2017 . 11 . 30

黒目整形非切開法は素晴らしい結果なんです。

黒目整形は、黒目(角膜)を大きくする手術ではありませんが、角膜の露出を増やします。つまり開瞼力を強化します。開眼時は眼瞼挙筋の収縮が起きますが、不随意的です。いや、覚醒して行動している間には、目を開いていたい意志は働いていますが、力を入れている自覚はないでしょう。本当は眠くても、やらなければならないことがあるから目を開いていようとするなら、その時は逆に随意的な行動です。

ただし収縮の程度、つまり目を開いた時の大きさは不随意に(自律神経系の働き)に調節されていて、しかも挙筋の筋力は先天的に個体差があり、また筋力が瞼縁に伝達されるかどうかの構造にも後天的に個体差があります。

また瞼縁が挙がっていても、皮膚が一重瞼や加齢による弛み(皮膚伸展)で被っていれば、黒目の露出は減ります。このようにいろいろな要素が加わる訳ですが、基準として第一眼位(=顔面正立位での水平視)で黒目の上が2㎜以上隠れていたら開瞼低下です。この状態、つまり眼瞼下垂症の原因は上記の如く様々ですが、黒目整形とはこれらを改善する手術です。私は切開法も非切開法も総称して記載してきました。

ところで、眼瞼下垂症の診断法は確立していますが、専門医でないと診断出来ない。医学部では教えませんし、美容整形屋は勉強しません。ただし合併症から眼瞼下垂症を疑うことは容易です。合併症は多岐に渉りますが、その機序(メカニズム)を知らなくても、眼瞼下垂症を治すことは出来ます。私はメカニズムを知って、診断し、手術法を選び、眼瞼下垂症とその合併症を治して、患者さんを悦ばせてきました。

合併症には、重瞼の乱れ、増加、窪み目。三白眼や前頭筋常時収縮に因る額のしわ等と形態的にも多くこれらは目に見えます。もっと根本的な合併症は交感神経過剰状態に因る全身症状です。頭痛、肩こり、腰痛。食欲低下、羞明、不眠傾向等々と、自律神経症状は滝の様に続発します。

最近では見える合併症は患者さんが気付いて、来院のきっかけになります。今回はその様な症例で、私がメカニズムを説明して、眼瞼下垂症の診断の下に、黒目整形非切開法を施行して改善度が高かった症例です。「良く出来ました。」と言いたい所ですが、経過を追っていきましょう。どんな手術でもダウンタイムはゼロでは無い。黒目整形非切開法の経時的に標準的な変遷がよく判ると思います。本症例での最大のダウンタイムは、オーバーコレクション: overcorrection やり過ぎ感の日時で何日か困ったかです。

症例は37歳の女性。先天性二重まぶた。20歳ころから三重以上に重瞼線が増えて、くぼみ目も生じた。ソフトC.L.20年で後天性眼瞼下垂が起きてきていると考えられる。ご覧の様に大きなコンタクトレンズを装用しているから判らないが、三白眼を生じていると自覚している。LF, Levator function (挙筋筋力正しくは挙筋滑動)は16mmと正常値で筋力低下はない先天性眼瞼下垂症は否定的である。MRD, Margin Reflex distance (瞼縁から角膜中心の距離;正常値>3㎜)は2.5mmと正常値以下で、後天性眼瞼下垂症ではある。重瞼線は多数となっているが、生来のラインと思われる線は見出せる。

目的は重瞼線が乱れて目立つし、窪み目も老けて見えるから治したい。本症例患者さんは、目に見える合併症から眼瞼下垂症を疑って来院しました。現症からして先天性眼瞼下垂症では無いと考えられ、前頭筋の収縮も診られることから、原因は後天性眼瞼下垂に有ると考えられる。それならば黒目整形非切開法=切らない眼瞼下垂手術=NILT法で治せると診断されました。重瞼線はどれかを強化した方が綺麗ですが、上の線に2点でデザインしました。

ご覧の様に目の窓の間が離れていて蒙古襞は拘縮し、目頭に突っ張った皮膚が斜めに水かき状に見られて、内側が挙がり難いつまり吊り目になると予想された。当然に私の得意な目頭切開Z−形成法=拘縮解除術の適応ですが、今回先ずは日程的に出来る手術から施行しましょうということになりました。

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上が術前と術直後の画像です。術直後は撮影時に疲労で開いていませんでした。よくあることです

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上に術後1週間、術後2週間の経過。

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上に術後1か月の画像を二葉。力の入れ方で開瞼が違うことを示します。左目に映るライトの数が左右で違います。自然に調整しています。黒目の上が一部隠れているので正常範囲です。開き過ぎて困っているかと心配しましたが、治ってきました。これがダウンタイムです。

下に2列、近接画像の左から術前と術後1か月を並べてみましょう。

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術前は疲れた感じの目に見えますが、術後の近接画像を見ると魅力的です。開瞼は充分に得られ、結果的に重瞼はクッキリとして綺麗です。開き過ぎと訴えられるかも知れませんが、約2週間は後戻りが起きますから術後2週間の時点では容認されています。日常生活では、開瞼力を随意的に力を抜けば凌げます。

診断は治療法の選択の為にあります。第一に手術適応か否か。手術法の選択としては、ダウンタイム(病気なら病悩期間ですが、美容上はこの様に言います。)&費用と、効果&持続性を天秤にかけて検討します。また眼瞼下垂症は先天性と後天性に分けて手術法を使い分けます。

また合併症は様々ですが、そのメカニズムは医学(科学)的に勉強して積み重ねてこないと理解出来ません。チェーン店のにわか美容整形屋は、そんな時間を取れません。上に述べた様に合併症は大きく分けて二つのメカニズムから生じます。

開瞼量を感じる仕組みは二つあり、視野とミューラー筋です。

視野が得られないと、脳が指令を出して眼瞼挙筋にもっと力を入れようとしますが、後天性眼瞼下垂症の構造になった人は挙上力が瞼縁に伝わらないので、信号が他に廻って代償性の運動をします。顔面神経から前頭筋に信号が流れると、眉を挙げます。後頚筋に伝わると顎を突き出すChin up の姿勢を取ります。眼瞼挙筋腱膜が瞼縁から外れると、一緒に眼窩脂肪が後退しますから、挙筋が収縮すると窪み目となり、重瞼線が増えます。下眼瞼が代償的に下がると三白眼を呈します。

ミューラー筋はセンサーとして挙筋が強く収縮していると脳に向かって信号を発します。その信号は、交感神経を賦活します。つまり目が開き難い構造になっているのに一生懸命目を開こうとすると、自律神経系の一方の交感神経が強くなり、(いわゆる自律神経の乱れです。)いろいろな全身的な神経症状が出てきます。頭痛、肩こり、腰痛。食欲低下、羞明、不眠等々がこの様なメカニズムで起きます。

実際に後天性腱膜性眼瞼下垂症を治療すると、約85%の患者さんがこれらの症状の改善を自覚します。本症例では目に見えて眼瞼部での改善が見られました。窪み目は消失し、重瞼線も綺麗に揃いました。内側が二股なのは異常に見えません。ただし、三白眼だけは治っていないかも知れません。下眼瞼が少し挙がったかな?。カラコンしているからはっきりとは判りません。

現在世の中に吊り目は普通に存在します。重瞼術だけしか出来ない医者が多いし、眼瞼下垂症手術をまともにする形成外科医は目頭切開を出来ないから、内側が挙がっていない人は街中に沢山います。私は30年間研鑽してきましたから自然な形態と機能を充足出来ます。本症例では満足され、術後1か月でお悦びの声を聴かせて下さいました。