2018 . 2 . 7

口周りは様々なタイプの形態があります。これは可愛い。

可愛い女子には必須の手術となった感のある口唇部手術。白唇部切除術と、口角挙上術の組み合わせでこんなに可愛くなります。手術後半年以上経て来院されましたので掲載します。今回、別の部位の診察の為に来院された訳ですが、お願いして撮影させてもらいました。半年以上経ての画像は滅多にないので皆さんの参考になると考えたからです。但し、ブログ掲載の契約は手術部位だけなので、このブログには口周りのカット画像を載せます。他部位は別の回にします。約8か月前の手術時からの変遷を載せて説明します。

症例は36歳、女性。上口唇長(=鼻柱基部〜Cupid’s  bow)19mmと長く、鼻翼幅は33mmと大きくないが、口唇幅70mmと大き目。下左図の如く下顎歯槽および下口唇が上口唇より前にあり、そのため上口唇白唇部がだらんと平坦であるため立体感に欠けるため、元より長さがあるだけでなく面が見られ、いわゆる〔鼻の下が長い〕印象を呈している。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAこの様に、左図の如くデザインしました。切除幅は6㎜です。上口唇の平坦感を解消する為に裏返りをプラスしたいから、皮下脂肪層全層切除で口輪筋は縫縮します。口唇幅に比して切除の距離が少ないため口角が下がらない様に、口角挙上術を要します。シミュレーションで口角は斜め45度=頬骨隆起方向へ5mm、赤唇縁に沿って7mmの三角形の切除としました。

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上図は術直後です。

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上図は術後1週間で抜糸直後です。

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上図は術後2週間です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA左図は術後1か月の正面像。

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今回術後約8か月の画像を戴きました。メイクしているので、傷跡は見えません。もちろん運動機能は正常です。力を入れないでいると隙間が僅かにあります。この程度が可愛いのです。

最近口周りの手術が続いています。私は幼少時から、他人の顔を見定める悪い癖があります。父が私に癖付けさせたのです。人の顔を見る時先ずは目元に視線が行くものですが、最近口元に目がいく様になりました。職業病ですかね?。そうして視ていると、巷間の多くの人が日常的に口をしっかり締めているのではありません。例えば早足での歩行時は呼吸の為に、ほとんどの人が口に隙間を開けています。電車の中で対面の人を見てもスマホを見ながら多くの人は口を開いています。特に現代はダテマスクしている人が多いので、呼吸の為に開いている人がほとんどです。口は見えなくても、そこは私は顔のプロですから、頤の動きで判ります。

術前はのぺっとしていた上口唇が、適度に外反し上赤唇部は前突し、白唇部が軽度湾曲して唇らしくなりました。やはり唇は、白唇と赤唇のユニットの3次元的形態を頭に入れながら手術プランを立てる事が重要だと証明されました。

口元の評価基準にエステティックライン;Aesthetic lineがあります。定式です。側面像で鼻尖と頤の最前点を結ぶ線を言います。口唇、それも下と上それぞれの口唇の位置が、線より前にあるか後ろにあるかを評価します。日本人では上下口唇が一直線上にあるのが理想です。

皆さんご存知に様に、アジア人は鼻が低く頤が後退している為に相対的に口唇が前突している傾向にあります。また鼻と頤は骨格が貧弱だからで、相対的に歯槽骨が前方にある傾向にあり、その結果出っ歯だったり、口が尖っていたり、下口唇だけが前突していたりします。白人ではエステティックラインより口唇が後ろにある者が多く、大きな差が有ります。

本症例は、アジア人の中では鼻が低い方でも頤が後退している方でもなく、歯槽骨が前突している方ではなく咬合も正位ですが、上口唇に比して下口唇が前方にありました。エステティックラインプラスでした。上口唇が長く貧弱で間延びしていたから下口唇を押し出していたのです。だから手術適応なのですが、結果的に上口唇を外反させて上口唇縁を上方移動したら、相対的に下口唇が前突しなくなり、上口唇と同列の前後位置関係になりました。エステティックラインが綺麗にゼロ化しました。見事な結果と言えます。いや、それは症例患者さんの美容的観点が正しかったからです。診療は私と患者さんの「共作」です。

ただし口周りの手術は経過が長いです。切開手術をすると腫脹と内出血が必発です。ただし血行が豊富なので、意外とドレナージ(液体成分排出)も良く、術後2週間では運動も回復します。

実際には、手術侵襲による口輪筋のダメージが回復し切るには月単位を要します。今回8か月を経ました。力を入れないと隙間があります。某患者さんに冬場はリップクリームが欠かせないと訴えられました。でも、術後早期にマスクでカムフラージュするために、冬場に手術したのですから仕方ないとも仰っていました。それに術後日に日に形態が良くなり、雰囲気が可愛くなるからどの患者さんも喜びを表わします。

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もう一度今回の画像を載せます。上口唇が短くなり、すっきりとしていながら立体的な表情の豊かさが醸し出されると、静的;Staticにも動的Dynamicにも、あたかも表情が相手に好意を示すかの様に感じられます。周囲の誰もが可愛く感じると予想されます。 上図でも見られる様に、他人は日常的には真っ正面から相対しませんから見慣れないし、真横から見つめるのもいやらしい。だから斜めから見る顔が評価し易いのです。ピンクの口紅を引いた上下口唇の間に隙間が見える画は話し掛けている一瞬の間の様に感じられ、可愛いでしょうね。