2017 . 9 . 1

口唇(白唇部)短縮単独症例は久し振りです。これはイケル!

当院では、近年口周りの手術が流行っています。私が大多数を施行しています。

症例は21歳、女性。これまでにいくつかの美容医療を受けている美人。口元だけは手を付けていない。こうなるとやはり、先ず私としてはバランスを取って行きたいから計測から提示します。

先ず横の比率、内眼角間30㎜、鼻翼幅30㎜と小顔の上に部品も幅が無い。口唇幅も45㎜で、目の間=鼻幅書ける1.5倍と最高のバランス。縦の比率は、生え際〜眉下▶︎上顔面=60㎜、眉下〜鼻下▶︎中顔面=60㎜とバランス最高なのに、鼻下〜頤先端▶︎下顔面=65㎜と長い。その原因は鼻柱基部〜Cupid’s bow の最下部▶︎白唇長=19㎜にある。

顔面全体を露出したいのですが、契約に無いので諦めます。どう見ても美人顔。何しろ輪郭が理想的で縦横のバランスも黄金比に近い。各部品も美しく出来ている。唯一顔の下の方がもたついているのを治したいという患者さんの観点は正しく、それだけ内面的にも進化人で知性に溢れる顔貌です。私としてもこれは頑張りたい症例で、しかも結果が良好なのは、術前から見えています。

こうなれば比率的に白唇部(口唇)短縮術の適応であるのは必定と言えます。下顔面が5㎜長いので5㎜切除を提案してシミュレーションすると行ける予感を、私と患者さんでシンパシーを感じます。画像でご覧頂ける様に口唇の厚さと外反は有り(ヒアル入っている?)、作り出す必要は無い。これも画像で見られる様に口角はキュンッと挙がっている(BTX?)。それでも白唇を短縮すると相対的に口角が下がる懸念はあるが、二次的に施行も可能ですし、必要無いかも?。五分五分の判断の下先ず白唇部短縮術を施行する事になりました。私も同意します。それでは画像を見ましょう。

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上は術前の正面像、左斜位像、右側面像。

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上は術直後の正面像、左斜位像、右側面像

DSC00107下面像で創をアップで見上げましょう。DSC00120翌日も撮影しました。やや上方から撮ったので口角が挙がって見えます。

如何でしょう?。口角の下垂は見られますかね?。本症例の患者さんは若年者で口角が下がっていないだけでなく、BTXも併用しているようです。それは今後の問題として、術前の画像では口角が上口唇中央の交連部よりも上にある珍しい綺麗なカーブです。術後はさすがに口唇中央付近が5㎜挙がったのに、同高で済んでいます。敢えて言えば赤唇縁の湾曲が丸みを帯びて変わったのは見えます。やはり口角付近を挙げたら、カーブが綺麗になるでしょう。ただしそれは口角挙上が主目的では有りません。

毎回白唇部短縮術をすると、外鼻が引っ張られます。術直後には口唇周囲の表情筋の運動が低下します。原因は1、局所麻酔は数時間は効いている。運動にも影響します。2、口輪筋は縫い寄せます。そのダメージだけでも運動は低下します。約1か月で治ります。3、腫脹は術野全域に波及し、筋は腫脹で動きにくく、腫れている組織は動かせないのです。腫脹の軽快は個体差があります

表情筋は多々ありますが、主に挙げる方向の筋と下げる(閉める)方向の筋があります。下げるのは口輪筋です。通常上口唇を閉じる運動は随意的にも不随意的にもしますが、口唇を下げる運動は随意的な特殊な動きですから、しない様にいしきすればいいことです。

対して挙げる筋はいくつかあります。鼻翼を挙げる上唇鼻翼挙筋は鼻翼基部に停止しています。鼻柱を引き上げるのは鼻柱下制筋。口角を挙げる筋は頬骨筋などいくつかあります。これらの筋の停止部はみな切開部の下にあり、ダメージが強いと考えられます。

全身の筋は随意的に使っていないでも、覚醒して何らかの行動をしている間には微弱な信号により収縮しています。これをトーヌスといいます。考えてみれば判りますよね。座って停止している際にトーヌスが無ければ(意識が低下すれば=眠くなっても同様)倒れまよね。立っていても同様です。脳がコントロールして信号が来て、不随意に筋が働いています。実は顔面は座位や立位で正立付近では、挙筋群にトーヌスが働いていて顔に緊張感を持たせています。生気のある顔ということです。時に精神疾患で薬剤を使っているとトーヌスが落ちますから、診てすぐに判りますよね。

白唇短縮術の手術野には挙筋群の停止部がたくさんあり、術後はいくつかの原因でトーヌスが落ちます。結果として鼻柱基部~鼻翼基部が落ちてます。つまり鼻の孔が見えています。でもトーヌスが回復するに連れて挙がっていきます。これまでの症例の中期的(週単位)での経過を観れば、アッ本当だとお判りになるでしょう。

ところでもう一つ、だから鼻翼~鼻柱~鼻翼の切開は鼻の孔の中に逃がさない方がいいのです。先日他院の術後を診ました。ちょっと下から見ると、鼻の孔の中が丸見えでした。品が無かったです。挙筋群のトーヌスが戻るまではもちろん鼻の孔が見えますが、中を切ると堤がなくなり、永遠に見えます。さらに傷跡が拡がったら最悪です。また余計なことばかり書き始めたらきりがないので今回は止めます。

次回は抜糸後に画像提示します。何もかも、軽快傾向にあるでしょう。お楽しみに!