2018 . 2 . 14

口周りの手術を外鼻から入りました。口唇手術後1か月の経過を診ます。

昨年来素敵な女性が殺到しました。美くしい女性が最終兵器としての口周りの治療を希望されます。この部位の治療が評判だからです。美容医療の対象は美人です。人は外面的にはそれぞれでも、内面的な美人が外面をより向上することで好結果をもたらすのです。内面美人とは、美しさに誇りを持って、より向上したい心です。

ですが口周りの手術は計測から入り、比率を見ながら診察する必要があります。まずは症例を見ながら説明します。症例は37歳、女性。細面(ほそおもて)の患者さん。顔面輪郭は卵型で理想的ですが、上中下の比率は上顔面(生え際~眉の下)70㎜:中顔面(眉下~鼻下)60㎜:下顔面(鼻下~頤尖)65㎜です。中下のバランスが不満。中1/3が短いのは鼻尖が上方にあるためで、下1/3が長いのは上口唇(白唇部)が長いためです。

診察すると、鼻唇角が(側面で鼻柱と口唇の角度)110度を超え、つまり鼻尖が上方に向いている。鼻尖が上方で、しかも定規を当てると、鼻陵の延長線よりも低い。鼻柱基部〜Cupid‘s bowは20㎜です。前鼻棘が前方にあるために外反が無い。いわゆる鼻の下が長くて、ノペっとしている白唇部です。

鼻尖の手術:鼻尖部隆鼻&下制術は耳介軟骨の2~3枚重ねがきれいです。但し軟骨移植はオープン法が好ましいです。鼻翼幅は34㎜と大きくないが、細面なので相対的に大きいし、よく笑うので拡がらない様にしたいとの希望でした。でも縮めすぎると、逆に鼻尖との比率が崩れるので33㎜を予定しました。

下顔面が長いのに対しては、上口唇(白唇)短縮と口角挙上術の併施が求められます。二段階でに取り組む事を、患者さんは既に理解していました。本症例では今回鼻の手術を優先します。

まずは外鼻の画像と説明から。下に術前と術後2か月の正面像と側面像と下面像を提示します。

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13×10㎜の耳甲介軟骨を三つに分けて重ねてOnlay graft しました。正面像で見られる様に、鼻尖の形はダイアモンド型に作れました。鼻尖の両サイドのシャドーがダイアモンド型に見られ、小さくなっています。これがきれいな鼻尖の条件です。側面画像を見て、鼻尖が鼻稜の延長線よりわずかに前にあるのが美しい鼻です。アップノーズとはこの形を言います。本症例では見事に鼻が長くなり、理想的なアップノースになりました。下面像では 術前と術後で鼻翼の差と鼻孔の大きさが変わりました。術後の画像では鼻尖の両サイドのくびれも見られます。創をご覧いただくと目立ちましたが3か月で傷跡は平らにはなりました。患者さんも気にならないとの言です。

この様な経過で3か月を経ました。口周りの計測値をもう一度書きます。白唇部(鼻柱基部〜弓の中点)=20㎜。顔面縦比は上顔面70m:中顔面60㎜:下顔面65㎜と下が長く、その内訳は上口唇(白+赤)28㎜:下口唇(赤+頤尖)38㎜であり、黄金分割比の5:8を理想として、上を23.75㎜、つまり28㎜を5㎜短縮すると上下のバランスが合います。顔面部品比は内眼角間33㎜:鼻翼幅33〜35㎜?:口唇幅42㎜と口唇が小さい。黄金分割比の8:5を理想として口唇幅は52㎜あっても良いが顔の幅が小さいので不要と考え、口角は45度方向に挙上して口唇幅を求めた。白唇部短縮術は両鼻翼間だけを引き上げますから、口角が相対的に下がります。従って口角挙上術を併施します。

術前の画像を説明します。口唇の傾斜は内反し赤唇の裏返りも無く寂しい。人中と弓は明瞭です。赤唇縁の土手も少ない。デザインは術前の評価に従って、個体差を考慮して行ないます。白唇部は両鼻翼間を5㎜切除。外反を求めて皮下脂肪層は半層残します。人中と弓を強調する必要は無い。口角は45度方向に5㎜引き上げる。(三角形の長辺) 鼻翼は糸を抜くなら入れ替える事を示唆しました。

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上に術前、デザイン、術直後の正面像。

術直後の画像を説明します。創は目立ちますが、形態は良く判りますよね。全く雰囲気が変わります。もちろん腫脹が強い手術ですから、白唇部が突になり、外反が得られていないじゃあ無い?、っていう感じです。 毎回書いて来ましたが、必ず落ち着きます。ただし内出血すると消失するまで2週間かかります。私はこの数年口唇短縮術を数多く施行してきましたから、自信を持って経過を説明出来ます。

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上は術後1週間と2週間と術後1か月の正面像。

続いて術後1週間の画像を説明します。抜糸した直後で引っ掻いた跡が有ります。血が滲んでいてご免なさい!。ところで御注目!、白唇の傾斜(外反度)が意図した通りに、見事に改善しています。術前の斜位像では内反して見られます。側面像では直線的に見られます。術直後の画像では腫脹が強くてぼてっと内反しています。ところが術後の斜位像と側面像を見ると、僅かに外反が得られています。想い通りに出来ました。見事な顔貌です。赤唇縁の露出も意図した通りに得られてセクシーです。

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上八葉は術前、術直後、術後1週間後、術後2週間の左斜位像と右側面像。

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今回術後1か月では、余りに素敵なので両方向の側面像と斜位像の四葉を並べます。口元が美しい!。表情も優しい!、部分の提示なのが残念です。自覚的には大笑いすると、頤が下がり下顎が下がり、口角を介して上白唇部も引き下ろされて鼻下の傷跡が引き伸されて、鈍痛を感じるそうです。口角は歯磨き時にピリッとすることもあるそうですが、慣れたので気を付ければ痛くなく歯磨きを出来る様になったそうです。鼻の位置は元に復して来ています。このような客観的見地からの所見を述べてくれる親切な患者さんです。精神的に安定していて、当方とのコミュニケーションも深いです。本当にいい患者さんです。

術後1か月で、運動はかなり回復して、力を入れれば閉口し、力を入れていないつもりでもトーヌスが戻り、正面からは隙間は見られません。ただし赤唇の露出が増えて、粘膜が数㎜ドライサイドに出てきますから、ウェットリップが乾いた感じは自覚出来るそうです。冬場の乾燥する時期にはリップクリームか口紅が欠かせない事と思います。むしろリップメイクでカムフラージュして欲しいところです。もう既に出来上がりに近づきました。傷跡はさらに目立たなくなり、メイクで隠さなくても良くなります。また運動機能は正常化しますが、まだ若干運動痛はありますということは無理しない方がいいということです。よく言うように、術後は痛いことはしない方が傷跡にもいいのです。次回は何も無かったかの様に来院されるでしょう。そして完成を診ましょう。