2013 . 7 . 3

まぶたの機能と美容Ⅱ

前回、まぶたの美容についての前提を述べました。二重瞼が一重瞼より機能的に優位であるため美容的にも優位であるという、文化人類学的学説でした。 ところで、考え直してみたら、何故機能的に優位でない形態的変異が存在するのでしょう。ここでいう機能とは生命維持能力にも通じるものです。もし、狩猟を糧とする民族なら、目が小さいと獲物を探す能力が落ちますし、戦闘時の索敵能力も落ちますから、生存能力が低いわけで、その遺伝子は途絶えるはずです。但し、農耕文化を発達させたら、農作業は下を向いていればいいので、目の開きは関係ないかもしれません。前回も書きましたが、一重瞼の遺伝子は、約3万年前に東アジアで変異が始まったと考えられます。その頃は氷河期の最後で、同地付近は特に寒かったと判っています。寒冷地でしかも砂漠
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2013 . 6 . 28

まぶたの機能と美容Ⅰ-二重瞼と一重瞼-

美容医療においては、なんといっても"まぶた"が嚆矢となりましょう。 前回、個体差については簡単に触れました。顔には個体差があり、求める像にも幅があり、そのため治療する側も多くの引き出しを必要とする。これが、美容医療の醍醐味というものです。 計測で、ある程度集約した理想像は提示できます。しかし、数字が個体差を確実に反映するとは限らず、全身や顔全体とのバランスというものがあります。さらに、内面性(精神性、人格、社会性等)の反映にも気を配らなくてはなりません。顔を見る前提として、生体も見ます。人という生体を診るためには、尊厳のある社会人としての人間も診ます。一人の人の顔を触る美容医療は、ここまで考えるべきだとは思いますが、美容外科医師がみんな、こんな面倒なことをしている訳ではありません
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2013 . 6 . 22

美しいと可愛い

今回は美容医療における医師の目、センスについて、私見を混ぜながら述べます。 その前に、表題の「美しいと可愛い」を説明します。 美しさには基準があります。万人が見て、より美しい形態を集積すれば、美しさの方向性が見いだせます。数字に表すこともできますし、人種や社会で分けて、その中での美しさの基準を見出すこともできます。また美しさは、外面に生きている人間が醸し出すのですから、社会性、文化性、精神性、所作、行動等ダイナミックな(動的な)内面性からも影響されます。 可愛さは、究極的には1対1人称の好ましさです。もちろん美しい人を好み、可愛いと思う人は多いでしょう。でも、子供は可愛いけれど綺麗でない子はいくらでもいる。彼女は可愛いけれど、それなりの綺麗さだという関係はいくらでもあり得ま
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2013 . 6 . 21

美容医療の神髄Ⅱ-美容外科と形成外科-

今回は、美容外科と形成外科の異同について述べたいと思います。 確かに美容医療において、形成外科と、美容外科は車の両輪に例えられます。私は鳥の両羽と表現しています。「2枚の羽根を道具として飛翔しましょう。」という意味です。 形成外科、美容外科どちらも、形態的な改善を目的とする医学分野です。より美しくすることが目標です。違うのは、対象です。簡単にいえば、身体的に異常な状態を対象とするのが形成外科で、保険診療となります。身体的にも形態的にも正常範囲の状態を、より形態的に向上させる場合が美容外科で、自費診療になります。 例えば、外傷後の変形や、良性でも悪性でも腫瘍を治す時、皮膚表面や皮下などの変形すると目立つ部位は形成外科の対象です。生まれつきの体表変形(いまは奇形とはいわず先天異
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2013 . 6 . 19

美容医療の神髄Ⅰ-私にとっての美容形成外科-

父:「今の時代、美容外科になるのに、大学病院の形成外科でちゃんと研修してからの方がいいと思うよ。」 今から26年前、大学卒業後の進路を父と相談した結果、私は北里大学医学部形成外科に入局することを決めました。実は、その前に父は「十仁病院は新人も採るらしいけど、梅沢文彦院長とは仲がいいからもちろんOKだし。」とも言っていました。私達親子は、二社択一で迷いました。熟慮した結果、父は上記のように勧め、さらに「まあ、大学病院医局に所属するんでも、銀座美容外科でもバイトすればいい。形成外科と美容外科を同時に研修したらいい。」 26年経たいまも、あの時形成外科を選択してよかったと思っています。 当時から、形成外科を研修した美容外科医と、そうでない美容外科医は、お互いにグループを作り、主導
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