2019 . 3 . 30

鼻の手術が増えました。とは言っても口周りの一環です。初めての鼻尖増高術と口角挙上術の併用。

このところ二次修正手術が増えました。口周りは私が上手だとの評判が立っているから、いろいろな面でのお治しが求められます。このブログで偉そうに書いているから読者の皆さんが理解されているからで、修正術が増えるのは、私としては仕方ないというか自業自得だと考えます。いや患者さんが修正術を受けられることによって安心されるなら、私も嬉しい限りです。

もう一つ優位性があります。診察と計測にを丁寧に時間をかけてします。その上30年以上の美容外科医の経験から美容学が身に付いていますから、その観点に基づいた顔面の形態とバランスを詳しく説明し、診断に基づく治療をしています。

近年何とかミクスのお陰で、美容医療の患者さんが増加傾向です。当院でも最盛期です。私も過去30年で一番、父の時代を含めても50年ぶりです。乗じて美容医療のクリニックが雨後の筍のように林立してきました。そうすると経験の浅い美容医学的知識の薄い医師が増えます。また患者さんも増えると真摯に診療している暇がないのでしょう。手術を受けたのに手術法はもちろん何を直したのか聴かされていない患者さんも増えました。

私が二次修正する際に口周りの多くの患者さんは聴いてきています。やはり口周りは最終兵器だから詳しい患者さんもベテランが多いのです。むしろ何㎜切ったのに後戻り何㎜したかまで私に訴える人が多いのです。「そうですか可哀想ですね!」と言って治してあげます。ところが他の部位では詳しい説明を受けていない患者さんがいらっしゃいます。じゃあ私が何をどう直せばいいかは、触診や計測で少しの情報は得られても、前回の手術法は想像の範囲でしか解りません。その点もあえて言えば、、私は経験が深いだけでなく美容形成外科学を継続的に勉強してきたので、コンベンショナルな、且つあらゆる範囲の方法を知っているつもりです。だから表から見えない構造も私の頭の中には絵を描けます。

今回そんな私を頼って修正手術を受けた患者さんです。可愛くできてきていますが、今一つな点を直します。幾つかの口周りの手術の適応ですが順々に分けて施行していきます。

症例は、25歳女性。人中部白唇長16mm。E-ラインがマイナス3mm。他院で鼻翼外側切除したが38mmと変わらない。他院(仲良し)で鼻翼挙上術を受けて下向き三角には出来た。目頭切開して顔面部品の横比が内眼角間33㎜:鼻翼幅38㎜:口唇幅49㎜。下顔面が68mmと長く、上下比が25㎜:43㎜で黄金比率を計算すると4mm切除可能。人中と弓は明瞭だが、もっと結節が欲しい。1mmずつ寄せる適応。口角は鼻翼を基準に右が1mm上、2mm外なので、計算して右4mm30度、左5mm45度が適切。

もう一度診察した際に、患者さんは鼻翼の内外切除を受けたのを思い出した。後戻りして元と変わらないので、皮弁法は施行されていない模様。外側の傷跡が鼻にあり3mm切除でさらに縮小可能。鼻中隔延長術は右耳介軟骨を使った由。鼻尖は寄せたらしいが下がっていない。

口角:右に幼少時の傷跡があり赤唇縁がずれている。もう一度計測し前回の記載が逆なのに気付いた。左が1mm上、右2mm外。右30度5mm、左45度4mmの適応。白唇はシミュレーションすると5mm切除でも閉じられる。鼻尖:TDP(Tip Defining Point, 鼻尖が鼻陵の延長先上から後ろに下がる点)が上に有り、移植軟骨を触れると大きい。鼻尖は高くしながらも位置を下げたい。左耳甲介から軟骨移植10×13㎜採取して割って2枚重ねにする予定を立てた。

1か月後に再診。矯正歯科医に行って見解を得た。現在で上下口唇の比率が黄金比なので上口唇を短縮したら下が長くなると。確かにそうで、骨切りを念頭に入れてから今後検討する事になった。

全部を同時にしたら顔がバラバラになって皮膚が壊死し兼ねないので、人中部白唇短縮術と鼻翼縮小術再施行は見合わせた。同時に出来る鼻尖縮小術と口角挙上術からまず施行する事となった。二次的手術は今後も検討することとした。

私の見立てとしては、鼻尖はダイアモンド型+下に重ねる。前回のOnlay graftは触診するとサイズが大きいので縮小を要するか術中に判断。場合によっては一度外して加工を要する。鼻中隔延長術の材料は触診では不明なので、術中に視て判断。鼻翼軟骨(鼻尖の軟骨)は鼻中隔延長術の移植物との位置関係が不明なので、軟骨を寄せられるか不明なので術中に判断することとした。口角挙上術:鼻翼基部~口角を再計測=右26mm:左26mmで左が小さく、右が下にある。右30度方向に5mm、左45度方向に4mm挙上を確認。

