2018 . 6 . 7

久し振りに鼻の手術を載せます。鼻スジにプロテーシス、鼻尖に耳介軟骨移植。ついでに、黒目整形非切開法の追加も。

久し振りに外鼻を手術した症例を掲示します。私は30年前に北里大学の美容外科・形成外科入局以来、外鼻の手術に数多く携わってきました。実はチェーン店系では、のべつまくなし同じ形の(出来合いの)シリコンプロテーシスを短時間(<1時間)で廉価で入れるので、人数では叶わないですが、トラブルも多いし、患者さんに合わない形が頻繁に見られます。

私達美容形成外科医は主に軟骨移植とシリコンプロテーシスの併用手術を行なっています。今や定番で学会でも認められています。これが綺麗ですし、症例に合わせて作るので自然状態を損ねない。トラブルも少ないし、半永久的に長持ちします。ただし手術時間は圧倒的に長く、本症例でも約3時間を要しました。だから症例はチェーン店系の半分以下です。

実は更に、他の手術が多発しているからでもあります。ブログをご覧いただけば、口周りと眼瞼の手術が多発しています。これらの手術も所要時間が長いのです。当院の手術時間は毎日午後に3時間45分しかないし、私は銀座院に4日と大阪院に2日勤務しているので、これらの手術をこなすのに精一杯です。時折、口周りの手術(赤唇、白唇、口角に加えて鼻)に伴い鼻翼縮小術も併施していますが、鼻の単独手術は月に1例程度です。本当は好きな手術なのに・・。

と言う訳で、ブログ提示も3か月振りです。いつもの様にダイアモンド型の鼻尖とストレートに通った鼻陵が作れました。他部位に引き続き、顔面の形態に合わせて治しました。

症例は、52歳、女性。1月に何回目かの眉毛部のアートメイクを追加しました。その際に上眼瞼皮膚の伸展余剰について眉下切開を示唆されました。その上筋性眼瞼下垂の疑いも感じて自ら信大系のIm.形成外科を受診し手術予定も立てましたが、なんか美容的形態の説明に不安を感じてラインも変えたくないし見合わせた。 LF14㎜と正常だが、前医で検査して瞼に錘を着けると開きにくかった。軽度の後天性で先天性では無い。もちろんそれなら、NILT2=切らない眼瞼下垂手術=黒目整形非切開法で可能。皮膚は眉を挙げる6mm切除が望ましい。眼瞼では切らないで可能で、切除は眉下でなら経過が早いと考えて、NILT法と眉下切開の併用が選択されました。

まず前回の術前の画像を二葉。

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IMG_2105実はこの後、さっそく話が跳び始めました。眼瞼以外の部位の手術の依頼を受けました。そこで、全体像を載せます。

下にに今回の術前の画像と術直後の画像です。右眼瞼に埋没法を追加しました。

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上左図では右眼瞼(向かって左目)の二重のラインが乱れています。年齢と共に埋没法で起こりがちなことです。眼瞼の横全長のうち前回は、3等分した2点に糸を掛けました。すると、その間の皮膚が被さってしまい、しかも同部に皮膚の余りがしわになって見えます。今回その部分に埋没法を追加しました。すると上右図で見られる様に、弛みは無くなりました。ところが糸を掛けた点が強く挙がりました。もっともこれは緩みが生じて治ると思います。

本症例の患者さんはいい人ですが、あれもこれも訴えていました。私に罹った当初から、鼻と頤、更にリフトの話しにも到りました。こうして患者さんと私の信頼関係が醸成されていきました。診察時に向かっていると、明るく楽しい人なんです。もっとも私も常日頃から、そのように心掛けて皆さんに接しています。

患者さんの顔立ちにも現れています。細面で輪郭が綺麗、且つエステティックラインがゼロで、口が出ていない品がある横顔。上の画像の様に表情が明るく、可愛い笑顔作りが上手。そこは素敵な内面性(精神性)が表出している証拠です。笑顔は作るものです。森川の法則として約20年前に父、森川昭彦が日本美容外科学会JSASで学会発表しています。簡単に説明すると、子供は考えていないから、無邪気に笑うので左右対称に動かす。対して、成長するに連れて、脳の新皮質が考えて表情をコントロールする様になる。随意的では無いが、無意識に動かしているのでない顔面表情筋の運動が発達してきます。その間に手が右利きに育った人のうち70%は顔も右利きとなるという説を父が唱えました。上の前顔画像でも、右の口が横に引かれ、右眉がぴくっと挙がっています。上手な笑顔です。明るい精神性を表出している証拠です。

