2018 . 9 . 13

若く見せたい願望にお答えしまして、久し振りに追加切除。

まずは一言!。GID(M to F)の患者さんには、必要なことが多い手術です。何故なら、GID患者さんは肉体的な性別と異なる精神的、または社会的性別で生活していますが、男性の肉体は女性と標準的構造が違うからです。口周りの中でも平均的に男性は白唇が長く、赤唇が薄いのは誰もが知っていますよね。だから、GID患者さんには手術適応の患者さんが多いと考えられます。

私は最近「口ばっかりな奴。」と呼ばれています。この分野では第一走者?奏者?となってきました。であれば適応者の多いGID患者さんがちょくちょく訪ねてくるのも当然です。真面目な美容外科医は容貌を治すだけでなく、社会性を持った人間を診るべきだと仕込まれました。その点でジェンダーは重要です。男性の肉体が女性的な容貌を得る為には、両性の差異を理解していなければなりません。その所以は、ビジネス特化に陥らない長年の真摯な診療経験が培った”診療能力”です。

本症例はその上に、最近増加中の骨切り手術後の修正も兼ねています。いや、本症例患者さんんは骨切り手術の前に予め口唇の手術を計画していました。心と身体を一致させる為の努力を惜しまない人です。私も鋭意努力して患者さんの意図を汲み、手術計画を立てていく意気込みが湧きました。そのような訳で、先ずは前回の診療内容から書き始めます。

症例は49歳、法律上は男性、社会生活上は女性。年齢を感じさせる。約1年前にLe-FortⅠ型骨切り術を受けて上顎の対称性を得た。男性特有の両顎(上下顎)突出に対して上顎を後退させた為、口唇の傾斜が平坦になると予想されていた。前医でも予め白唇部短縮の必要性を説明されていた。他院では理解されなくて拒絶され受けられなかった。先ずは診察すると、白唇長22㎜と同年代の女性に比べ長い。顔面縦比が、上顔面70㎜:中顔面63㎜:下顔面65㎜と合計値も多い中で、下顔面が中顔面に比べて長い。上口唇(白唇+赤唇)26㎜:下口唇(赤唇〜頤尖)38㎜と黄金比率より上が長い。上白唇を7㎜切除して比率が合います。顔面部品の横比は内眼角間34㎜:鼻翼幅38㎜:口唇幅44㎜と口唇幅が黄金比率より小さい。

「最近は白唇部を5㎜以上切除していません。創跡に負担が掛かり数ヶ月後には幅が広がるからです。」と説明していて気が付きました。そう言えば、男性では創の癒合が強固だから、拡がらないで済むのでは無いかと。それに数字的には7㎜切除したい。頑張って縫合する気合いを込めて、7㎜切除を受けました。赤唇が薄いので軽度外反を求めて、口輪筋上まで切除し、口輪筋を折り畳んで外反をさせるプランとしました。人中やCupidの弓は術前でも明瞭なので作らなくて良いと考えました。口角は当然相対的に下がるので、挙上術の併施は必要です。口唇幅が無いので45度方向に7×7mmの三角形の切除し、横にも上にも4㎜の移動を意図しました。