難しい症例ですが画像を見れば判ります。

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正面像や近接像では鼻尖が大きく上にあり、フラットなのが判ります。手術を受けていない鼻尖は鼻翼軟骨のカーブが鼻尖の輪郭と丸みを表出しますが、軟骨移植をすると、そのカーブと大きさが鼻尖の形に現れます。この鼻尖の大きさは、移植軟骨の縁で皮膚からも触れられます。口角は下がっていませんがこれは表情の仕業です。白唇はやはり長いです。

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斜位像でも側面像でも鼻稜線(鼻スジ)の延長線よりも鼻尖が後ろにあります。これはDown noseと言います。下方からの画像では鼻尖がフラットなのがよく判ります。鼻柱の傷跡は露光の加減で光って見えませんが、両端に黒い凹みがあります。

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デザインしました。口角から予定の方向とサイズにマーキングします。口角の上外にある三角形の頂点です。口角がここに移動します。鼻柱の切開線は前回のをトレースしました。

下に術直後の画像です。

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正面像と近接像では鼻尖の輪郭は判り難いでしょう。口角の頂点の位置は対称化しました。よく見れば白唇の長さに左右差があります。これは二次的に検討しましょう。

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側面像では鼻綾線の延長線上に鼻尖があります。下方からの画像では鼻尖のカーブが作り出せたのが判ります。鼻柱部を横断する切開線は前回のを使いました。消えていきます。

口角の手術はこれまでと同様です。そこで難しいというかブラックボックスだった鼻尖の手術の説明をします。

鼻柱を横断する切開線は両端から鼻孔縁へと曲がるところが凹みます。私は特殊なデザインで、両側から鼻孔縁に直角に曲げないで一度下にカーブさせてから鼻孔縁に沿うデザインを頻用しています。三角形の皮弁状の皮膚が引っ張られて凹みを予防できます。そのまま鼻孔縁を頂上まで切開します。鼻柱から軟骨のすぐ前で皮膚皮下組織を剥離挙上します。今回はまず、移植軟骨を露出します。表面から見た通りの大きなものでした。この上に更に載せても大きいままですから前回の移植軟骨をサイズダウンすることとしました。一回外すこととした。

すると、移植軟骨の下に鼻翼軟骨が出てくるのは当然ですが、2枚の間に異物が挟まっています。鼻中隔延長術の為のつっかえ板です。患者さんは耳介軟骨で下げたと聴いていたのですが、よく見ると人工軟骨(他種?)と耳介軟骨を貼り合わせてありました。最近流行りの方法です。何故なら、人工軟骨は吸収されるべきものですが、硬くてよく下がる。耳介軟骨は吸収されませんが柔らかいので曲がり下げられないからです。これは邪魔にはならないので温存します。

ただし鼻翼軟骨の間に2枚もつっかえ棒が挟まっているので両側の鼻翼軟骨が押し広げられて鼻尖の幅が広がっていたのです。通常私なら鼻中隔延長術の際に、両側の鼻翼軟骨で移植軟骨をサンドイッチ状に挟んだら、パン(鼻翼軟骨)で蓋をするように縫い寄せて鼻尖を小さくします。やってみたらそれで小さくなりました。ついでに他医の手術に追加技を加えてあげました。

その上で左耳甲介から採取した10×13㎜の軟骨を2枚に割って前回のと3枚積み重ねました。形はいつものように親亀の背中に子亀を乗せてそのまた背中に孫亀乗せてになりました。2枚目は細長く鼻柱まで下げました。1枚1㎜で前より2㎜高くなりました。画像を見ても判ると思います。

今回は術前術直後の画像と手術方の説明をしました。形態的にはまだ見えないでしょう?。今後の経過画像をお楽しみに!

術後1週間の抜糸直後の画像を診ましょう。

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口角は形が見えています。可愛いでしょ?。鼻はテープが重要です。U字に張った中に移植軟骨があります。こうして囲んで移植軟骨がずれないようにします。その上周囲の腫れが早く引き美しい鼻尖の形が見えてきます。

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斜位像や側面像でも口の締まりは見事です。鼻綾の延長線より鼻尖の方が前にあるはずですがテープで押さえつけているためそう見えません。テープを貼る前は本当のアップノーズでした。

ご覧になって判るように創の治癒経過が完全ではありません。

術後1ヶ月で来院されました。

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正面像と近接像は術前と比較してみましょう。

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鼻尖は間違いなくフラットでなくなり、だから間違いなく自然です。結果的に鼻栓が小さくなって見えます。実はその点については口角挙上時に横にも拡大している関係で相対的に小さく見えるのもあるのでしょう。

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鼻の傷跡は目立たないのですが、口角の傷跡は肥厚性瘢痕の傾向があります。術後1ヶ月は肥厚性瘢痕を生じる可能性のある時期です。本症例では白唇まで赤いので目立ちますが、数ヶ月以内に赤くなくなります。そうすれば目立たないでしょう。術後3ヶ月で判ります。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行ています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

6月から費用の説明も加えなければなりません。今回の手術は鼻尖軟骨移植3枚で35万円+消費税です。口角挙上術は25万円 +消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。