2016 . 10 . 6

生涯一美容外科医が天命の切開法に眼頭切開=蒙古襞の拘縮解除術に邁進しています。今回は脂肪処理についても説明します。

いつものやつ、切開法による眼瞼下垂症手術とZ−形成法による目頭の蒙古襞拘縮解除術を併施しています。ご覧の通り、Puffy  eye ですから、どうやって処理するかも加わります。とにかく開瞼を向上させることが求められます。

一重瞼による皮膚性眼瞼下垂症が主体です。厚ぼったいのは皮膚眼輪筋では無く、眼前に被さっているからです。横径は小さく、蒙古襞も被さり、目頭から斜め上に突っ張っています。さて脂肪ですが、二種類あります。皮下の脂肪はありません。眼輪筋下の脂肪をSOOFといいます。厚い人(約5㎜)から薄い人(筋膜上の繊維だけ)まで個体差は大きいです。少なくとも手術時には眼輪筋と一緒に切除します。眼窩脂肪は眼球を包んでいる脂肪です。上眼瞼まではみ出しているのですが、二重まぶた者では、重瞼線にある眼瞼挙筋腱膜の枝に支えられて重瞼線の下には落ちて来ません。一重瞼者では、瞼縁まで落ちています。私は眼窩脂肪ヘルニアと呼んでいます。欧米の文献には記載されています。アジア人では半分普通なので文献で触れるまでもありません。ただし二点間違わない様に、1、眼窩脂肪は眼窩隔膜と言う袋に包まれていて、前葉が後葉と合流する線は瞼板の上縁の2㎜上となります。つまり脂肪は袋ごと瞼板の前に垂れ下がります。だから、袋ごと持ち上げれば脂肪を除去しなくても済むことが多いのです。また、取っても取っても後ろから出て来ますから、支えが大事です。つまり二重の為の構造作製で支えなくてはまた落ちてくるだけです。チェーン店系では埋没法で作製する際に、脂肪が多いから戻る原因になるとごまかして、脂肪除去をトッピングする所が多い様です。酷い所では脂肪吸引出来ますと嘘をつきます。取っても出てくるだけで、支えが埋没では弱いからです。そういうケースでは切開法で確実な重瞼の作製をして、落ちてこない様にしなければなりません。脂肪はその時邪魔な分をどけるか、電気メスで焼いて減らすか、切除するかします。この形態をPuffy eye と呼びます。化粧パフの様に膨らんで潰してもすぐ元に戻るという意味も含んでいると思います。

本症例では脂肪を袋ごと持ち上げましたが、またすぐ出て来て重瞼の作製を邪魔するので、焼き縮めて、それでも出てくる外側の一部は切除しました。その後重瞼固定をしたらもう落ちてこなくなりました。他はいつもの手技です。

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今回の症例では、脂肪の処理が加わりました。上記説明で理解出来ましたでしょうか?。今後もっと判り易く説明出来る手段を考えます。図を作りたいと思いますが、術中の画像が巧く取れれば解り易いと思います。とにかく、眼窩脂肪の処理は切開法をして重瞼固定による支えを作製しなければ意味がありません。埋没では取れ易い原因になるのでは無く、埋没は戻ることがあるため脂肪を支えられないだけです。上記画像を見れば解る様にちゃんと挙げれば、膨らみは瞼縁にのしかからないのです。

眼窩脂肪ヘルニアの診断は、どこまで眼窩脂肪があるかです。眼窩脂肪は眼球を包んでいるので、上下眼瞼が一体ですから、目を閉じて下眼瞼を押すと上の眼窩脂肪が押し出されて膨らんで見えます。この膨らみの下縁が眼窩脂肪の高さとして診断出来ます。意図する重瞼線より下にあれば、何らかの処理の上支えを作る計画になります。たいして落ちていないなら、支えを作るつまり重瞼の作製だけで済む予想が立ちます。そのようなちゃんとした診断法を得ないで、チェーン店美容外科で無駄に脂肪除去と埋没法を受けて、元の木阿弥になる症例が多発しています。医者はビジネスではないのですから、ちゃんと診断した上で治療(手術)をしましょう。皆さんもそのような医師を受けましょう。技術だけでなく、知識と経験にあふれる美容形成外科専門医を受ければ安心です。

本症例の経過は長くなります。脂肪の処理をすると残った眼窩脂肪が腫れるからです。ですから本症例の経過推移は逐一提示したいと思います。