2019 . 8 . 15

口元の可愛らしさは人格を変えます。静脈麻酔では術中にも人が変わります。

本症例は初診時には楽しく診療しました。結構フランクですが、やりたいことの主張が強く、巷間いわれているように私もそうなので、二人で丁々発止の診察でした。こうして密な診療の結果、適応が高いと考えられ、手術に至りました。術前の計画は看護師に任せて静脈麻酔の希望も汲み、麻酔医が立ち会えるようにスケデュールを立てました。

静脈麻酔は点滴に静脈麻酔薬剤を混ぜて眠り具合をコントロールするだけです。口周りの手術では挿管する吸入麻酔(所謂狭義の全身麻酔)では邪魔になるために避けたい。通常局所麻酔だけで出来ますが、口周りは注入量も多く硬い部分なので痛い。例えば眼瞼手術時は両側で約3cc以下なのに白唇では3cc以上、口角も2cc以上必要です。だから希望に応じて局所麻酔時に静脈麻酔で眠らしてあげます。

静脈麻酔は全身麻酔薬(広義の麻酔薬)を体表(腕が多い)の静脈から注入して脳に働かせて眠らせる方法です。現在は点滴でなく注射器を専用のポンプで押して微量(一分間に数cc以下)注入出来ます。寝ているから痛みを感じません。でも眠り過ぎると呼吸や血圧が下がりますし、筋肉も動かなくなります。ですから注入量の調節が必要だから、術者の他に専任の医師が必要です。スケデュールが合わないと出来ません。

静脈麻酔時に調節が難しいケースがあります。眠らせ過ぎると心肺機能低下が起きるのですが個体差が大きいです。場合によっては意識を無くさない程度の深さにします。本症例では深くしないでいたら、手術中に喋りまくっていました。しかもその内容が予想外に鮮烈でした。いきなり「私をブスって呼ぶ奴がいて見返してやる。」と始まって、いろいろ訴えます。私は「だから可愛くしますよ!」となだめながら手術して手と口が別に使わなければならず疲れました。

でも実は静脈麻酔後は逆行性健忘と言って、麻酔がかかっていた間の記憶は残りません。術後に「ずっと話していましたよ!」と訊いたら、「何を言っていたか覚えていませんが話していた様な・・?。」とのお答え。逆にホッとしました。その場では内容には敢えて触れませんでした。

本症例の患者さんは診察時には、私の説明をちゃんと理解して期待して楽しそうに診察を受けていました。そんな劣等感に苛まれている様に見えませんでした。ですから術中麻酔中の言動は意外でした。

ここでいつもの私のモットーです。美容外科治療は人格を豊かにする為にあります。美容医療を何らかの目的を持って受けても、目的を達成出来るとは限りません。例えば可愛くなると稼げるかと言っても、私は銀行員ではありませんから出来ない相談ですし、可愛くなってもてたいと言っても相手を充てがう事は出来ません。ただし内面的人格が高くても、外面的人格つまり美貌が足りないと感じている人は沢山居ます。内外の人格の調和が目的なら効果があります。外面的に向上すると内面的に向上するのは当然です。

その意味で、劣等感、コンプレックス,complexとは複合物、合成、つまり塊り英語ではInfrrior complex or minor complex=劣等感の塊りは内面的治療の対象でありますが、外面的治療により効果が得られるなら調和的美容医療の極みです。本症例がそうなれば、美容外科の冥利に尽きます。その為にもやはり、長期的経過を見ていく必要があります。

症例は24歳女性。4月に来院。人中部白唇長19㎜。歯科矯正で内反した。上顔面55㎜:中顔面60㎜:下顔面72㎜で下が長い。その内訳として上口唇26㎜:下口唇46㎜と黄金分割比率を適用すると、上が長い。E-ラインより口唇が2㎜前。

内眼角間34㎜:鼻翼幅34㎜:口唇幅48㎜で横部品比率も黄金比率を適用すると、52㎜目標として両側2㎜ずつ横にも引くために、口角挙上は三角関数で計算して30度方向に5㎜挙げるデザインをした。ご覧のように鼻唇角が鋭角でそのために人中が余計長く見えるから鼻唇角プロテーシスをしたらと向けたら、知っていて希望された。頤前に脂肪注入されていて長いから、頤下にある脂肪は溶解した。別部位ですが、内眼角間が影響する眼瞼はつり目で、目頭形成の適応。眼瞼下垂手術と銃剣術の併施も希望あり。

5月中筍に再診。目頭形成術と眼瞼下垂手術は予定した。白唇5㎜切除、外反軽度を確認。口角は30度5㎜。プロテーシスで3㎜は下げたい。赤唇はあまり厚くしたくない希望。人中も弓もはっきりしていて口唇結節もある。手術で造る必要は無い。

画像を診ましょう。まずは各方向の術前と術後から。

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術前の長い白唇がデザインの通りに切除すると術後のごとくすっきりします。口角はデザインの三角形の切除部分の頂点に引き上がります。

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近接画像で診ても、術後からデザインを経て手術すると変化がよく解ります。

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斜位像と側面像では腫脹により、白唇が持ち上がります。外反C-カールのためではありません。同時に鼻の持ち上げられます。これらは必ず治ります。

手術翌日は腫脹が強く深部に内出血も透見してきました。意図的に下口唇を挙げないと口が閉じないし、開口も1横指しかできませんでした。

手術後1週間で抜糸しました。

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抜糸直後は糸を抜く際に引っ掻いてしましますから、傷が赤い線になります。

IMG_2682IMG_2679斜位像でも側面像でもまだ治り中です。

次週以降形態的に整ってきます。機能回復もこれからです。

術後1ヶ月です。ブログの内容を見て術中の経過=静脈麻酔における合併症について訊かれました。それはケースバイケースですから本症例の経過説明だけしました。

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締まりのある口元です。形態的に整い、機能的に回復が早い方でしょう。静脈麻酔の影響もあるかも?。術中は手術がしやすく、時間が短縮できます。血管拡張を催すので腫脹は多いものです。でも逆に吸収も早いのでしょう。傷跡の経過も早い方でしょう。だってまだ、術後1ヶ月ですよ。

IMG_3416IMG_3419力入れれば口が閉じます。梅干もできません。口元のスッキリ感が優しい!次回完成の声を上げたいものです。

術後3ヶ月で完成形を見ましょう。下列には術前像を再掲して比較しましょう。
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白唇の短縮により、下顔面がスッキリするのは当然ですが、薄くて寂しかった赤唇の形が綺麗に出来ました。実は白唇短縮術は赤唇の形成術でもあるのです。ただし口角挙上術の併施が、口元の表情を作り出します。本症例は典型的に口周りが人格を変えました。術前から明るい性格だったのですが、この診察時にはさらに嬉しそうな表情でした。

傷跡はメイクで隠しているそうです。マスクは不要だそうです。術前には正面から見えなかった鼻柱基部が鼻翼基部と同高になりました。

IMG_1625IMG_2535IMG_1630IMG_2532上の列には左から斜位像の術後3ヶ月、術前。側面像の術後3ヶ月、術前の順。下顔面がスッキリしました。鼻唇角が赤唇が可愛らしく外反しました。

敢えてここまで触れてこなかったのですがE-ラインよりも口が2ミリ前だったのは変えられません。頤には脂肪注入でやや強い印象ですが、溶かして形を変えてプロテーシスをするまではないと思います。ならば鼻は?・・。話が進む可能性が高いと思います。その際にブログ掲載は?。話を進めます。お楽しみに!。

当院は、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。