皆さんでも最も多い悩みです。治療法はPRPでの充填が最適です。

画像ではカラーバランスの関係で判り難いのですが、症例では若干のうっ血色が見られます。手で溝を引き上げて平らにして見ると、紫色がうっすら見えました。うっ血はお疲れの証拠です。本当らしいです。仕事が忙しいそうで、寝不足なのでしょう。私生活でお疲れかどうかは不明です。うっ血は皮膚が薄く血行が低下している為です。皮膚を厚くすれば隠せます。PRPの効果はそこにも及びます。さらにPRPは血行を促進する作用も有り、うっ血が解消するメカニズムも伴うのです。少なくとも術後の画像では肌色です。紫色は見られません。

色素は余り多く見られませんが、溝部は常に折れ返っている為に皮膚の血行が悪く、皮膚が傷んでいるので、修復機転時に色素が沈着する人も居ます。本症例には内外からの色素消失療法を施されている為に色沈は診られませんでした。

治療法はPRPでの充填法を選択しました。正解です。施術後画像を見て下さい。横向いてカラコンが半分隠れている表情は笑えますが、お許しを!

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PRP療法では、全くダウンタイムが無いとは言いませんが、ご覧の通り綺麗に出来ました。僅かに発赤がありますが、メイクで隠せる程度です。仕事等の社会適応性には支障を来しませんでした。

PRP療法は、最近ではインターネットでも調べられますし再生医療の一種ですから、話題に上る事も多く、皆さんも説明は聞き飽きたかも知れません。現に、一般の患者さんに「再生医療の一種であるPRP療法が適切です。」と言うと、ほとんどの患者さんが理解しています。また昨年からPRP療法は施設認可制度が成立し、施術可能なクリニックは限られました。ただし一部のクリニックが不認可となり、腹癒せにPRPの悪評判をでっち上げている様です。騙されない様に。

Baggy eye の下のクマ=瞼頬溝を充填するのには、PRPが最適です。その心は:量がある。キレイ。自然。ボコら無い。ヒアルロン酸ではボコるし、保たないし、量と持続性を計算すると、コスパが半分以下です。当院では美容医療に於ける黎明期である10年前からPRP療法を始めました。当初私と池田先生で打ち合い。お互いに「これはいいね!」と言い合いました。患者さんにも「これは綺麗ね!、若返ったわあ!」と毎日喜ばれています。

部位としては、瞼頬溝と鼻頬溝には第一選択です。目尻方面に延長してこめかみにも廻すと目が綺麗に見えます。鼻唇溝(=法令線は人相学用語です。)は動く部位ですから、PRPでも長持ちしません。ヒアルロン酸でもです。でもPRP+ヒアルロン酸なら、相乗効果で1+1=3となり、持続性も倍以上になります。他のこけた部位にもPRP療法は使えますが、面が広いと量を要しますから、時期を分ける必要があります。

今回いつものやつをしただけですが、PRP療法は症例提示が少ないので、久し振りに書いたら長文となってしまいました。でもとにかく、その有用性はご理解いただけたと思います。症例のスタッフも喜んでいますし、モニターとしては、患者さんに喜んでもらえれば更に嬉しく思うでしょう。