基、今回のメインイベントは鼻です。数字的な計測はしませんが、部位ごとに評価します。予め申し述べますが、これは私の主観的判断だけでなく、患者さんの観点と摺り合わせて作り上げます。また、患者さんはいくつかの美容形成外科クリニックにも罹っていますが、そこで押し付けられた見立ても加わっています。ただしそこでは、患者さんの希望を汲み取る美容的センスと判断力が伴わないと、患者さんも感じた為に治療を受けていません。先ずは下の術前の画像をご覧下さい。

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鼻の形を評価します。a;正面像で診ると、鼻根部(目と目の間)が高くない。細いが、眉への繋がりがない。つまり彫りがない。b;側面像で診られる様に、鼻骨の先端(目の下辺り)が鼻根より前に出ている。正面でハイライトになっている所がそうです。これは軽度の鈎鼻Hump noseと言います。c;当然に鼻骨尖より下が一度低くなります。上外側軟骨部といってここの軟骨が平らな人が居ます。d;鼻尖(鼻の頭)について:鼻翼とは所謂小鼻のことですが、鼻翼軟骨の外側脚と中間脚が鼻尖のコントウール(立体的な形態)を形作ります。鼻尖軟骨のカーブが緩いと、鼻尖が丸く、上に来ます。正面像で診ると、鼻尖の上のハイライトまでが鼻筋で、側面像で診ると鼻根から鼻筋への線上から、後ろへ向けてカーブが描かれているのが鼻尖です。鼻尖の位置は下にあるのが綺麗です。上にあると野暮ったいのです。少なくとも正面から見て、鼻尖に平らに近い面が見えると動物っぽいのです。e;鼻尖から鼻柱へのカーブは結局鼻尖の位置が決めますが、正面から見た鼻柱の位置が両鼻翼基部よりも下にある方が鼻らしいです。矢印鼻です。本症例では同高です。

この様な外鼻の形態の評価を説明して、患者さんに改善法を説明し、細かい点について大中小の程度で希望を汲みました。シリコンプロテーシスのデザインは増量の大小を聴いておき、術中の調整(大きめの物を用意して置いて、はさみで削って小さくしていく)の上で丁度良いと思ったら見せて決めます。

今回はまず、正面の術前、デザイン、術直後の画像から並べます。

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デザインは耳介軟骨の位置をマーキングしています。鼻の陵線に点々で中心線をマーキングしておきます。最上部の点が糸を引き出す点。上から二番目の点がプロテーシスの最上部です。術直後に直ちにテープを貼りましたから、よく判らないかも知れませんが、鼻尖の形は隙間から見えます。

下3図は下面からの比較で、左から術前、デザイン、術直後像です。

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一目瞭然に、鼻尖の高さと形の変化が判ります。ハイライトの位置が証明しています。縦横の比率でも判るでしょう。鼻孔の形も変わります。

下に4図。左から術前の左斜位、術直後の左斜位、術前の右側面、術直後の右側面像。

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斜位で見る鼻尖の形の変化は判ります。平坦な面が丸い立体的な形に変わりました。ダイアモンド型はテープに包まれて判りませんが、入れた物はその様な形です。

側面で見ると、Hump noseの改善が判ります。鼻陵がほぼ直線化しました。最大3㎜厚のプロテーシスの鼻骨尖部付近を薄さ1㎜以下にしました。破けるんじゃないかと言うくらいの厚さですから、精密な技を要します。実は側面像では鼻尖の位置は下がっている様に見えません。テープで軟骨を囲んで動かない様に押さえ付けています。腫脹を防止し周囲の癒着を促進する為でもあります。テープを上へ向けて絞めますから鼻尖の位置が下がっていません。入れた位置は斜め下ですから、鼻尖の位置は下に来る筈です。

