2019 . 11 . 13

口周りは口唇と鼻。鼻唇角はその中間。下は頤。

本症例は初診時には楽しく診療しました。結構フランクですが、やりたいことの主張が強く、巷間いわれているように私もそうなので、二人で丁々発止の診察でした。こうして密な診療の結果、適応が高いと考えられ、手術に至りました。術前の計画は看護師に任せて静脈麻酔の希望も汲み、麻酔医が立ち会えるようにスケジュールを立てました。

ここでいつもの私のモットーです。美容外科治療は人格を豊かにする為にあります。美容医療を何らかの目的を持って受けても、目的を達成出来るとは限りません。例えば可愛くなると稼げるかと言っても、私は銀行員ではありませんから出来ない相談ですし、可愛くなってもてたいと言っても相手を充てがう事は出来ません。ただし内面的人格が高くても、外面的人格つまり美貌が足りないと感じている人は沢山居ます。内外の人格の調和が目的なら効果があります。外面的に向上すると内面的に向上するのは当然です。

その意味で、劣等感、コンプレックス,complexとは複合物、合成、つまり塊り。英語ではInfrrior complex or minor complex=劣等感の塊りは内面的治療の対象でありますが、外面的治療により効果が得られるなら調和的美容医療の極みです。本症例がそうなれば、美容外科の冥利に尽きます。その為にもやはり、長期的経過を見ていく必要があります。

症例は24歳女性。4月に来院。人中部白唇長19㎜。歯科矯正で内反した。上顔面55㎜:中顔面60㎜:下顔面72㎜で下が長い。その内訳として上口唇26㎜:下口唇46㎜と黄金分割比率を適用すると、上が長い。E-ラインより口唇が2㎜前。

内眼角間34㎜:鼻翼幅34㎜:口唇幅48㎜で横部品比率も黄金比率を適用すると、52㎜目標として両側2㎜ずつ横にも引くために、口角挙上は三角関数で計算して30度方向に5㎜挙げるデザインをした。ご覧のように鼻唇角が鋭角でそのために人中が余計長く見えるから鼻唇角プロテーシスをしたらと向けたら、知っていて希望された。頤前に脂肪注入されていて長いから、頤下にある脂肪は溶解した。別部位ですが、内眼角間が影響する眼瞼はつり目で、目頭形成の適応。眼瞼下垂手術と重瞼術の併施も希望あり。

5月中筍に再診。目頭形成術と眼瞼下垂手術は予定した。白唇5㎜切除、外反軽度を確認。口角は30度5㎜。プロテーシスで3㎜は下げたい。赤唇はあまり厚くしたくない希望。人中も弓もはっきりしていて口唇結節もある。手術で造る必要は無い。

まず口唇手術の画像を診ましょう。まずは各方向の術前と術後約6ヶ月の現在を並べます。

IMG_2531IMG_4296

何とも可愛い口元を造り上げられました。

IMG_2537IMG_4297

鼻の下の傷跡は目立たないのですが、口角部の傷跡は見えます。メイクで隠して下さい。

IMG_2535IMG_2532IMG_4300IMG_4302

斜位像と側面像では、内反した唇が可愛くC-カールを造り上げられました。赤唇もはっきりして女の子っぽさに溢れます。

今回の口周り=鼻梁から鼻尖、鼻唇角から白唇、赤唇、口角も写して、頤までを見ました。

敢えてここまで触れてこなかったのですがE-ラインよりも口が2㎜前だったのは変えられません。頤には脂肪注入でやや強い印象ですが、溶かして形を変えてプロテーシスをするまではないと思います。ならば鼻を高くすればE-ラインは整います。その話が進む可能性が高いと思います。こうして話しが進んで行き、時期を見て手術に到りました。

今回外鼻の手術を施行します。ブログ提示はまず前回のコピペをして術前と今回の術前から書き加えました。次回から鼻だけの板を作ります。まず今回の鼻の評価とデザインの計画を載せます。

口周りの手術から3ヶ月経て、腫脹も消失して落ち着いて評価しました。切開はオープン法です。白唇短縮術の際に鼻柱基部を切開したので、今回鼻柱の中央を横断する切開を要しますから、3か月以上待ちました。耳介(甲介部)から軟骨3枚を積み重ねます。前に2㎜、鼻尖を下に1.5㎜を目標とします。プロテーシスはI型が適切です。

前回の口周りの手術から6か月経った10月に再診察して、もう一度デザインを確認しました。鼻:鼻根が低い。現在目頭間より5m上に最下点があるのを10㎜上まで挙げたい。鈎鼻=Humpを隠すプロテーシスを作成します。鼻尖が低いのも鈎鼻が目立つ要因です。I型プロテーシスは最大2.5〜3㎜の厚さを必要とします。耳介軟骨3枚は、一枚目のベースが一辺7㎜のダイヤモンド型+2枚目は帯状に鼻柱を下げる+3枚目は径3㎜の点状でツンっとさせる。手術プランは立ちました。今回も静脈麻酔を希望しました。

