とにかく可愛い女性。遭うたびに、言動全てにおいて安らぐキャラクターで、来院時のスタッフからの評判も良い女性です。これまでに幾つかの手術を受けてきました。私は無理に聴いていないのですが、可愛らしい印象に美人顔の要素を加えたいのだと思います。
そうです。可愛い女子と美人は違います。読んで字の如く、可愛いは愛らしいです。時間を共有していると気持ちが良い相手のことです。子供なら常に共に過ごすだけで愛らしいし、好きな異性ならいつも一緒に居たいのが可愛い人と感じます。美人は読んで字の如く美しい人。美人は可愛い女性が多いからといっても、見ているだけで気持ちが良いだけです。かといって美人は近寄り難い場合もあって、時空を共有するのはおこがましい女性も居ます。
内面と外面の調和も関係します。可愛い相手は性格が可愛ければ外面は関係ない。愛らしいルックスの娘はそれだけで可愛い。綺麗な顔たちの女性はそれだけで美しいのですが、ダイナミック(動的)な表情は、内面(精神性)の反映ですから美しかったり、愛らしかったり様々です。そして時間的多様性があり、社会的状況にも左右されます。
あえて示すなら、美しさは外面的に点数で表せますが、精神的な美しさは数字的評価が難しい部分です。可愛さは内面性の中でも社会的な面に左右され、外面性は好みの問題から評価されます。そうです。可愛さは好みの問題で、美しさは普遍的な評価基準が求められます。
美しさは基準として万人の評価が基準となりますから普遍的です。その内容は、私たち専門家として真面目な医師は学んできました。チェーン店系の低劣な美容整形屋には学ぶ暇がありませんので、評判だけを頼りにしていますし、美的基準を考慮しないでの、誰もにも定番の治療しか出来ません。逆に形成外科医は壊れた形態を治すだけですから、美的基準を磨く必要がありません。
美的基準(美術的でもある)は有史来の評価と社会的要請から作り上げられた知的要素ですが、現在は美容医療(美容外科・形成外科)が学問として成立していますから、成書に記載されています。私は30年前に形成外科に入局するや否や、あらゆる美容外科の本を読み漁って来ました。いや、そう言えば父の銀座美容外科医院には美容整形の本が山積みでしたから、クリニックに訪問しては読み耽っていました。50年近く前からです。何しろ私は産まれながらに美容外科医の宿命を負って来ましたから、美容医療の勉強が大好きでした。
症例は23歳女性。口周りの相談のために来院しました。ご覧の様に口周りが可愛いが子供っぽい。まず人中部白唇短縮術と鼻翼縮小術皮弁法を受けました。経過良好です。当初から鼻尖と鼻柱が鼻翼よりも上にあり矢印鼻を求めていました。口周りの手術のの傷跡の経過が落ち着いた頃から(術後3ヶ月が目安)、検討に入りました。そこでまずヒアルロン酸でシミュレーションしました。
するとその形を気に入って定着したくなります。当初から鼻尖に耳介軟骨移植,Onlay法を予定していたのですが、耳甲介の軟骨は厚さが一枚約1㎜です。ですからヒアルロン酸の結果を再現するには2枚で足りるか3枚必要か患者さんと二人で悩みました。
まさか入れたヒアルロン酸の量0.15CCと同じ量を計測するわけにはいかないので、経験上だいたいの量を決めるしかありません。2枚では控えめ、3枚ではツンっとするでしょうとの予想を提示し、手術日まで検討してもらうことにしました。
術直前の診察で控えめを希望しました。耳甲介からの13×10㎜の軟骨を二つに分けて、一枚目を前にダイアモンド型に、2枚目を下へ帯状に鼻柱を下げます。「親亀の背中に子亀を乗せて。」の手術をすることとなりました。
画像を診ましょう。
上に術前の正面像と近接画像。
上に左斜位像と右側面像値下面像。下にはデザイン画。
鼻尖の中(皮下の鼻翼軟骨上)に入るダイアモンド型の軟骨を皮膚面にトレースしました。この形に入れてみたいのです。下からは鼻柱を横断する切開線をデザイン。三角皮弁を置くのが創跡を狗縮させないで目立たなくするために必要なポイントです。
いよいよ手術開始です。
左図は耳甲介軟骨採取直後。切開線は耳後部と側頭部の折れ返りに置くので見えなくなります。白いのが軟骨で、その間に四角(平行四辺形)く赤く抜けた部位は軟骨を採取した欠損部です。耳甲介軟骨を中抜きして、皮膚、軟部組織を温存すれば変形は来しません。S美容外科の様に軟骨を縫合すると変形します。絶対にしてはいけないことです。その代わり1週間圧迫して欠損部の腔を埋めます。圧迫しないで血腫になると、お相撲さんやレスラーの様にカリフラワー状態になります。一回見た事が有ります。
因みに先日聴かれたのですが、「耳介軟骨を採ったらない部分が判るのですか?」私は判ります。耳を挟んで触れてみれば柔らかいからです。でも目で見ても判りません。軟骨移植は形成外科医の基本的手技です。他科では使いません。
軟骨を積み重ねて糸で繋げた状態です。ご覧のように10×7㎜の移植軟骨を造りました。
移植軟骨を鼻の中に乗せて撮りました。鼻柱を上のデザイン画で視る様に切開して鼻尖まで皮膚、軟部組織を鼻翼軟骨上で剥離し、持ち上げています。そのスペースに耳介軟骨を置いてみました。一部が見えるダイアモンド型の白い軟骨が土台で、突起状の軟骨が鼻柱を下げる為に乗せました。側面像では皮膚の中に隠れています。腫脹もありますが、鼻尖が高くなっていますよね!。
