2017 . 11 . 2

眼瞼の術後経過を調整し、他院の結果も治しました。できたか?。まだ必要か?。

本症例は面白くて結果が良い。患者さんと私の信頼関係を築き上げて診療してきたからです。経過を追って画像を見てきました。他院での術後に対する再手術と、当院の良好な結果の経年変化に対して再建するための再手術が組み合わさっています。

症例は34歳、女性。先天的には奥二重だが、LF13mmと先天性眼瞼下垂はなかった模様。数年前埋没法を受けて二重瞼にしている。3年前に当院で切らない眼瞼下垂手術=非切開法黒目整形=NILT法を受けた。当初はよく開き重瞼もくっきりしたが、徐々に落ちてきた。その後他院で10年前に、目頭切開を三日月型切除法で受けた。左右差が生じたのと、開瞼が落ちたのと、目頭の形態と機能に非対称性と不自然感が生じていました。

現症は、眼裂横径25㎜、内眼角間36㎜、角膜中心間65㎜と蒙古襞の被さりは残してある。拘縮は解除されていない。後天性腱膜性眼瞼下垂状態が再発している左側にフェニレフリンテストをすると、充分に開瞼が強化され、対側より挙がる。右側はラインは変えなくてもいいが、浅くなってきた。ついでにちょっと外側を上げたい。開瞼には左右差が診られる。

上記の様な症例に対して検討の上、以下の手術を適応しました。近接画像を提示して説明します。左から、術前、術直後、術後3週間、術後5週間です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA左図は術後3ヶ月です。

右側眼瞼は、前回のNILT法から3年経ていますが、二重の引き込みが浅くなっただけで開瞼は戻っていませんから、MT法を施行しました。重瞼の強化と外側を1㎜挙げて付け替えました。内側の点は変えません。術直後は広く見えますが、術後3週間を経たら幅は希望通りになってきてしかも深くなりました。徐々にカクカク感が解消してきました。週単位の変遷がよく判ります。

同時に目頭切開の修正をしました。他院で三日月型の切除をされました。蒙古襞を三日月型に切除すると切除幅に応じて被さりは取れます。しかし三日月型切除では縦方向の創跡が出来るので、瘢痕拘縮してそれが結局襞になります。術前の画像で縦にひだがあります。本症例の如く、三日月型切除の創跡の襞はZ−形成法で治せます。3週間で見ると自然な目頭の向きと、開きができました。下の左眼瞼と比べても、対称性が取れました。ただし二次的手術ですからまだ創跡が発赤しています。徐々に消えて行きます。要は形態が改善したかどうかです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA左図は術後3ヶ月です。

左側眼瞼は、NILT法を施行しました。前回3年前にNILT法を受けていますが、対側に比べて緩みが多かったのです。後天性腱膜性眼瞼下垂症の修正術として、黒目整形、非切開法=NILT法は効果はでますが、緩みは生じ得ます。でも切らないので再建は繰り返せます。術直後にはオーバーに開いていますが、術後3週間で開瞼高はちょうど良くなっています。術後6週間で上の右眼瞼と比較すると、開瞼量に対称性が得られています。この経過画像も参考になりますね。

両側眼瞼部の画像を提示します。

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左上が術前、右上画術直後、左下が術後1週間、右下が術後3週間です。切らない手術と目頭切開の経過が良く判ると思います。

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続いて術後5週間と術後3ヶ月の画像。対称性;Symmetricが得られ、ほぼ完成といえます。症例患者さんも悦ばれています。創跡の発赤が有るのでまだ診て行きます。ブログ提示症例では経過観察させていただく事がお約束です。

印象的に術前のぼやけた目元がキリッとしています。術直後は全ての効果がオーバーですが、数日で糸が喰い込んで来て緩みが生じて落ち着きました。本症例では、腫脹が軽微で内出血も無いので、術直後でも見た目には酷くはありません。目頭の創は小さいので目立ちませんが、さすがに1週間で抜糸しても赤い線はあります。もちろん翌日からメイクで隠せます。目頭は左右対称性が得られ患者さんもお悦びです。術後6週間での画像では、形態的にも完成形が見えてきました。少なくとも目頭の形態と、開瞼高と、重瞼の幅と形と深さが対称化しています。何より目力が出て魅力的です。患者さんは満足されていますが、一つだけ気になっています。

二重のラインのカーブです。左眼瞼のラインがまだカクカクしています。実は1か月後に内側に追加しました。それが強過ぎるのは好みの問題ですが、中央付近が相対的に狭いのが見えています。皆さんの理解が難しい点ですが、重瞼の幅とは二つの要素に基づきます。先ず閉瞼時に、瞼縁からの高さを決めます。そしてその点が引き込まれたとしてブジーを当てながら開瞼してみます。シミュレーションです。この位置に糸を掛けるなり切開線をデザインするのですが、目を開く挙筋の作用は機能的に個体差が有ります。正面視でのシミュレーションで瞼縁がどれだけ挙がるかは力の入れ方が変化しますし、筋力にも個体差が有りますし、瞼板に伝わるかどうかも個体差が有ります。重瞼は、開瞼力が前葉に伝わる部分の最上部が線になりますから、開瞼度に寄り幅にも差がつきます。開瞼力の向上が眼瞼下垂症手術ですが、強化性は施術者の調整によりますから、ピッタリ揃うとは限りません。

本症例でも開瞼は向上していますが、生来開瞼には左右差が有りますし、強化時にも差が付きます。よく見ると、術前は右>左の開瞼です。私が左側の挙筋を気合いを入れて締めました。結果少なくとも左側の中央付近は開瞼が右より大です。結果左の中央付近の重瞼が狭くなっているのでしょう。そこに重瞼の為の埋没を追加すれば良いのかも知れませんが、まだ待機中です。患者さんは待てますとのこと。内側が強過ぎるなら外して緩く掛け直す選択肢もありますから、緩むかどうか待つべきでしょうね!。との診察で今回は様子を見ることになりましたが、本症例の患者さんとは信頼関係が醸成されていますから、今後の診察時にも相談して、よく検討していきますから心配ありません。