2019 . 8 . 26

鼻唇角プロテーシスを増量しました。こういうこともできるんです。

口周りの手術は白唇部短縮術と口角挙上術の併用法が主体です。口周りには鼻や頤(下顎尖)、歯や歯槽骨(歯の植わっている骨)など周囲の骨格も関係します。骨格を治してから口周りを手術する症例が増加しています。鼻翼は同時に治す様ににお奨めしています。鼻尖増高術を軟骨移植でする場合は、同時手術が難しく、しかも白唇短縮術と切開が近いので3か月以上空けなければなりません。

本症例では鼻尖は終了しています。鼻陵も入っていて不要。鼻翼は大きくない。頤も出来ている。唯一鼻唇角が喰い込んでいて、上にある点が問題でした。

その為に白唇が長いのも認識していました。鼻唇角の下制は移植が必要ですが、耳介軟骨では不足なケースが多く、シリコンプロテーシスが適応します。ただし多くの若造の美容外科医は知りもしません。そもそも鼻唇角という言葉も知らない輩が多いのです。奴等には教えてあげなーい!。のです。ところが最近韓国で真似っこが出現しました。知っての通り韓国の得意技ですね!。最近韓国では美容外科が流行っていますが、実は日本の非形成外科側の美容整形医と交流して学んだのです。流行っているのは国策だからです。

昨今日本で美容外科が再流行しているのは、なんとかミクスの経済効果に過ぎません。ご存知の通り格差を拡大したから、美容外科医療に罹る人が増えたのです。そして医療側にも素人や、他科からの参入が増加しています。形成外科からの参入者でも、美容外科の知識に乏しい者がほとんどです。しかも昨今の美容外科医はカウンセラーに任せて診察を省き、個体差を見ないで治療に臨むから、見落としばかりです。鼻唇角の喰い込みは側面、正面、斜位からよく見なければ気が付きません。私の診察に於いてもまず正面から診て行きますが、必ず3次元的に見回します。顔面の測定もして、適切な治療法を提示します。今回その結果適切な手術を施行しました。

ところが効果不足というか、鼻唇角をもっと曲線的に鈍角にしたく、プロテーシスを増量したい希望を訴えられました。初回手術時には白唇部短縮術の切開からプロテーシスを挿入しましたが、縫合可能な容量に納めました。身体組織は一度伸展したら育ち、二度目にさらに伸展できます。エクスパンジョン効果と言います。これも形成外科医のおはこです。

症例は41歳、女性。13年前鼻尖縮小術を受けている。鼻稜と頤にはプロテーシスが入っていて口元が絞まっている。つまりE-ラインはマイナスです。そして白唇が長く間延びを感じた。また鼻唇角が鋭角で喰い込んでいる。同部にプロテーシス適応と思ったら、すでに患者さんは知っていました。白唇長(鼻柱基部〜赤唇炎の中央):18mm。側面像で平坦。人中が浅く弓がなだらか。

顔面の縦比:上顔面65㎜:中顔面65㎜:下顔面65㎜とバランスは取れているが、上口唇(鼻柱基部〜交連)26㎜:下口唇(交連〜頤)40㎜で、黄金分割比の5:8に比べて白唇の長さが感じられれる。

白唇部5mm短縮し、外反を求められた。人中部で1mmずつずらして寄せて縫合し人中を細く深くする工夫で赤唇縁のCupidの弓もより明瞭にしたい。

シミュレーションすると、当然口角がさがるので口角挙上術は必要と示唆しました。内眼角間33㎜:鼻翼幅35㎜:口唇幅46㎜で黄金分割比の5:8に合わせると、口唇幅を54㎜まで拡大可能だが、45度方向に5mmで横に6㎜拡大し50㎜を目標値とした。

プロテーシスは手術中に入るサイズまで削ることにしました。

まず前回の画像を各方向別に並べます。正面像で術前、術直後、術後4週間の順に。

IMG_4149IMG_4156IMG_5503

拡大像で術前、デザイン、術後4週間の順に。

IMG_4150IMG_4155IMG_5509

右側面像と左斜位は術前、術直後、術後4週間の順。

IMG_4154IMG_4161IMG_5507IMG_4151IMG_4158IMG_5506

私は症例ごとに詳しく診察して治療法の適応を検討し、手術法とデザインも夫々の症例に合わせて使い分けています。人間相手の診療ですからこれが常道の筈です。

鼻の位置、口の閉じ具合、赤唇縁の挙がり具合と外反の程度の変遷が判ります。鼻の変形に付いては初診の術前診察時に患者さんから尋ねられる点です。画像上で鼻の変形は必ず元の位置に戻っています。証明出来ました。

ところで術後3ヶ月で来院しませんでした。

そして本年に再来されました。白唇短縮術の傷跡は画像でもみえますが、メイクで隠せます。そもそもこの部位は鼻の影にあります。下から見なければ判りません。鼻翼の横の余剰による膨隆は見られません。

