2022 . 4 . 18

鼻先とか鼻の頭とか呼ばれる鼻尖形成は耳介軟骨移植が自然です。今回は鼻唇溝上三角にプロテーシスを同時に入れます。

このところ、外鼻形成の希望者が多く来院されます。私は約10年間は定番の手術をお奨めしてきました。鼻尖には耳介軟骨移植。鼻翼軟骨の縫合に依る縮小術。鼻梁(鼻スジ)にはプロテーシス。鼻唇角にもプロテーシス。鼻翼縮小術は外側切開と内側皮弁法を使い分けてきました。鼻唇角プロテーシスは鼻の為ではありませんが、必要な患者さんが居ました。

定番と言っても、何種類もの方法を駆使してきました。何故なら、患者さんの生来の形態は千差万別です。同じ顔の人は二人と居ません。だから丁寧に診察して、患者さんの希望も汲みつつ、敵する手術法を見つけていく手順が必要です。美容形成外科は医療ですから、診療が重要です。診療は診察と治療(多くは手術)です。診察の結果の診断は治療方針を提示する為のあります。値段を決めるためではありません。

私に罹る患者さんの多くは、このブログのシリーズをご覧になって来る人がほとんどです。私はむしろ逆に、来院時診察の第一言で「ブログを視てくれていますか?。」とか「ブログに載せている症例と同じですね。」とか「ブログ見てくださっているのですね。」と訊くことも多くあります。

最近耳介軟骨移植の症例が多く載っています。別に今に始まった手術法ではなく、私はもう20年来鼻尖の隆鼻術には耳介軟骨移植を常用してきましたが、この2年間程はブログ提示症例が増えたからです。やはりマスク生活で、鼻尖の手術後のダウンタイムが隠せるからでしょう。増えたのは確かで費用面からブログ提示症例の率も高まりました。

鼻唇角や鼻唇溝に対するプロテーシス挿入術のブログ提示も増えました。これまで何度も書きましたが、本来私と父が開発した手術法です。私共は広告宣伝が足りなくて廃れていたのですが、韓国医がパクってわざわざ広告宣伝して”下さった”結果、復活し流行したのです。この2年間は渡航制限されて私の元に戻ってきたという訳です。ただし私が鼻唇溝プロテーシス手術を開発した当初は鼻翼内からアプローチして、骨の上に乗せる方法でしたが、真似っこ軍団たちは口の中から入れています。その方が視野が広いのでやり易いのですが、入り口から通路があるために落っこちることがあります。見たことあります。私は鼻翼内からの挿入が適切だと強調していますが、難しいのでできる医師は数少ないのです。ここにも私の優位性があります。

今回は鼻翼軟骨(鼻尖にあるのにこう言います)縫合による鼻尖縮小術により土台作りして、鼻尖への耳介軟骨移植で本当のアップノーズを作りながら、両顎突、つまり口の骨と歯牙が出ているから鼻唇溝が深い症例に、鼻唇溝プロテーシスを挿入して口元をスッキリさせます。考えてみたら、創が近くても別なので同時にできます。結果は見てのお楽しみです。

症例は22歳女性。今年に入って来院。まず口元から外鼻の辺りについて訊かれました。診ると、両顎が前傾していて突です。かといって骨切りまでは考えていないとのこと。E-ラインよりも口吻が8㎜前にあります。口の骨が出ていると折れ返り線である鼻唇溝(ほうれい線)が深いので目立つ。第一に鼻唇溝プロテーシスの適応ですと告げると、患者さんもそのつもりでした。もちろんブログを視て下さっています。

次に鼻は?と訊かれる。見ての通り、外鼻が大きい。測ると鼻翼幅37㎜に対して付け根は34㎜幅で張り出しがあります。鼻翼外側を三日月型に3㎜切除の適応です。鼻尖は幅20㎜で鼻翼に比して半分を越えるので、縮小の適応です。

次に鼻尖に触れると鼻尖の2枚の鼻翼軟骨の間が離れていて割れている二分鼻尖,Bifid Noseの状態です。しかも鼻背の延長線が落ちる点が上にあり、鼻尖の位置を下方移動させながら高くしたい形態です。鼻尖は軟骨を寄せて縮小して土台を安定化した上に、耳介軟骨移植を斜め45度下向きに2枚(1枚1㎜、2枚で2㎜)乗せると(そこでいきなりiPhoneを取り出して三角関数の計算をすると)2÷√2で鼻尖の位置が約1.4㎜下がり、約1.4㎜高くなる机上のプランを提示しました。ただし鼻尖への軟骨移植の手術の切開はオープン,Open Rhinoplastyが適切だと示唆しました。直視下で軟骨を中央に固定したいからです。

手術の順番は手術時間次第です。当院での私の手術は3時間45分以内でしかできません。鼻尖と、鼻唇溝プロテーシスを優先すると鼻翼は同時に施行するのは不可能です。私は丁寧に手術するモットーですから。それに鼻唇溝プロテーシスの傷は鼻翼の内側ですから鼻翼縮小術と同時に切ったら鼻がバラバラになってしまいます。