この後移植軟骨を鼻翼軟骨に縫合して位置を固定。皮膚を戻して形を見てから、皮膚縫合しました。下がその後です。つまり手術終了です。今回はテープを貼る前に撮りました。
何故か、うっすら見える術前のデザイン画のダイアモンド型が曲がっています。でもよく見ると、鼻尖の上のフラッシュの反射が軟骨の縁ですが、両側に2点ありますから真ん中に入っている事を示しています。因みに鼻柱は1㎜下がっています。
斜位と側面と下面像では改良度が明らかです。鼻尖が鼻陵線(鼻スジ)の延長線上よりも前にあり、ツンッとしました。鼻尖のすぐ後ろの鼻柱が下にあります。術直後は腫脹が目に見えなくてもあり、その為に鼻柱が膨大して鼻尖を上に押し上げます。つまり鼻尖が上にあります。
術後1週間で抜糸しました。楽しみです。
うっすら口紅も引いてくれました。口元は下から頤、赤唇、白唇、鼻の位置関係ですから、魅せてくれます。可愛い女子が美人女性になりました。
ご覧の様な微妙な形態的変化は精密な画像でも視覚的に判りにくいかも知れません。特に正面像では3次元的に判別出来ません。でも患者さんは程度的に自然な効果に満足を述べられました。そこで今回、斜位と側面と下面像を術前と並べてみましょう。上段が術前、下段が術後1週間です。
腫れていてツンっとしてはいませんが、鼻尖が下方に移動し、高くなっています。綺麗に出来上がってきています。多分口角も検討します。今後の経過観察が楽しみです。ただ見ているだけで気持ちが優しくなれる症例です。しかも話していたら知的にもハイレベルな女性です。次回をお楽しみに!
そして術後1ヶ月です。
とにかく可愛い!。誰もがそう言います。外面的にすっきり感は見事ですが、やはり内面的に優しい雰囲気が相乗効果です。その様な症例は二重に好結果ですから診ていて楽しいです。
側面像と斜位像では何と言ってもE-ラインとの調和が優しさを醸し出しています。内面性外面性共可愛い女性です。
傷跡も術後1ヶ月で目立ちません。上に書いた様に精神性が安定している人は治りが早いのです。ちなみに耳後部の傷跡は綺麗に治ってきました。見えないところでも見えない方がいいに決まっています。
ついに術後3ヶ月が参りました。
上に左斜位像と右側面像値下面像。
鼻も白唇も可愛らしさを魅せつけます。
何しろE-ラインよりも口が後ろにあり、つまり口が出ていないから、優しくお淑やか。その上に白唇=鼻の下長くなくなったら品の良さが加わります。
鼻は、やや下がり鼻で鼻栓が丸く幅がありました。可愛いと言ってもいつまでも子供ではないので、スマートにしておきたいとの考えでしょう。私の読みと患者さんの希望が見事に一致したと思います。鼻は人格の一部として知性さえ魅せます。実際知性的な人です。
口元が人格を魅せます。なぜなら話すとき食べるときに動きますが、動的形態は性的形態に基づくからです。その上人格が美しければ動きも可愛いので言うことなしです。本症例はその意味でも内面と外面の調和が図れました。
傷跡は見えなくなりました。鼻柱を横断して切開すると、鼻柱は半円柱形ですから線状の瘢痕が縦に収縮します。その結果曲面に線状陥凹をして目立ちます。またその結果横の傷跡の両端が引かれて凹みます。切痕,Notchと言いくびれが見えてしまいます。
予防法には二つポイントがあります。一つは鼻柱の切開線は一直線にデザインしないでW型に、つまりジグザグに切開します。この結果短い線状瘢痕は拘縮しないので、凹みません。画像でお判りでしょう。これは形成外科医の常識ですが、美容整形屋は知りもしません。実際チェーン店での後によく見られます。もう一つ鼻柱の両側のデザインに皮弁の様に三角形のデザインを加えます。皮弁が引かれますから切痕が起きません。これは日本美容外科学会,JSAPS=形成外科出身の美容外科の学会で発表された手技です。JSAPSは非形成外科医の医師(もう一つの日本美容外科学会,JSASに参加)は参加できませんから、知りません。
残念ながらやはりチェーン店での手術後に鼻柱に線状陥凹と切痕をよく見かけます。二つとも見え見えで、不自然な手術の跡だとバレてしましまいます。
またまた難しいことを書きましたが、こうして細部に至るまで考えて、より良い結果、しかも自然なバレない結果を造り上げるためには学問的知識と経験と技術を要するのです。非形成外科医の集まりである、ビジネス的チェーン店系美容整形屋には成しえないことです。コマーシャシズムにはこの様な細部まで書けないでしょう?。
ごちゃごちゃ書いてしましましたが、本症例の患者さんは知的なので理解していますし、優しい可愛い人なので許してくださることと思います。
当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行ています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
6月から費用の説明も加えなければなりません。今回の手術は鼻尖軟骨移植3枚で30万円+消費税です。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。