2018 . 4 . 5

子供っぽい印象の目元もキリッとして大人顔に!。

この数週間は眼瞼の症例提示が多かったのですが、過去の症例の中長期的経過が出揃ったからでしょう。術前から、デザイン画、術直後、術後1週間の画像では変化は判るけれど、切開手術ではまだダウンタイム中で、市民の参考にならないでしょう。経過して術後2~4週間で形態と機能の改善度が見えてきて、完成は3か月としています。このところその時期の画像を載せたブログを沢山書きましたから、それを見てラインする患者さんが引っ切り無しです。今回も見事な結果を出せると思います。

症例は、32歳女性。先天性一重瞼。アイプチしても二重にはならない。LF, Levator Function,挙筋筋力または滑動距離:瞼縁が閉瞼から最上方視まで動く距離は13mmと正常下限。皮膚は第一眼位(顔面正立位で正面視時)で瞼縁に被さり、見かけ上のMRD(瞼縁から角膜中心の距離)=2.5mmと開瞼不足。代償的に前頭筋が収縮して眉を挙げて目を開いている。つまり皮膚性眼瞼下垂に挙筋成長不足による筋性眼瞼下垂が併存している。

角膜中心間距離=眼球の位置(平均値60):58mmと眼球は離れていないのに、眼裂横径(二重まぶたでは平均26.5mm):24mm、内眼角間距離(二重まぶたでは平均33mm):37mmと目の間は離れ横が小さい。つまり一重瞼で眼瞼下垂に伴う、典型的な蒙古襞の拘縮が併存していて水かき状です。この形態は開瞼機能の阻害要因になっています。

デザインは中間のライン=座位で中央で瞼縁から5mm高。眉を挙げ続けているので皮膚が伸びているため幅3mm切除を要します。蒙古襞は一重瞼の平均を二重瞼の平均に変えるために3mm寄せる為にいつもの様に一辺4mm60度のZ-形成を行います。術前の画像が上記の形態と機能を表しています。

IMG_1002術前は前頭筋収縮で眉が大きく挙がっています。

上記のデザインは上図の開閉瞼画像で判ります。下に使いまわしの模式図。

DSC_0077左眼瞼部の小さなデザインを紙上で説明します。上左画と同じに患者さんの左眼瞼の目頭部の蒙古襞の稜線にに4mmのab線、下眼瞼にbd線、上眼瞼の切開幅の頭にac線をデザインしました。二つの正三角形を弁状に観音開きに持ち上げて上右図の如く入れ替えると、abがa’b’に、cdがc’d’になります。計算上a4mmのabがa’b’は√3≒1.73倍つまり約7mmになります。同時に約7mmのcdが1/√3となり4mmになります。蒙古襞の拘縮(突っ張り)が伸びて突っ張りがなくなり、蒙古襞の横方向の被さりも3mm減り、皮膚は表と裏にあるので1.5m)退きます。両側で3mmです。しかも目頭の角度も上左図の如く、下向きのabdが上方移動し横向きになります。目頭の位置が変わります。

そのまま下の術後画像を見ると!。術直後と術後1週間の画像を並べます。

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術直後は既に腫脹と内出血ですごいですが、見て下さい!。紙上の幾何学的理論通りの変化をしています。目頭の位置が上方移動して、横向きになり、蒙古襞の突っ張りが解消した結果眼瞼もよく開いていますし重瞼もくっきりしています。内眼角間は34mmと二重瞼の標準値です。

それでは近接像を見ましょう。

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術後3週間で写真を戴きました。

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上の近接像でもパッチリです。創跡も目立たなくなり始めました。まだ腫脹はあります。

明らかに開瞼が向上しているだけでなく二重瞼にすれば瞼縁に皮膚が被さっていないからきれいです。目頭は斜め下向きから横向きに変わります。涙湖(赤肉)の露出量は増えましたが、位置が横になれば二重瞼の自然な形態となります。

術直後には開瞼が良好などころかオーバーコレクション、Over correction です。糸が掛かっている瞼縁がカクッと切痕状,Notch に挙がっています。両側とも内側概ね角膜の内側の垂線上に切痕が見られます。わざとです。内側は眼瞼挙筋が弱く、眼瞼挙筋腱膜も薄く弱いのでOver correctinにしました。予定通り1〜3週間でなだらかになってきました。

何回も書きましたが、一重瞼は先天性異常です。そして東アジアには一重瞼が蔓延しました。日本人は二重瞼の遺伝子を持つ南方系(いわゆる縄文人系)と、一重瞼の遺伝子を持つモンゴル系(いわゆる弥生人系)が混ざっていますから二重瞼の人と一重瞼の人が約半数ずつ存在します。

そして蒙古襞は一重瞼の遺伝子と同座にあると言われています。日本人は二元説と言って二重瞼の縄文系と一重瞼の弥生系が混ざっているので、二重瞼の人でも被さりと拘縮は軽くても蒙古襞があります。蒙古襞がないと日本民族ではないと言えます。でも、一重瞼の人と二重瞼の人は明らかに平均値な差があります。近々学会発表します。その差は3mmですから、重瞼術をする際には一辺4mm60度のZ-形成法で治す方が自然な形態を作れます。蒙古襞の拘縮は開瞼機能の阻害要因にもなっていますから、眼瞼下垂手術に併施すると効果が倍増します。

結果はまだ完成ではありません。腫脹軽快は最低2週間かかりました。内出血も一度起きると吸収に2週間かかりました。開瞼過剰が落ち着くのにも2週間程度は掛かりました。目頭の開きすぎは糸のためでありますから、抜糸後軽快してきました。それに目頭部はケロイドもどき=肥厚性瘢痕が起きやすくその時期は術後3週間です。本症例では軽度ですが、術後6週間までは増悪する可能性があります。そんな訳で次回術後6週間で画像提示をお楽しみに!。