これまで何年間か私が手術をしてきた患者さん。当初から眼瞼をもっとパッチリクッキリにしたいとの希望がありましたが、鼻から入ってやっと眼瞼手術に到ったのです。
本症例の患者さんとはこれまでの診療経過中に信頼関係が深化しているため、手術中は安定して進行しました。でも術前の診察に於いては何回か検討を重ねました。患者さんの希望を汲み取りながら、自然にあり得る良好な形態と機能を得る為に時間をかけました。
そうです。重瞼術&眼瞼下垂手術と目頭の拘縮解除の為のZ−形成術は自然界にあり得る,、最高に良好な形態と機能を作り上げる手術です。
画像は両眼瞼部を術前、術直後、術後1週間、術後3週間の順に。
本症例はこれまで他院で埋没法を受けています。ご覧の様に開瞼が不足で角膜(黒目)の上が2mm以上隠れています。また、目頭の部分の蒙古襞が被さり、襞は下眼瞼に付着しているから突っ張って(拘縮)開瞼を阻害(抵抗)しています。内眼角間も、離れています。
このような形態と機能を呈している人には、まず第一に一重瞼を二重瞼に改善し定着させて、皮膚が瞼縁に被らない様にするべきです。そして伴う眼瞼挙筋の筋力の成長不良を改善して挙げるべきです。蒙古襞が被さり内側の白目が隠れているのでより目に見えます。この点に対して形態的に改善が求められますが、蒙古襞は拘縮を伴い開瞼を阻害しますから、拘縮の解除が主目的の手術をするべきです。
何度も書いてきましたが、一重瞼の人は蒙古襞の拘縮を伴います。遺伝子が決定しているからです。ですから、一重瞼を二重瞼にする際に蒙古襞の拘縮を同時に解消する方が自然な解体と機能を作り上げられます。
一重瞼を二重瞼にする際に蒙古襞を解除しないと自然な形態になりません。たとえ末広型の二重瞼を望む場合でも、一重瞼の人の蒙古襞の拘縮を温存しているとたやはり奇異な印象になります。目頭切開の目的は末広型を平行型の二重瞼にするためではありません。あくまでも拘縮の解除です。一重瞼に伴う蒙古襞の拘縮のままで二重瞼にすると不自然な形態になります。
本症例では二重瞼を最高位に設定する希望を表しました。その場合アジア人では瞼板上下幅が7.5mm以下ですから、重瞼の高さも7.5mmを限界としています。白人では瞼板の上下幅が11~13mmありますから、二重瞼が広いのです。原則的に白人と黒人は全員二重まぶたです。
画像で見られる様に、広い二重瞼をデザインしました。7mmです。8mmでシミュレーションしてみたら、重くて開きにくく眠そうな目になりました。ご覧の様に幅3mmの切除を加えますから、開瞼時の見かけ上の二重幅は(3-1)÷2=1mm広くなります。本症例の患者さんもこの幅の重瞼線に満足しています。
何度も書いてきましたが、蒙古襞は被さりと拘縮の二面性があり、切除すると被さりを除去できますが、縦の傷跡は術後に必ず拘縮してしかも陥凹するので、球面である眼瞼に谷線があると目立ちます。三日月形切除の傷跡が目立つのはこのためです。未だにやってしまうクリニックがあり、困り者です。
形成外科医にとってZ-形成の術式と幾何学的な理論的なデザインはお手の物です。一辺4mmの60度のZ-形成は横方向に1.5mm開いて、縦方向に3mm伸びます。図示します。
上図の如くのデザインを蒙古襞の稜線に沿って縦辺を引いて正三角形の皮弁を入れ替えると上記のような形態変化が得られます。症例の画像でもメジャーは当てていませんが、幾何学的に数字通りの変化が見られます。これも何度も書いてきましたが、このようにパッチリクッキリの二重瞼には目頭が被さっていないのが自然な形態と機能を呈します。
本症例では左の開瞼力が右に比べ不足となりました。ただし患者さんはアイメイクに左右差を付けて開瞼を揃えられるそうです。見たかったなあ!。今後提示したいと思います。その後LT法を追加していくかも知れません。開瞼の強化度が揃わない症例も切らない手術で治せます。たまたまこのところ、ブログ提示した症例が何例かありどの症例も対称性を作り出して画像提示しています。当院では真摯にフォローアップしますから、必要な追加修正は行ないます。しかも切らないで出来るならダウンタイムは皆無に等しいので、患者さんは楽に取り組めます。
いわゆるチェーン店系では広告宣伝費に私達の倍額以上費やしていますから、診療時間+手術時間を半分しか費やせません。結果的に追加手術に到らないで、追い返すクリニックが横行しています。その結果当院に駆け込む患者さんが絶えません。
真摯に今後の経過を掲示していきますからお楽しみに!