2018 . 11 . 28

眼瞼下垂手術に目頭Z-形成術は定番化!?。

ブログで強弁して来たからか、やっと眼瞼下垂症にZ−形成法の目頭切開術を併施する希望が増え始めました。後天性腱膜性眼瞼下垂症に対する手術は、切開法で筋を縫縮して強化して、重瞼も固定して強化し、シミュレーションで蒙古襞の拘縮が診られたらZ−形成法で目頭切開して緩めて自然な形を作り出す。これらの手術法の併用はブログで何症例も提示して来ました。自然な形態と良好な開瞼機能が得られて目力も着いて明るく、つまり溌剌とした若々しさを醸し出す。こんないい手術はないかも知れません。ただし誰でも出来る手術ではありません。特に非形成外科のビジネス性美容外科チェーン店の医師には、技術的にも学術的にも経験値からも、出来ないか知らないか危ないかのどちらかでしょう。その意味では、私達形成外科出身の美容外科医の独壇場でありますが、何しろ広告啓蒙活動の機会が足りないのか、未だに「目頭切開は不自然な結果になりますよねえ?!。」とか言う頭の悪い患者さんが多いのが残念です。

今回の症例はよく理解されている知性の豊かな患者さんで、当初から希望を述べられ私のサジェストを直ぐに理解されて、手術予定を立てました。当然結果は良好になります。精神性は身体の反応に直結しますから術後の形態と機能にも反映します。とかいっていたらダウンタイムは重かったので申し訳ない気持ちです。だからか、ブログ掲載を遅らせました。でも経過は診せます魅せます。

症例は44歳、女性。半年前からおでこのしわが気になり、他院でボトックス注射を受けたら眼瞼下垂が顕在化した。LF,Levator function 挙筋筋力(活動距離)=14㎜と筋力の不足する先天性眼瞼下垂症ではない。hardC.L.10年。softC.L.10年で後天性腱膜性眼瞼下垂症を生じたと考えられる。左が右より進んでいる。フェニレフリンテスト(点眼で筋力をアップする)で開瞼向上が診られる事から、後天性腱膜性の検査所見を得られた。シミュレーションともなりちゃんと開くと予想出来る

先天性二重瞼だが癒合線は狭く、蒙古襞は拘縮状態。水かき状で立てに突っ張り重瞼も末広型で吊り目状態を呈していた。そこで二重棒(ブジー)で重瞼をシミュレーションすると、Z−形成術が必須と診られる。同時に私が用手的にZ−形成術のシミュレーションすると自然な形態と機能が診られる。患者さんは切開&切除希望。ラインは変えないで、切除は3㎜とし見かけ状の重瞼幅を1㎜拡げたい。後天性腱膜性眼瞼下垂症に対してはLT法で眼瞼挙筋腱膜を縫縮すれば正常化可能。

術前から正面像と近接画像を見ましょう。

IMG_2562左が劣位です。下の近接像でも判ります。IMG_2565IMG_2566

下にデザインを示します。

IMG_2568切除は目尻を越えて弛みを取ります。

近接画像で目頭切開のデザインを見て下さい。

IMG_2569IMG_2570DSC_0077使いまわしの図の左側と上の左眼瞼は同じ線です。

IMG_2571よく開きました。IMG_2573IMG_2575DSC_0077使いまわしの図の右側と上の左眼瞼は同じ線です。

術後1週間で抜糸しました。
IMG_2819内出血が多い症例です。術後48時間は出血し得て、それも術後48時間までに顕在化します。私は手術翌日に診察しましたがその時より増えました。でもその目で手術直後の画像を見ると、実は目頭から下眼瞼にかけて斜めに紫色になっていました。ここが赤紫に顕在化しました。さらに上から目尻の外を廻って下眼瞼前面に広がりました。

IMG_2821IMG_2822

内出血は腫脹に直結しません。本症例の腫脹の程度は通常です。腫脹(腫れ)は重瞼線を持ち上げて広くしています。この程度だと、見かけ状の幅は2/3程度まで下がります。尚、本症例では腫脹は開瞼には影響を及ぼしていません。

毎回口を酸っぱくして言って来ましたが、これまで巷間、特にチェーン店系非形成外科で施行されて来た目頭切開は、目的と術式が間違っています。むしろ受けるべきではありません。蒙古襞は、アジア人に特有の突然変異による以上な構造で、遺伝的に日本人なら誰でも持っています。ただし程度に個体差はあります。一重瞼の人は二重瞼の人に比べて、平均3㎜内眼角間距離が離れているので、両側合わせて3㎜は除去してもいいのですが、それよりも蒙古襞は下眼瞼に付着しているから目頭の位置が下にあり、突っ張って吊り目になるのを治すべきです。アジア人が白人や黒人から「吊り目野郎!」と言われるのは蒙古襞の為でもあります。

だから蒙古襞は外して付け替えるべきです。Z−形成術は形成外科の基本手技で、10年生なら誰でも出来ますが、目頭に応用したのは本邦では当院が最初です。目頭に水かき状に蒙古襞が被さって突っ張っているなら、Z−形成法が最適なのは形成外科医なら誰でも理解出来る事です。事実当院に研修や見学に来る形成外科医に説明して教えると理解出来ますが、非形成外科医は理解出来ません。ところが、形成外科の旧い医者の中には非形成外科医が昔施行したZ−形成法以外の目頭切開手術の結果を見て来て、不自然だと感じ、目頭切開手術全体を忌避する者が多いのです。

Z−形成術なら自然どころか、むしろ併施した方が自然な形態と良好な開瞼機能を得られるのは私がこれまでブログで多数症例提示して来ました。皆さん一般市民も、理解しましょう。そしてZ−形成法による目頭切開は受けるべきだが、それ以外の目頭切開は受けてはいけないと市民の間に広めましょう。

私も努力します。その為に経過を提示して行きます。お楽しみに!

そして術後1か月で来院されました。下に眼瞼部画像二葉

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よく開いて綺麗な重瞼が出来ました。

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近接画像を見ても目頭切開の傷跡は目立たなくなってきました。

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当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。