2017 . 9 . 22

美容医療の神髄-歴史秘話第103話-”口頭伝承”:美容整形屋と美容形成外科医”その78”「地方都市21:美容外科医は辛いよ!」

私の医師歴16年次は平成14年、2002年のA美容外科大分院での事件はこれから始まります。それは、当然金銭の奪い合いです。そしてそれが当時は生命の奪い合いに繫がらなかったのはまだ幸いでした。その方面の人は脅かしは使いますが、もちろんそこまでの価値はないし、あくまでも準構成員ですから・・。ただしバックには組の紋を背負っています。

或る日突然Knさんから、私の名前で金を借りて欲しいとの申し出が有りました。ここからが、ドラマの始まりです。その筋の人は、いろいろな手を使います。先ず赴任当初から、Knさんは私にA美容外科グループの総院長という肩書きを付けようとします。もちろんこれは作戦上の肩書きです。本来医療機関のグループにそんな名称の肩書きはありません。ちなみにKnさんはA美容外科コンサルタント会社の理事長を称しています。

チェーン店の医療機関にはいくつかの方式が有ります。1、医療法人化して、開設者が総帥で、各院に管理者(院長)を依頼する方法は美容外科以外でも使われます。開設者が全院の経営責任を取ります。法的に認めらる方式です。この場合総帥は医療法人の理事長です。2、法人化しないでも、各院の開設時に総帥が金銭を出して管理者(雇われ院長)を配備する方法が横行しています。本院の院長が支院を作っても税制上優遇されません。この場合の総帥は、医療法上は支院に投資しただけですから理事長でもなく、院長は各院に居ます。総院長とか称する場合も有りますが、法律上は認められません。3、あくまでもチェーン展開は広告を目的としていますから、売り上げに応じて本院と各支院から広告費を寄せ集めて、全国版の広告を打ち、それぞれが独立採算で運営して行く。このため総帥ははっきりしません。広告内容に合致させる為に診療方針は或る程度は一致させる。所謂フランチャイズ方式です。コンビニみたいですね。4、ケースバイケースで、2+3方式を組み合わせることもあります。チェーン店では総院長と称する者が開設して、フランチャイズ店では開設してもらうか、各院長が買い取るか、各院長が開設するかの方法がありますが、何れにしても広告費と割賦での買い取り代金を上納金として納めて、残りは各院長のものというのですが、結構他にも取られるみたいです。

とにかくA美容外科グループは4院あり、確かに大分院が一番売り上げていました。Kn氏の言うには「森川先生は生粋の美容外科医で、将来銀座美容外科院長となった際には、その歴史のある(歴史秘話を書けるくらい。)名跡の下にグループを再編する含みもあるし。」とか「私(Kn)が総帥では医療機関として対外的にまずいでしょ?。誰かが総院長として診療を把握してもらいたい訳です。近々4院の全員診療会議をしますから、まとめるのは先生が最適者でしょ?。」とか何とか言いくるめられて、名ばかりの総院長となりました。

その数日後、今度は、借金の話しが持ち上がりました。4院のうちの2院分のロイヤリティーの返済が滞ったという話しは前から聴いていました。このシステムを説明します。

A美容外科グループは有限会社A美容外科の理事長であるKn氏が立ち上げました。大分院は地元出身で東京で長く診療して居る有名なE先生が、永らく大分で開いていたサテライトクリニックを居抜きで買い取りました。旭川院は地元でコンタクト屋と地元の医療法人が開いていた眼科クリニックの物件を拡張して、人的資源ごと買い取りました。その後他の松本院や浜松院はビル診です。もう既にノウハウが得られていましたから簡単に立ち上げられました。さて、この場合経済力はどこにあるのか?。いくらなんでも既存点の売り上げだけからはそんなに出せません。例えば大分院を買い取る際には結構広くて駅前ビルなので保証金だけで千万円単位、看板もでっかいのを挙げましたから千万円近く、他に医療器械を合わせて三千万円は用意しなければなりません。他の院も同等額を要しています。当初から、A美容外科グループは、Kb氏というスポンサーを頼っていました。

彼は宮崎で不動産屋を営んでいます。ただし後で解った事ですが四日市で街金もやっていました。これも後で解った事ですが、彼は京都の武闘派の元組員で準構成員、どちらも所謂フロント企業でした。とにかく不動産屋ですから、ビル診を借りてくれました。三千万円をポンと出したそうです。さて返済は不要と言う形を取り、その代わり経営上はKb氏がオーナーですから、Kn氏は決められた上納金ロイヤリティーを払うことになりました。

当時早速私から搾り取る策が立てられました。先ず大分院の院長を私に依頼してちゃんと保健所に開設管理届けをします。本来医療機関の登記は、借家でも借り主は院長でなければなりません。そこで先ず、不動産屋の手続きを餅は餅屋のKb氏はさっさと済ませて、私が借り主、Kb氏が連帯保証人という形に書き換えます。その上で保健所に届けます。前から診療していますから、直ぐ通ります。これで立ち上げ費用を私がKb氏から借りた形になります。ロイヤリティーは取り纏めてA美容外科グループのKnさんが払う形を取り続けますが、全院の経営管理もKnさんが続け医師や医療スタッフや事務員等も定額の給与をA美容外科グループからもらいます。従ってその時点ではA美容外科グループの運営経営はまだKnさんで、ロイヤリティーも彼が払っていました。ところがそれが滞って来たという事になりました。そりゃあそうだ。額がすごいもん。各院は立ち上げ費用が違いますからロイヤリティーの設定もバラバラですが大分院は月250万円、他の院も150万円以上でした。さすがに良く覚えていませんが、グループ全体合わせてKn氏はKb氏に対して2400万円の滞納が溜まっていた事になっていました。

そこで私を総院長に祭り上げて、助けを請う振りをして、借り換えさせようという作戦です。総院長として経営責任としてお願いしたいとKn氏とKb氏から依頼されました。その分大分院のロイヤリティーを下げる取引も加えられました。当時の売り上げは月1000万円は下らなかったので、計算上問題は無いと考えましたし、4院は立地や集客が有用で伸び代があり、立ち上げ時のマイナスはすぐに取り返せると計算されました。将来銀座美容外科がグループ化するなら、今から布石を打つ意味もありました。

さて、どこにそんなに貸してくれる人が居るかというのが、いかにも詐欺的な筋書きです。次回はこうして物語は進みます。