早速術前画像とデザイン画像を載せます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAIMG_1923

手術後に術前の画像を見せたら、「すごいですねェ~!。」と感嘆していました。

下は術直後と手術翌日の正面像です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAIMG_1949

身体は男性ですから、血行が豊富なため、腫脹強いです。「人中が平らになってしまいましたねエ~!。」と嘆いていました。

両側面の術前と術直後を並べます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

側面像で比較すると明らかな短縮化が見られます。もちろん力を入れないと閉じません。

両斜位の術前と術直後も並べます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

術前は誰が見ても長い鼻の下です。男性的です。だからこの手術が効果的なのです。腫脹で外反がオーバーに見られます。数週間かかりそうです。

今回は更に手術後1週間の抜糸後も比較しましょう。

IMG_2115腫脹がピーク時の40%は残っています。下に4方向。

IMG_2111IMG_2112IMG_2113IMG_2114

運動制限も、鼻翼の位置もまだ軽快中です。抜糸したばかりで傷跡が赤い線です。

IMG_2852術後1か月が経ちました。

IMG_2856IMG_2857IMG_2855IMG_2854

患者さんは精神的に女子ですから、形態的にはお悦びいただいていますが、肉体的には男性の要素が有る為に、ダウンタイムが遷延しています。それに7mm切除したし!。

この手術の目的、意味をよく理解している患者さんですから、喜びもひとしおと感じていられました。ところが、不足感を訴えられました。さらに鼻翼や鼻尖も検討したいそうです。わたしは真摯に対応したいのですが、いかんせん時間が足りないのです。それは手術が一杯だからでもあります。最近では私の手術枠は口元の手術と眼瞼切開+目頭切開Z-形成法で約1か月先まで埋まっています。それに口元の手術はご覧の様に顔面の縦横比の計測に基づいてデザインを検討していきますから、初診時の診察にも時間が掛かります。その上口周り=鼻や頤やの併施、骨切り前後の形態的評価まで加わると30分では済まないのです。私は、本症例の如くあくなき美への追及心を怠らない患者さんを診療するのは楽しいのですが、体力と頭脳の限りを要します。でも申し訳ありません。また個別の症例の評価を怠ってしまいました。

術後3か月を経ましたから、完成か未完かの評価をしたいと思います。

IMG_5760IMG_5765IMG_5763IMG_5764IMG_5762IMG_5761

簡単に書きます。口角は満足。白唇短縮術の追加は10月以降。鼻翼縮小術は同時が好ましい。鼻中間延長術は不要。鼻尖軟骨移植はその後。

患者さんは何度も「口が長いと年齢を感じさせてしまうのよねえ!」と訴えます。私は「その通りです。」と答えるばかりです。患者さんはうっとりしながら「やはりこうして短くすると、若く見られるのねえ!」と嬉しそう。でも続けて「だからもう少し・・。私こうして歯が出ないの。笑っても歯が見えないと年寄りっぽいじゃないですかあ?」と更なる要求を突きつけて来ます。

「ウーン・・言いたいことは判りますし、私は元来ジェンダーを意識して手術しましたが、アンチエイジングの要素を加えるとその考えには同意します。」とよく判らない見解を述べてしまいました。そこではたと思い出しました。白唇は加齢と共に長くなるのは当然だし、赤唇は薄くなり、貧相になる。元々白唇部短縮術はアンチエイジング手術として開発されました。欧米では論文が多発しています。私も初見の論文:The upper lip lift using the ‘bull’s horn’ approach.Ramirez OMをいつも読み直していますが、プロローグにその様な記載があります。

その上、最近は若年の患者さんを多く手術しています。若いのに上白唇が長いと年齢が上に見えるし、品性に欠けるからです。それに数年来私の手術結果がもっとも綺麗な跡だとの評判が立っているそうです。時間を掛けて診察して、定式の診察と計測により適切な手術デザインを得てから、手術は丁寧に細心の注意(細部を見て)で【真皮縫合】を密にしているから得られる結果です。

ただ創跡がもっとも綺麗なのは切除幅を5㎜以下にした場合です。経験上得られた結論です。ただし実は、「I.S.になっちゃった。」症例は7㎜+3㎜切除しています。歯を露出することが出来て可愛いです。そう言えばI.S.さんも笑顔が可愛いです。口を尖らせるとセクシーです。だからという訳ではなく、今回追加手術に同意しました。

術直前にもう一度念を押すつもりで診察します。そこで議論します。人中部の上をより露出させたい。歯は中央が見えれば可愛い。奥歯が見えなくてもいいのです。だから、人中の上鼻柱部の下は5㎜切除し鼻翼に架けて外側は4㎜切除をデザインしました。それでは今回の画像を診ましょう。IMG_0029IMG_0036IMG_0034IMG_0035IMG_0041IMG_0032IMG_0033IMG_0031IMG_0030IMG_0039IMG_0040IMG_0038IMG_0037

 

やはり術前と術後を比べると術前は16㎜と長かったと見えます。赤唇も薄かったと見えます。まるで前回の私自身の見立て=診断結果が誤診だったと言われても仕方ないかも。まだ術直後の画像だけなので形態と機能の経過は予想に過ぎませんが、間違いなく患者さんから「良かったですわあ!」と感嘆の言葉を投げかけられる事でしょう。

次回術後経過を別ログで、前回の経過と並べて提示したいと思います。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。