上記に画像を提示して、術前の形態を評価の上、デザインして、術直後の画像と比較しました。でも、どうやって治したかをロジカルに説明してませんでした。

今回の手術は、耳介軟骨移植による鼻尖をダイアモンド型の下制術とシリコンプロテーシスを鼻陵に入れて細くする最大3㎜の隆鼻術です。

軟骨移植の際には確実に中央に入れる為にオープン法,Open Rhinoplastyを要します。鼻柱を切開しますが特殊な切開法(鼻孔縁部に皮弁法)で切痕,Notchをなくし、細かく平坦に縫合しますから、創跡は見えなくなります。

耳介軟骨は甲介から10×15㎜サイズで抜き取ります。耳甲介軟骨の湾曲は同一人物の鼻尖の湾曲に必ずマッチします。これを3枚に分けて、ベースは長辺8×短辺7㎜のダイアモンド型の親亀、子亀は幅4×縦10㎜の柱を載せ、孫亀は長径4㎜の楕円系とし尖らせます。鼻翼軟骨に縫合して固定します。位置は斜め下向きです。

シリコンプロテーシスは過大なサイズにしなければ安全です。鼻尖は加齢と共に皮膚が菲薄化するので入れません。昔父が入れた患者さんが20〜30年の加齢現象により露出したからです。その後皆私が治してきました。I,アイ型プロテーシスは露出の報告がありません。二つの日本美容外科学会JSAPS & JSASに於いてもコンセンサスが確立しています。ただしI型はL型と違い下に支えがないので上下に移動する可能性があります。そこで、シリコンプロテーシスに糸を掛けて、その糸を鼻根のプロての最上部より皮膚に向かって引き出しガーゼ片を挟み固定します。術直後の正面像で一番上に貼ってある正方形のテープはその糸をカバーするテープです。糸で固定した位置に癒着しカプセル形成するまでには、約3週間掛かりますから、出来れば最低2週間は留置しておきたいと考えます。

テープ固定は癒着促進と腫脹軽減の為に必須です。軟骨移植やプロテーシス挿入の前には皮下ポケットを作ります。皮膚皮下脂肪を鼻翼軟骨や鼻骨から剥がして持ち上げます。移植挿入物と同じサイズのポケットでは絶対に入りませんから、大きめのポケットを作ります。移植軟骨と皮膚は自然に癒着しますが周囲の余分なポケットが癒着するまではそこに血が溜まったりしない様に皮膚の上から抑える必要があります。そしてシリコンプロテーシスは、身体組織と癒着しません。周囲の余分な剥離腔が癒着して、プロテーシスを包む様にカプセルを作ります。コラーゲンの膜です。いずれも手術後最低3週間は安定しません。その間皮膚表面から押さえておくと、早くしっかり癒着します。腫脹の軽減にも役立ちます。この点は、術後の経過画像を見れば判ります。

ここで、本年6月からは術後経過の画像と説明を1シリーズのブログに足して行って更新することにしました。下記の説明を、経過ごとに書き加えると読むのが鬱陶しくなるからです。

IMG_3979IMG_3985術後1週間で抜糸した直後の画像です。直ちにテープを貼りかえてしまいました。正面像では術直後と比べ腫脹が引いて鼻尖が下がってきて、コントゥールが見えてきました。デザインの通りです。下面像では傷跡がはっきり見えますが、数週間後には白い線になり見えなくなります。大事なポイントは横方向の傷跡線の両端にNotch,切痕がない様なデザインです。Notchがあると目立つのです。

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上には、両側面と両斜位の4方向の画像。鼻スジが通りました。もともとは鈎鼻だったのです。プロテーシスを丹念に細工したからです。鼻稜線が直線化しました。もちろんプロテーシスの位置は正しい位置にあります。ずれない様に糸で引き出しています。できれば術後3週間は固定したいものです。テープもです。患者さんは承諾されました。いい人です。

次回は術後2週間で見せてもらえます。

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「当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。」

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

本年6月から費用の説明も加えなければなりません。今回の手術は鼻尖軟骨移植3枚で35万円+消費税です。 I型シリコンプロテーシス挿入による隆鼻術は18万円+消費税です。本症例は何カ所かの部位を手術しブログ掲載を継続的に契約してもらっているので、顔面全体を順次掲載するため顔全部の出演料として40%オフとなります。