今回の鼻の手術の術前、手術直後、数十分後にテープで圧迫固定後、手術翌日の画像を各方向別に並べます。

IMG_4297IMG_4308IMG_4315IMG_4334

今回も静脈麻酔を利用されましたので、手術直後の画像ではまだ酸素チューブを咥えています。術前は鼻尖が上方にありました。術後は下に移動しています。鼻根部にガーゼがありますが、引き出した糸をガーゼを挟んで固定しました。中心がズレない様に、プロテーシスの上下の位置がずれない様に留めました。

IMG_4298IMG_4316IMG_4340

下方からの画像では高さが判りません。腫脹も影響しています。

IMG_4300IMG_4313IMG_4318IMG_4336斜位像ではツンッと高くなったのが判ります。鈎鼻,Hump=鼻骨の先端がカクッと飛び出ている(鷲ではない)も解消出来ました。何と言うかNobleな鼻に改善されました。

IMG_4302IMG_4311IMG_4320IMG_4338側面像では鈎鼻の改善は明らかに判ります。鼻尖の高さは皮膚が伸びて来ないと見えません。鼻根の最下点の位置は明らかに上に移動しました。

手術日から翌日までの画像を提示しました。今回は挿入物=シリコンプロテーシス+成形した耳介軟骨を画像提示します。

IMG_4304IMG_4305シリコンプロテーシスを造り上げ、挿入する前に撮りました。上左図は前面から、上右図は後面です。上下はこの通りで、上は先細に、下は先薄にします。後面は鈎鼻の部分を特に薄く削ります。画像で青白く透けて見えます。

IMG_4321IMG_4322実は予め、大きさを決めて耳介から軟骨を採取します。10×13㎜です。上の画像の様に耳介後面の折れ返り線から侵入し、軟骨だけを中抜きします。縫合後後ろにはガーゼを当て、耳介前面にはお椀型の甲介部に綿を嵌めて糸で前後を結び付けて圧迫固定します。Bolster sutureと言います。耳介血種(格闘技家やラグビー選手に見られる凸凹耳)を防ぐ為です。

IMG_4306IMG_4307こうして採取した耳介軟骨を三つに割って積み重ねて糸で突き通して合体させます。上左図の様に出来ました。上段に説明した様な形に積み重ねました。上右図はシリコンプロテーシスと上下に並べて撮りました。実際はプロテーシスの上に軟骨が重なる様に入れました。高さが欲しいからです。

今回まだ術翌日の最もダウンタイムが強い日数までです。腫脹は外鼻だけでなく、眼瞼まで波及します。内出血は顔全体まで浸潤します。

また上にも書いた様に、鼻根から鼻陵のプロテーシス挿入部は腫脹が両側に膨らみ、鼻が高くなっているのに太くなっています。鼻尖部は軟骨の厚さは約3㎜で、前に高くしたのですが、持ち上げた皮膚を戻して縫合して行こうとしても、当初の数時間では皮膚は伸びて来ないのです。移植した軟骨は元から鼻尖にある鼻翼軟骨の上に固定していますが、皮膚の圧力により移植した耳介軟骨を後ろに押してその後ろにある鼻翼軟骨を押しています。皮膚が伸びて来ると徐々に前に戻ります。これまでの症例提示でもその様な経過を辿っています。

皮膚はExpansion,伸展します。手で引っ張ると伸びて戻ります。コラーゲンは縄鎖みたいな構造だからで元に戻ろうとします。密度が下がるから加齢で戻りが遅くなりますよね。でも伸ばし続けるとコラーゲンは切れて行き密度を変えて行きます。数日間伸ばし続けると置き換わり始めます。ただし皮膚が伸ばされると毛細血管が潰されるので、血行が不足する事になりますから、反応して毛細血管拡張も起きます。赤くなるのはその為ですし、時には皮膚表面から毛細血管が見られます。加齢で皮膚が薄くなると顕著です。何れにしても皮膚が引き伸される(移植の際は後ろから押し出されると言う方が正しいかも知れません。)と徐々に伸びるのですが直後では無く数日後から徐々に伸びます。ではその間軟骨と皮膚は癒着しないでしょうと言われればその通りで、癒着の完成には数週間罹ります。だから形態も数週間の経過中に出来上がります。私は経過が予測出来ますし実は皮膚を戻す前の形態に皮膚を足した大きさが出来上がりなので術中には見えています。

次回術後1週間の経過が見ものです。お楽しみに!

当院は、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。今回の手術は鼻尖軟骨移植3枚で35万円+消費税です。 I型シリコンプロテーシス挿入による隆鼻術は18万円+消費税です。ブログ提示の契約を頂いたら出演料として20%オフとなります。