2013 . 11 . 8

切らない手術と普通の手術

このところ、切らない眼瞼下垂手術や、切らない小鼻縮小術を紹介しました。 その際、持続性については、あいまいにしているのはお気づきでしょう。そうなんです。 切らない手術=糸で形を作る手術は、必ずある程度の後戻りをしますが、その程度と時期は個体差があり、予想が難しいのです。 切る手術=普通の手術は、余分を取ったり、癒合をさせたりするので、効果の程度は取る分量により決まります。持続は初期の後戻りはないとは言えないのですが、その後は効果は定着します。 まずは切らない手術の代表4法について説明していきます。二重を作る埋没法MT法や、切らない眼瞼下垂手術LT法は眼瞼の皮膚と挙筋を糸でつないだり、挙筋を糸で畳んでまぶたの機能を助けます。糸は永久に残ります。もちろん害はありません。なぜなら、糸は身体との反応がないものを使うからです。よく戻る原因として、切れたりほどけたりするんですか?って聴かれますが、糸が切れたり、結び目がほどけることは滅多にありません。あったら、当方のエラーです。もしあれば、ただちに治して差し上げます。但し、糸は身体に同化しませんから、緊張のかかる部位では、抜けていきます。

  1. 埋没法MT法では、まぶたの裏側の目を開く挙筋と、まぶたの表の二重の線上の点を糸で繋ぎます。筋の下には瞼板という硬い組織があるので抜けないのですが、皮膚はコラーゲンが弱く、その下の眼輪筋や脂肪層も弱いので、糸が喰い込んで行ってしまうことがあります。例えば、布切れ=服が傷んだとき縫って直しても、糸は切れていないのに、布がほつれてきて脆くなるものですよね。こうして埋没法の二重は戻っていくことがあるのです。埋没法の重瞼術は、1972年(昭和48年)にすでに発表されています。流行りだして、圧倒的に多数が選択するようになったのは、平成に入って、「プチ整形」なる売り文句をT先生が使い始めてからです。私はこれまでも何度も述べましたが、一重の人は重瞼術はするべきだと考えています。埋没法は手軽に受けてください。戻ったら何度もできます。但し、デザインは経験のある私達に任せてください。S美容等で思い通りの二重にならなかった人がひっきりなしに当院を訪れます。
  2. 切らない眼瞼下垂手術LT法は、まぶたの裏側から糸を入れて挙筋を折りたたむのですが、筋は線維が縦方向なので糸は線維に沿って喰い込んで行ってしまうことがあり得ます。ちょうど肉を糸で強く縛ると、喰い込んでいく感じです。どちらの変化もゆっくり起きますので、痛くもかゆくもないのですが、気が付くと元に近づいていることがあると言う訳です。でも後戻りが少なく、目力アップが保たれている症例が、ほとんどです。年単位で戻っても、追加手術はこれまた簡単にできます。当院ではちゃんと長期経過も診ていますので、いい治療法だと思います。
  3. 鼻翼縮小術は、先日症例を提示した際に説明しましたが、切らない方法と除去する方法では、目的が違います。日本人では、切らない方法で形を作れるケースが多いのですが、これは両側の鼻翼の付け根に2か所ずつ、合わせて4点を四角または八の字に糸をかけこれを締めるものです。糸を通す孔は皮膚の真皮層なのですが、鼻の真皮層は厚く疎なので、やはり大なり小なり喰い込んでいきます。これなどは、大体経過が予想でき、サイズの変化が予想通りになることが多い様です。私は5年前までは、切らない方法でも、鼻の中の切除を追加すれば戻らないと考えていましたが、結果としては戻りました。鼻の中の粘膜は軟らかいので伸びてしまうのです。数字=程度の問題です。鼻翼縮小術は、元の形態差で適応があるので、切らない手術は必要だと思います。
  4. 切らないリフト手術には、いろいろな材料が昔から使われています。要するに通常は口の横や鼻唇溝(法令線)の外側を引き上げたいので、そこと上の方のどこか=耳の前やこめかみ部を糸で繋げて引き上げる方法がとられます。皮下組織も引っかけるとげとげや、支えのついた糸も開発されてきました。ところが、これらはやはり、身体に同化するものや身体と反応して癒着する材料は危ない。だから、最初は糸が皮膚や皮下組織に引っかかっていても、ずれてきます。だって、顔の皮膚や皮下脂肪を髪の毛のような糸で吊るんです。身体の組織、特に皮下脂肪は、ぐにゃぐにゃなので、重力に耐えられず糸が壊していってしまします。だから、糸によるリフトは、長くて年単位の持続性です。それでも意味は大きいです。皮膚の表面から、ただ糸を通すだけで引き上げが確実に可能です。刺し口は細いからすぐ消えます。簡単に引き上げが出来て、1年以上持てば、こんな幸せはほかの美容法、化粧やエステでは得られないものです。

それでは、普通の手術=切る手術はどうして持続性が高いのでしょう。こちらは一つひとつは説明しません。切る=切開すると当然最後には縫う=縫合します。場合によっては切除をします=余った皮膚等を除去することです。隙間ができますから縫い寄せることになります。ただ縫い寄せると、緊張が強いので傷に負担がかかります。そこで、縫い寄せる縁のそばを剥離=ある層で浮かせることで引っ張りやすくするのです。この剥離した組織を寄せてそこで縫う。この結果は、剥離した組織はそこにくっつきます。しかも面と面がくっつくのです。これを癒着させるといいます。面で剥離して癒着させた組織は簡単には剥がれません。重力にも耐えることが出来ます。例えばフェイスリフトした皮膚は面で引き揚げられます。切開法の重瞼術は、挙筋と皮膚が適度に癒着して剥がれません。眼瞼下垂症の手術で挙筋腱膜を瞼板に縫い付ける際にも、剥離しているから外れません。鼻翼縮小術で鼻の中の粘膜の切除だけでなく、これを剥離してから縫合するとちゃんと癒着します。他にもたくさんの手術で、剥離して癒着させることが応用されます。あくまでも年月を経れば組織は伸長しますから、戻らないとは言いませんが、これは加齢現象です。言ってみれば、時間軸を、時計の針を何年か分戻しておくのが手術で、そこから時計は動くのです。

それでは、いい症例がありました。この症例は、前にも提示した切らない眼瞼下垂手術と目頭切開の術前と術直後と術後1ヶ月です。

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前後を比べると、目頭は切開した直後に、突っ張りがとれて、流れるようなきれいな目元効果が2週間後にも変わりません。切開手術はこのような経過です。切らない眼瞼下垂手術NILT法は、直後には開瞼は得られています。腫れはありますが、この程度なら、生活できました。二重の幅は控えめに奥二重にしましたが、直後には瞼縁が見えています。2週間経つと腫れが取れ、二重は若干浅くなってきます。幅は変わりません。開瞼は変わらず、瞼縁は見えています。黒目=角膜の上縁にかかる瞼の位置もちょうどいいと思います。むしろ開瞼は慣れで強くなっていて、眉毛の位置も見事に持っていて目力を感じさせます。

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切らない手術と切る手術の短期経過を提示出来ました。経過がわかるでしょう。どちらも患者さんに豊かな幸福もたらすことも提示できましたでしょう。

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