2016 . 4 . 20

鼻翼縮小術の症例も続いてます。術後2週間でどうなった?。

このブログで鼻翼縮小術の症例を何例も提示しているだけでなく、数字的に計測し、正直に提示してきたからでしょう。また、寄せる手術方法と切り取る手術方法の適応選択についても何回か(口を酸っぱくさせて)説明してきたからでもありましょう。鼻翼縮小術の症例が増加中で画像提示の許諾を頂ける患者さんが、多くいらっしゃいます。症例は多いほど皆さんの参考になりますから、大変ありがたいことです。

症例は25歳、女性。鼻翼最大幅35mm。内眼角間距離32.5mm。7年前に他院で、鼻翼を外から切除する手術を受けている。ですから、鼻翼が丸く張り出してはいないのですが、幅は小さくなっていないとのこと。取りすぎてはいないようで、ペチャンコなウサギ鼻にはなっていないのは幸いでした。さらに傷跡が結構目立つのが気になるとのこと。そこでシミュレーションすると、寄せれば傷跡も隠せると予想されました。

私だったら、この症例にはまず糸で寄せるか、切除して同時に寄せるかを提案します。傷跡は私のこれまでの症例では目立たないです。実際同時施行した際には、戻りが多めだったのですが、後日寄せを追加しました。

もう一つ、本症例での切除デザインは私は知る由もありませんが、ダサい。鼻翼の下方が取り切れていない。なのに鼻翼基部まで傷跡がある。要するに胡坐鼻、下方が広いあぐら型の鼻翼が治っていないのです。

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上図が術前の正面像と下面像

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上図が術直後の正面像と下面像

いかがでしょう?。縮小量は半分になるとの説明の下、内眼角間と同サイズの32.5mmを出来上がりの目標として、術前35mmを30mmまで寄せておきました。

毎回述べてきたように、後戻りは必ず起き約3週間で止まります。戻るのは糸が切れたり、ほどけたりするのではありません。糸は皮下組織に引っ掛かっている様に入っているのですが、組織は厚さがあり、その奥へ糸がずれていってしまうのです。しかし、皮下組織の糸のかかっているところに瘢痕(傷跡)ができ、硬くなればもうずれません。瘢痕ができるのが約3週間ですから、戻りが止まるのです。

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そして2週間目に来院されました。症例の患者さんは会うなり、「昨日力入れたら、パチッと音がして大きくなった。」と言いました。「エエッ!』と私は落胆し、おもむろに定規で測り、「ウーン35㎜ですね。」と下を向きすぐに患者さんに向き合い、即座に「ではすぐ足しましょう。」と提案しました。

予定を立てて数日後に、無料で再手術しました。下がその術前と術直後です。

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前回と同じく、35㎜を30㎜に締めました。術式は変わりません。今度は戻らない様に祈ります

では何が起きたのでしょう?。ある時音がし手、自分でも計ったという事ですから、そのエピソードが原因である可能性が高いのは間違いありません。しかし考えられる事は切れたりほどけたりではありません。何故なら、そのような事はこれまでないし、私が手で引いても切れないしほどけない糸ですから。

考えられるのは組織に掛かっていた糸が中にずれたのです。肉を強く縛ると喰い込んでいくのと同じです。つまり糸で縛る手術は、糸の強さと肉の強さのせめぎ合いなのです。糸を入れられたばかりの肉(皮下組織と皮下脂肪)は弱く、言って見れば豆腐を糸で縛る様なものです。ただし人間は生きていますから、刺された組織は糸の周りに異物反応で瘢痕を作ります。硬いコラーゲンで包むのです。このメカニズムには最低3週間掛かります。つまり3週間の間に少しずれながら固まっていくのです。本症例は2週間目に強い力がかかったために、一気に糸がずれたのでしょう。

これまで経験がなかったのですが、今回何故起きたのでしょう?。反省してみますと、これまでの患者さんの多くは、「術後しばらくは、笑うと痛かったです。だから、気を付けていました。」等とおっしゃっていました。」私も、「術後三週間くらいは、鼻を広げる表情動作をすると痛いし、少なくともそうしない方がいいですよ。」と説明してきました。今回患者さんによく聴いたら、「顔を洗った時か拭いた時に引っかかったのかも?」と教えてくれました。判りました。今後はその点も注意する様に言い足します。

今回の症例はいい勉強になりました。こちらに瑕疵はないのですが、残念なので、すぐに無料で追加手術しました。その点は提示症例なので当然です。読者の皆さんにありのままを提示していく事が目的ですから、今後の数字的変化にも注目して頂きたいと存じます。もちろん。ただでも痛い思いを二度もさせた患者さんは遺憾でしょう。でも患者さんはこちらの考えと診断を信頼されていて、「治してもらえてよかった。」と安堵されていました。こちらも安心しました。有り難うございます。いやっそれよりも何よりも、今後の経過を真摯に診ていきます。来週再来週に。