最近街に、可愛い男子が増えています。子供っぽいとも云われます。いわゆる草食系に近いかもしれません。女性が強くなった肉食系からの対言でもありますかね。昔から、男性でもルックスがいい男を美男子と称してきましたが、それとは違う。いまやモテる男子は、対人関係の対応が上手いお笑い系でしょう。女性なら美人ですね、可愛いですねと云われたいのは、モテるためでもありますが、それはジェンダーに沿っています。ジェンダーフリの時代、可愛い男子が増えてきたのは趨勢かもしれません。書いていて、何を言いたいのか解らなくなってきました。
私は37年間、他の美容形成外科医よりも多くの、男性患者さんを診てきました。過年の銀座美容外科時代からそうです。何故でしょうか?。一つには銀座近辺では、ルックスを使って仕事をする男性が多いこと。また逆に、経済的に高度の、都心に巣食う男性は、ルックスや身なりにも気遣うからでしょう。もう一つ、私がジェンダーを考慮した診療方針を知っている男性がいるからでしょう。言ってみれば、アナムネを詳しく聴くからでしょう。アナムネとは病歴の事ですが、既往歴や家族歴、さらに社会歴も含みます。ジェンダーは社会性の性ですから、何故男性患者さんが受診したかの背景として重要だと考えます。
そして、本症例の患者さんは男性ですが、周囲に可愛いと云われています。こうなるとジェンダーとして、何を求めて診療を受けるかにも影響します。可愛くても、目周りだけが野暮ったくて、キツい印象です。画像で視られる様に、開眼時に前頭筋を収縮して、眉を吊り上げて目を開いているのも、表情として印象が良くないし、本来眼瞼は上眼瞼挙筋という筋肉で開くはずなので、言ってみれば眉を上げて目を開いているのは、不自然な行動なのですから、自然な解剖学的構造に直すべきです。それに、自然な解剖学的構造である二重瞼の人間は、蒙古襞の拘縮が軽度なのが自然な構造です。だからZ-形成法による目頭切開(形成)術で、構造を変える方が自然な形態となり、機能的にも向上します。
近年混合医療の取り締まりが強化されたので、同時に施行できないので、患者さんに面倒をお掛けしてしまい申し訳ありません。逆に言えば本来、蒙古襞の拘縮は東アジア人に特有の解剖学的変異で、機能障害の一因になっていますから、目頭形成術に対しては、保険診療が適応するべきではないでしょうか?。学会の努力が足りないのと、厚労省の理解不能と、国民の、美容整形屋と美容形成外科医の差異に対する認識が、不足しているのが原因です。残念です。
症例は28歳男性。先天性一重まぶた=前葉性眼瞼下垂症。LF14㎜で先天性後葉性眼瞼下垂上ではなく、フェニレフリンで開くから後天性は軽度進行中。ラインは二重瞼の最低線か?。蒙古襞の下か?。それなら測ると(診て判るが)内眼角間距離39㎜:眼裂横径26㎜:角膜中心間距離64㎜で蒙古襞は拘縮している。吊り目なのに子供っぽいと云われるそうです。予定を立てましょう。
術直前の診察では、5日後に眼瞼下垂手術切開法の予定で、ラインはタトゥーしておくことを告げました。擦ったり拭いたりして消さないで下さいとお願いしました。ラインは奥二重に希望。塩顔希望。一辺4㎜60度のZ-形成術の適応です。
画像は両側眼瞼部と左右眼瞼近接画像を日ごとに載せます。観ましょう。
術前の遠近二葉。開眼時は常に前頭筋が収縮して、眉を吊り上げて瞼を引き上げています。トリミングしましたが、おでこにしわが寄っています。上右図の近景では輻輳して寄り目になります。いや蒙古襞で内側の白目が隠れているのです。
近接像では正面視ですから、寄り目が軽度です。蒙古ひだは弧状に拘縮しています。
目頭切開(Z-形成)のデザインです。開眼と閉眼で撮りました。ちなみに眼瞼の点はタットウーです。
近接画像でZ-形成のデザインを診ましょう。一辺4㎜の60度のZ-形成術です。下には毎回載せている机上の図を載せました。実物と対比しましょう。