画像は各方向の術前、術中、術後を診ていきます。

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上列は左から術前、デザイン、術直後。鼻翼横の鼻唇溝の上部の、三角形の凹みの深さの改善が見えます。凹みが埋まると法令”線”も短くなります。鼻は腫れてまだ形が見えません。デザインで4点が見えますが、この中にダイヤモンド型の軟骨を入れます。

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4方向の上列が術前、下列が術直後。鼻尖の高さはちゃんと改善されています。鼻稜線(鼻スジ)の延長線よりも鼻尖が高いのが正しい意味のアップノーズです。ただし術直後は腫脹で鼻が上に押し上げられて間違った意味のアップノーズ、正しくはショートノーズになっています。必ず元の上下位置に戻ります。鼻唇溝の上三角は影の差で埋まりが判るのですが、よく診ると鼻翼の付け根が術前は見えなかったのが、術後は見えるのですが、鼻唇溝に伴って鼻翼全体が前に押し出されているからです。なおE-ラインそのものは口吻突ですが、変わりません。鼻唇溝が深い原因です。術直後は口周りが腫れて出て見えます。

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ここから下は近接画像と手術の画像。

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上左図は術前に診察室で最終確認時にマーキングして視てもらってから撮りました。鼻尖のダイヤモンド型の上の点は、鼻稜の延長線が後へ曲がっていく点です。「この下を斜めに増量して、前に高く下に長くします。」と説明すると、期待されてニコニコしていました。上右図は手術室で書き直してデザイン。点を結んで入れるものを表面からイメージします。鼻唇溝プロテーシスは影を埋める形です。

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早速手術開始。いきなり耳介軟骨採取します。上左から耳介後部の頭との折れ返り線に切開線、定規を当てて長さは約3㎝必要です。耳介前部の耳甲介には、取れる部位を点で囲んでいます。耳甲介のカーブは鼻尖にフィットします。定規を当てて縦13㎜×横10㎜を採取します。耳介後面も切開から採取するのですが、耳甲介の使えるカーブは前からしか見えないのです。取る直前に前の4点から後に張りを出して軟骨後面にマーキングします。

IMG_8037IMG_8038採取時の画像はありませんが、縫合後の画像。更にボルスターを架けました。Bolsterとは、表裏を枕で抑える事。クッションにボタンみたいのが表と裏に付いていて綿がズレない様にしているのと同じ作用で、耳介軟骨を抜いた表裏の皮膚を癒着させて隙間を無くす作用です。隙間が残ると、血が溜まって凸凹になって相撲取りや柔道家やラグビー選手みたいになって治せません。

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採取した耳介軟骨を細工しました。上左の図の如く、3枚重ねました。定規を当てています。一枚目のダイヤモンド型は一辺8㎜で、上段の鼻尖に書いたデザインに合わせて切り取りました。2枚目は剣先型で、鼻尖から鼻柱を1㎜下方移動させます。今回は3枚目に粒状のを重ねて鼻尖をツンッとさせます。上右図は側方から見た図で、厚さが合わせて3㎜あります。

今回は軟骨を鼻尖の皮膚上に載せたり、中に入れて皮膚を持ち上げた画像は撮り忘れました。替わりに鼻唇溝プロテーシスの図。

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いきなり大きいものが写っています。鼻唇溝プロテーシスは頤プロテーシスの最小の者を切り取って造ります。上左図では鼻尖に載せていますが、インク(ピオクタニンと言う消毒液)で書いてある二つの三角形に切り分けます。鼻唇溝の上三角の凹みに書いた三角形と相似形でしょう!?。

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上左図は切り分けて、角を落として、両側の分です。厚さ5.5㎜です。上右図はプロテーシスを鼻唇溝の上方の三角形の皮膚上に載せて、デザインに合っているかの図。

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いきなり術直後の近接画像ですが、鼻尖に耳介軟骨3枚。鼻唇溝にプロテーシスを移植しました。腫れていて形は見えないかも知れませんし、腫れてオーバーに増量しています。下面像で創を視ると血液が付着していて目立ちます。

翌日診ました。画像はありませんが、鼻唇溝プロテーシスの位置は適切です。患者さん自身も触れて位置を把握できるそうです。鼻尖は丸く高く、位置も下方移動していることを、私は確認し、患者さんも視認された。テープで中心に固定されるのを補助することを説明し、患者さんが交換できる様に貼り方を実演して理解してもらいました。

そしていよいよ、術後1週間です。鼻孔縁以外は抜糸しました。

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テープを貼ったまま撮りました。このテープで囲んだ鼻尖の皮下、鼻翼軟骨の上に移植軟骨がある筈です。位置は鼻翼軟骨に縫合していますが、ズレない様にテープで補助しています。実際テープを貼った様な形になる筈です。テープで移植軟骨の周囲を皮膚上から抑え込んで、皮下に死腔を造らないで周囲の皮膚と鼻翼軟骨の癒着を補助します。血腫予防にもなります。術後48時間までの腫脹亢進を防ぎ、軽快を早めます。鼻柱部の抜糸したので、創跡は目立たなくなります。

鼻唇溝の上方の三角形の窪みは見事に埋まっています。でもまだ腫れがオーバーコレクションに見せています。ちなみに創は鼻翼の内側ですから見えません。

IMG_8133IMG_8134IMG_8132IMG_81314方向ではまだ腫脹が残っていて鼻尖が押し上げられています。どこから診ても、鼻尖のアップノーズは可愛い。鼻唇溝は自然に浅い。

IMG_8130下面像で鼻柱の傷跡は目立たなくなっていますが、鼻孔縁にはまだ糸があります。次週全抜糸予定で、画像上更に形態が魅せられるでしょう。お楽しみに!