早速測りました。鼻唇角から弓の底までは13㎜です。18㎜を5㎜切除したので、ぴったり後戻りゼロです。白唇は直線的でC-カールがありませんでしたが、外反させたのでは適度に反り返り優しい感じです。人中が浅く赤唇縁の弓型がはっきりしなかったのですが、ちゃんとCupidの弓の形になりました。

口角ももちろん後戻りはありませんから、形態的に嬉しい表情ですが、下口唇側の傷跡が白く帯状に幅があります。口紅を赤く引けば隠せるそうです。

ここからが本題です。鼻唇角プロテーシスで鼻唇角が鋭角に喰い込んでいなくできましたが、もっと鈍角に下げたいと頼まれました。

IMG_1091IMG_1092

1年経ても後戻りはありませんが、傷跡はここまでです。

IMG_1095IMG_1098IMG_1094

鼻唇角は鈍角ですが、さらに外人(白人)の様に本当のアップノーズにしたい希望です。前回鋭角から直角。今回直角から鈍角を求めます。

さ〜て切開はどこにしましょうか?。白唇短縮術の傷跡をもう一度切開すると、多分少なくとも今より目立つことに成り得ます。同じ線を二回切ると、今より綺麗になりません。傷跡の幅がないのですが線の上下を最低幅1㎜切除すれば同じ傷跡に成り得ます。でも切除短縮は必要ありません。それに部分的な切開でも前回と同じ手術経過期間を要します。

今までに他院で(私の知り合い)鼻尖形成術をしているので、鼻孔縁切開の跡があります。さらに延長して鼻孔の後面まで切開すれば鼻唇角プロテーシスは入れ替えられます。実は私が白唇短縮術の際にNostril sill、鼻の孔の底の土手を温存したから次の切開も隠れるのです。ああ思い出した。私は鼻唇角プロテーシス挿入の際にNostirl sillの後ろを切開しますから、土手の必要性を強調しているのです。こういうのを怪我の功名というのでしょうか?。あっと違うか?、私は形態をよく細かく見ているからこそ知り得ることです。

IMG_1101IMG_1100

デザインを描きました。鼻柱基部とは鼻柱の両側です。そこに入れたいのでマーキングします。右鼻孔縁の切開はNostril sillに隠れて良く見えませんが一部黒い線が見えます。だ〜か〜ら〜、見えない部分の傷跡にできるのですよ!。

IMG_1103まず前回のプロテーシスを取り出しました。この後、比べながら新たなプロテーシスを削ります。前方への凸を増やします。

ところがいきなり丁度良いサイズのを作成できました。前後4㎜増大しても入りました。入れてみて入り、患者さんに見せて、形もできたので、ただちに「成功!」と叫び縫合に入りました。後で考えたら、新たなプロテーシスの画像はありませんでした。でも術後の画像を見れば形は判ります。下の画像です。

IMG_1873IMG_1884

明らかに下がりました。術直後は形態がよく判ります。

IMG_1874IMG_1877IMG_1882

右斜位像でも左側面像でも、鼻柱が約2〜3㎜下方移動しています。下面像では残念ながら鼻柱が右にシフトして見えます。でもこれは縫合しているからと局所麻酔と主張のためです。抜糸後には戻ります。翌日も正面像と近接画像を戴きました。下に載せます。

IMG_1913IMG_1914

何事も無かった様な画像ですよね。この手術は通常では結構腫れますが、今回は二回目でポケットの拡大も前方だけなのでむしろ腫れて良く下がった様に見えます。アッ間違った。ちゃんと増量しました。残念ながら入れる前に撮り忘れたから皆さんにもお見せ出来なくて不備をお詫びします。

今回は画像を1年前から載せました。こんな症例も面白いでしょ?。抜糸後の画像をお楽しみに!

術後1週間で抜糸しました。

IMG_1236IMG_1237

何か笑顔を湛えています。そうです。もしかして表情を作って下さったたのか知れませんが、口周りを見事に調和させたら動的形態が美しくなったからです。いや内面的に美しい人だからでしょうか?。とにかく見事に鼻唇角が下がり、さらに鼻の下が短くなりました。

IMG_1238IMG_1241斜位像や側面像ではよく判ります!。鼻唇角が鈍角です。しかも希望通りに鼻柱が丸く下がりました。そういう形のプロテーシスを作りました。

上に書いたように主張はごく軽度ですが、ゼロではありません。事実前回はだんだん減ってきました。今回もちゃんと経過を見ていきたいと思います。美しい患者さんですから長く診ていきたい素敵な女性です。

術後1ヶ月で画像を戴きました。

IMG_2648IMG_2653

やはり正面から鼻柱基部が見えます。

IMG_2652IMG_2649斜位像でも側面像でも鼻唇角が鈍角です。患者さんは満足されています。本症例の患者さんは美意識が高く、品性に溢れています。診ているとだけで優しい気持ちになれる女性です。

次回もう一度経過を診ましょう。変わらず安定しているはずですが、傷が安定するのは3ヶ月と決まっています。お楽しみに!。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。鼻唇角プロテーシスは15万円+消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。