図は左側(向かって右側)眼瞼のZ-形成の机上の線画。図の左側が術前、右側が術後。説明すると、cabとdbaの二つの三角形を入れ替えてb’d’c’とa’c’d’の三角形になります。蒙古襞の稜線abがa’b’になるのですが、sin60度×2=√3×2≒1.73倍の長さになります。4㎜の蒙古襞が約7㎜になり逆に横方向は、cdがc’d’と7㎜が4㎜となり、蒙古襞は表裏に皮膚がありますから、蒙古襞が1.5㎜退いて、両側で内眼角間が3㎜近づく計算です。
術後両側眼瞼部画像です。離れて診ても、内眼角間が近づいているのは判ります。
近接画像で目頭部を観ます。赤い傷の線が図の通りでしょう。涙湖(目頭部の赤肉)の見える量も普通=自然です。
翌日診ました。出血は無い。腫脹は局所にごく軽度でした。土曜に形態診て、ラインは平行か?、末広の最高位?。シミュレーションすると、タトゥーよりも1㎜上?。重瞼固定をしっかり止める為には、切除は最低2㎜欲しいので、やはりタトゥーの点が第一切開線か?。
そして目頭形成術後5日ですが、眼瞼下垂手術を施行します。
眼瞼下垂手術前です。遠近診ると寄り目ではないのですが、まだ開いてはいません。
閉瞼時でも上方視時でも、眉が挙がっています。
近接画像で診られる様に、目頭はまだ抜糸していません。
今回は両側眼瞼部斜位像も撮りました。開瞼の程度が観やすいかも。
いよいよ眼瞼部のデザインです。辛うじてタットウーが残っていました。でももう一度シミュレーションして、第一切開線は瞼縁から、5㎜となりました。切除幅は最低線の2.5㎜です。内側は目頭形成の創の最上点に収束します。
術直後の両側眼瞼部像ですが、痛みと糸の突っ張り感で開いてくれません。
閉瞼時も上方時も腫脹で膨らんでいます。
近接画像でも開いていないと形態と機能が判りません。
斜位像ではスッキリ感だけ判ります。
疼痛も突っ張り感も軽快してきたそうで、なんとか開いています。腫脹はむしろピークですが、重度では有りません。
近接画像でもかなり開瞼が向上しています。
眼瞼術後1週間で抜糸しました。目頭形成術後では12日経ました。
こんなに開きました。でも上の白目が露出するほどではないので丁度良いと言って下さいました。
閉瞼すれば、傷跡はまだ赤く目立ちますが、いつかは白い線になり目立たなくなります。上方視では見事に開いています。視界も良好だそうです。
全体的に可愛い雰囲気から、目元に目力が入って似合わないかと思いましたが、やはり可愛い。
近接画像では、目頭切開(Z-形成術)の肥厚性瘢痕(ケロイドもどき)の有無に注目しましょう。術後12日ではまだ断言できませんが、重度になりそうでは有りません。術後肥厚性瘢痕は術後3〜6週間に起きてきます。念の為内服薬を予防投与しましょう。そして術後3週間で診ましょう。
下の目頭形成術後3週間では肥厚性瘢痕の有無と程度が問題です。
両側眼瞼部画像は四葉。上二葉は上左図が遠景、上右図が近景ですが、近景では近づいて撮ったので力が入って、開眼を強力にして下さいました。見事に開いています。下左図は上方視です。よく挙がっています。下右図の閉瞼時ではまだ傷跡の線が赤いのですが、喰い込みは軽いです。目を閉じても二重では有りません。それではダサい。
肥厚性瘢痕とは、硬い、赤い、膨らんでいる。拘縮している状態です。軽度で内服が功を奏しています。赤くなくなれば見えません。それにしてもキラキラした目元に出来ました。
当院では、一昨年に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」を遵守しブログを掲載しています。
医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。
施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用は、眼瞼下垂症の診断が得られれば保険診療です。3割負担は約5万円(出来高請求です。)です。目頭形成術は角膜に掛かる程でないと保険は適用出来ません。自費で28万円+消費税です。