術後2週間です。鼻孔縁の抜糸です。傷跡も観察します。目立たなくなってきました。

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ところがいきなり患者さん「なんか触れると左のプロテーシスが内側にある様な?・・。」深刻な面持ちで申告されます。私「押していないですよね?。」と失礼な言も、患者さん「そんなことしませんよ。」そりゃそうだと思いつつ、さあーて、と乗り出して診ると、まず正面像でも見られる様に左が右に比べて深いですが、もちろん術前よりは浅い。触れると確かに、右よりも左が内側にある。一瞬「やばい!、出てないか?。」とびびり、「鼻の中に触れませんよね?。」と訊いても、患者さん「中は怖いから触っていません。」それもそうです。それで、抜糸後に鼻翼内を覗いてよく見ます。上掲の、下方からの画像では暗くて見えませんが、ライトを当てると鼻翼の内側の傷跡は見えました。ほっとして、「傷跡は見えて、プロテーシスは見えません。組織内です。」と説明し、さらに「もう傷が完全に癒着していますから大丈夫です。」「でも鼻唇溝そのものは埋まっています。」と、触れながらさらに細かい、難しい説明をしました。『プロテーシスは鼻翼の内側を切開して、梨状口縁の骨の縁に向かって通り道を造り、そこから直角に外へ向けてポケットを作ります。梨状口縁は鼻翼の真下にあるので内側のポケットは鼻翼の真下です。ここに移動することはあり得ます。』『でもだから前には出てきませんよ!。』『位置はここに留まります。』と説くと、患者さんもほっとしていました。

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鼻尖への移植軟骨は視診上中央にあり、触診でも解ります。上手にテープ固定して下さったからです。ダイヤモンド型の移植軟骨の縁の外側を押さえて、癒着させて、瘢痕が詰まらない様にする目的を説明すると、ブログも見ていて理解されています。術後4週間までは適時テープ固定することが意味があるのです。マスクで隠れるし。

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ご覧の様に鼻綾線(鼻スジ)の延長線上よりも鼻尖が前にあるのが本来の意味のアップノーズですと強調して、気に入りましたかと訊くと、「気に入りました。希望に叶っています。」と可愛さ倍増して笑顔でした。

術後1ヶ月で診察しました。

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まずいきなり触れます。いや、その前に診ます。左右の鼻唇溝上方三角の深さはほとんど変わりません。触れると位置は変わっていません。さすがに2週間前の触覚は残っています。すぐさま画像を視て、「アアー変わらないですね!。」と告げるのでなく私がほっとしながら、「鼻の中にも触れないでしょう?。」と尋ねると「はい。」と安心した様子。私「もう動かないですよ。」といいつつ失礼な言「鼻ほじれますよね?。」と小指を入れるポーズを出しみても患者さん「入ります。」と落ち着いた上に更に「前に動いた人が居たと言ってましたが、いつ頃までにですか?。」と訊かれます。私「うーん確か1ヶ月以内でしたね。」と答えて「もう大丈夫ですよ。」と念を押すと、安心された表情でした。

鼻です。鼻尖の中央の3段目を触れて、中央にあるのは確認します。すると患者さん鼻尖の両サイドを指して「これ軟骨ですか?。」私「これは鼻尖に元々ある鼻翼軟骨です。」患者さん「自分のやつですね。」そうですね。そこで説明「そう考えると、もともとある鼻翼軟骨が1段目で2段目がダイヤモンド型、3段面が剣状、粒は4段目ですね。」「4枚が下から1段ずつ小さくなって積み重なって屋根になっているのですね。」「3段じゃなくて4段だ!。こうして形作っているのですね!。」と後で思ったのですが塔です。いやドームです。これからそれで売ろうと思いました。

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4方向で見ても鼻唇溝上方三角はちゃんと埋まっています。鼻尖は本当のアップノーズです。鼻背の延長線上よりも鼻尖が少しでも前にあるのが本当のアップノーズです。鼻尖が上にあるのはアップノーズではありません。ショートノーズです。本症例の口周りの位置関係からは本当のアップノーズが似合う人です。可愛い雰囲気だからです。

遂に術後3ヶ月で完成を診られます。

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正面像

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当院は、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログに加筆しています。もちろん画像操作はありません。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。今回の手術は鼻尖軟骨移植3枚で35万円+消費税です。鼻唇溝プロテーシス挿入術は両側で28万円+消費税です。ブログ提示の契約を頂いたら出演料として20%オフとなります。