2020 . 12 . 17

E-ラインは側方視だけでなく立体像も替えて魅せます。口周りは3次元。

本症例の患者さんには嬉しいお言葉を戴きました。「森川先生は顔面のバランスを診ていって、トータルに治して下さるから、その様な美容形成外科医に巡り会えてよかったです。だから御任せできるのです。」と、私のこれまでの経験から来る美容医療の素養を認めてくれたのでしょう。有り難いお言葉です。ですから幾つかの手術を計画を立てて施行してきました。順を追って一つ一つ施行してきました。一回で終えないのは、第一に私の体力の問題。知的集中力もです。第二に大阪院では局所麻酔手術しか出来ないからです。局所麻酔量には極量があるからです。第三には大阪院の手術は最長で3時間30分だからです。そして第四に今回は、追加手術ですが、一回目は無理なサイズを取らないで済ましたからです。そもそも私は手術を丁寧に時間をかけて行います。

症例は56歳女性。当初は昨年5月に来院。長いでしょう?と言われて測ると、人中部の白唇は長さ23㎜です。E-ラインより唇が10㎜前方。側方から診ると白唇が内反している。加齢とともに赤唇が薄くなった。上顔面(生え際〜眉下)55㎜:中顔面(眉下〜鼻下)60㎜:下顔面(鼻下〜顎尖)60㎜と縦のバランスは取れているが、上口唇(鼻下〜赤唇交連)29㎜:下口唇(赤唇交連〜頤)31㎜と黄金分割比率より上が9㎜長い。人中と弓ははっきりしている。6㎜以上は切除しないよう説得しました。ただししっかり外反させます。

顔面横部品費は、内眼角間33㎜:鼻翼幅37㎜:口唇幅43㎜で、黄金分割比で計算すると口角を6㎜横にも引きたいが、顔が小さいので30度方向に5㎜引き上げ、口角を上に5÷√3(1.7…人並みに奢れや)≒3㎜、横に2.5×2=5㎜拡大するデザインを予定した。鼻は経過中に検討する。

まず上白唇短縮術+口角挙上術の術前=初療時の画像を載せます。

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術後3ヶ月で完成しました。白唇中央の長さは予定通り18㎜です。ただしこれでもまだ上下口唇の比率は5:8とはなりません。頤が後退しているからです。正面像で鼻翼幅と口唇幅の比率を診ると、口角挙上術時に口唇幅を5㎜拡大したのに、37:48ですからまだ5:8にはなっていません。鼻翼縮小術の適応があります。こうして口周りの手術の次に残りの鼻翼の拡がりと頤の後退に対する手術を予定した。

鼻翼の最大幅は37㎜です。顔面の横部品の比率からして、34㎜にしたい。手術直後には31㎜にしておきましょうとなりました。
手術前の画像は上白唇短縮術と口角挙上術の完成図でもあります。

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上四葉の画像は正面像と下面像の左術前、右術直後です。切らない鼻翼縮小術は両側の鼻翼を糸で引き寄せるだけです。いわゆる埋没法です。後戻りが必ず起きます。

そして鼻翼縮小術から1か月経て後戻りが落ち着いたので、懸案事項であったE-ラインの改善に乗り出しました。部位が離れているので可能です。頤プロテーシスで頤を前に出します。上口唇と下口唇の比率はまだ5:8になっていませんが、今回は長さを作らない事としました・・・。

それでは頤形成術の術前の画像から診ましょう。

DSC02717DSC02718DSC02721顔面の上下の比率としては、上白唇を短縮してもまだ下口唇から下が短く感じます。でも術前に長くしない希望でした・・・。変わりすぎるのを避けたいからです。斜位像や側面像ではE-ラインの配置上明らかに口が前です。

DSC02724DSC02725DSC02722挿入した直後です。決して長くしていませんが、腫脹で長くなります。頤の先端に糸を出して中心に固定しています。上方に移動して口の中に出ない様にするためでもあります。斜位像や側面像ではE-ラインが一直線上になりました。

術後3ヶ月で鼻翼縮小術を再施行することを決めました。実は切らない鼻翼縮小術は後戻りが多かったので、いつか内側切開法(皮弁法)を検討していました。

そして鼻翼縮小術の画像を載せていきます。頤プロテーシス挿入術の術後経過も兼ねます。

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正面像と近接画像です。鼻翼幅は37㎜です。

DSC05010DSC05013斜位像や側面像では人中部が平坦です

下に下面像を並べます。

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左から術前、デザイン後、術直後です。37㎜の鼻翼幅が34㎜になりました。

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鼻翼幅は、口唇の幅と対比すれば判ります。人中が一度膨らみます。創は鼻孔底に縦に出来ます。ただしNostril sill(土手)の部分は見えますが、中までの創は見えません。

DSC05029DSC05032斜位像でも人中部の膨隆が診られます。側面像では前突しています。 術後3ヶ月です。

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さすがに36.5㎜まで後戻りしました。

DSC07323DSC07319患者さんはインテリですからこの雰囲気が似合う。実は眼瞼形成術もしましたが、目力が入って知性を感じさせます。

ここから今回の追加手術の提示になります。9月に他の部位の相談と経過観察の為に来院されました。鼻翼36.5㎜。白唇16㎜。口角は43㎜で30度5㎜で46㎜にしたい。

11月に再診。白唇は実は17㎜。両顎歯槽突で更に追加切除希望。3㎜切除。寄せない。口角下がる。45度5㎜。鼻翼皮弁法は再手術は難しい。糸で追加。4㎜縮める。コストフリー。線上瘢痕狗縮で後戻りは少ないといいな。外反は軽度に。

予定の量。

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術前は数字通り。

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やはりまだ長めです。

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デザインは予定通りです。下に術直後の画像。

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すっきりします。腫脹が軽いです。そう言えば術中の出血も少なかったです。

DSC00239DSC00242側面像と斜位像では、腫脹が軽くても、口唇が前突するからE-ラインに反映して診られます。

翌日も画像を頂きました。

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いつものように内出血が起きていますが、今回は赤唇には起きていません。赤唇は柔らかい組織なので、吸収が遷延します。

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形態良好。さすがに仕事したら話し難い。腫脹軽く、内出血は無いが、食事後出血が垂れた。

下に術後1週間で鼻翼横以外を抜糸した直後の画像です。

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そういえば一回目の手術は何年前かですから、「最近は抜糸を遅らせているんですね。」「ブログで視ています。」と云われました。

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創治癒の経過が早いです。通常理論的にも同部位に対する二回目の手術では、瘢痕を切るから治癒遷延するのです。でも手術中を思い出したら、患者さんは全くもって精神的に安定していました。やはりいつも私が強弁してきた通り、術中術後に精神的に落ち着いている人は、創傷治癒が早いのです。自律神経”系”の交感神経が賦活されないから血行が良好で、さらに創傷治癒に寄与する免疫系もよく働くからでしょう。そういえば本症例の患者さんは翌日も社会生活を日常並みに実行していたそうです。気持ちが落ち着いていますね。インテリですから。

次回から版を変えて、口周りの二回目の手術を載せます。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。」

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

本年6月から費用の説明も加えなければなりません。切らない鼻翼縮小術は18万円+消費税です。頤プロテーシス挿入術は18万円+消費税です。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。鼻翼縮小術皮弁法は28万円+消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。今回は2回目の手術なので、上白唇短縮術は20万円+消費税。口角挙切らない鼻翼縮小術も20万円+消費税としました。切らない鼻翼縮小術は切ったのにあと戻りが起きた為のやり直しなのでコストフリーにしました。