2020 . 1 . 9

口周り:赤唇が富士山型になった症例の解消手術が流行っています。困ったものです。

私は口周りの手術の専門家ではありません。眼瞼も外鼻も、リフトも含めて顔面の美容形成外科全般を取り扱います。ただし簡単な重瞼術埋没法や出来合いのシリコンプロテーシス等は若い経験の浅い美容形成外科医でも取り扱いますから、私の出番は少ない様です。

昨今なんとかミクスの好影響か、美容医療の患者さんは増えました。当然の様に参入者も増えました。結果的に経験の浅い美容整形屋の率も増えました。数年前までは非形成外科の技術と知識が足りない美容整形屋が駄目な奴の代名詞だったのですが、最近では形成外科医をちゃんと研鑽した後に美容外科の経験が希薄なまま開設するものが多く出て来て、彼等は知識と技術は持っていても美容学を学んでいないつまり美的センスに欠ける者も多く、手術は綺麗でも美しい容貌を呈さない患者さんが散見されます。しかもその修正も廻って来ます。

何度も書いて来ましたが、中でも口周りの手術は形成外科の技術と知識を要し、同時に美容外科のセンスが重要だし、美容外科学の知識が無ければ美しい顔を作れません。

だから私に罹る患者さんが多いと自負していても、コマーシャリズムとSNSには敵いません。当院はTVCMは打っていませんし、SNS上は私のこのブログが優勢でも、他も”やらせ”を載せるから”いたちごっこ”になり上下動が激しいのです。

今回はまた、SNS対策で患者さんを呼ぶクリニックで、口周りならずいろいろな美容外科手術を受けていて、まあまあの結果も呈していても口周りの手術はイマイチの結果=いつもの富士山型が気になる患者さんです。複数回の切る手術は体組織を損ねるので限界があり、何度もするべきではありませんが、形態的な改善が求められ、医学的に可能なら治して差し上げたくなります。

では巧く行ったでしょうか?。読者の皆さんの評価を待ちますが、患者さんの満足感が最重要項目です。患者さん自身は、手術後当初のダウンタイムをやり過ごすまで形態が見えません。腫脹でぼてっとするし、口輪筋等の表情筋の一時的ダメージの為に動的形態は整いません。前回の手術に因る深部組織のダメージは術中に判明しますが、その程度によりダウンタイムは変化します。ですから長い目で見て最終結果を得ようではありませんか?。その意味でブログ掲載の有用性が高いとも言えます。最低3か月の経過を診て行きましょう。

症例は44歳女性。幾つかの手術を受けている。半年前白唇短縮術を他院で受けた。口角挙上術も2ヶ月前に追加した。目頭、下眼瞼。頤と鼻にはプロテーシス。鼻尖部の軟骨縫合による縮小術も受けた。

本年7月に来院。人中部の白唇の長さはまだ18㎜ある。しかも富士山型を呈している。E−ラインよりは口唇が3㎜後ろで口が出ていないが、骨がない分白唇がストンと垂直に垂れている。鼻翼基部下を5㎜、人中部を3㎜切除の適応。外反,C-カール作製は必要。Cupidの弓も人中も形が良いの作成の必要はない。

目頭は他院で2㎜戻す予定だが、現時点で顔面横部品の比率は内眼角間32㎜:鼻翼幅33㎜:口唇幅53㎜で口角挙上術は斜め30度方向に5㎜引き上げの適応。鼻翼下まで緩やかに挙げる。

手術時にもう一度診察。人中部5㎜、鼻翼下2㎜とし、口角は30度6㎜に増やした。

画像を見ていきましょう。術前から。

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前医が人中部主体に白唇を切除短縮したのでしょう。鼻翼基部の下を同じ幅切除したらこの様な形にはなりません。その証拠に鼻翼を廻る創跡が有りません。尚前回、鼻孔底は鼻孔内を切開して隠していますが、その結果Nostril sill、土手が切り取られています。その結果鼻の孔の底が見えます。鼻孔内は影で黒く見えますが、土手があれば隠れるのにないと丸く見えます。

前回の口角挙上術は全くと言っていい程効果が得られていません。ゼーンゼン挙がっていない!。口角部の上口唇も内側にまくれ込んでいて水平です。創跡だけ作られたのですが、上口唇縁が内側にある為に画像では見えません。意味ねえ!

IMG_2284IMG_2281斜位像でも側面像でも鼻翼の付け根に創跡が有りません。鼻翼基部を切除していない証拠です。

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デザインを書きました。上に記載した様に切除量を調節して富士山型を治します。鼻翼基部から鼻翼を廻ってDog earを切除します。口角挙上術は三角形の皮膚切除をして口角を頂点に挙げます。上口唇がまくれ込んでいるから三角形が潰れて見えます。

術直後の画像は2回目だと特にすごい事になります。

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口輪筋は約半層切除されていました。だから当分弱いでしょう。鼻翼が広がるのは口輪筋の回復に伴って元の位置に戻るのですが、本症例ではいつになるか不明です。

上口唇の口輪筋がダメージを受けていて、更に2回分の合わせた切除量が多いため、上口唇は閉じ難いです。結果ダメージを受けていない下口唇が受動的に挙がります。梅干し状になるのは仕方ありません。上口輪筋の回復待ちです。

富士山型は切除幅で治しましたが、腫脹で特に人中部が引かれるので解消していない様に見えています。今までの症例ではちゃんと予定の形態になります。

これだけでも富士山でなくなっています。富士山は裾野が広くありません。

IMG_2292IMG_2289本症例はE-ラインより口が下がっていますが、頤も下がっています斜位像では寂しい口元です。側面像ではすっきりしています。

術後1週間で抜糸しました。下に直後の画像。

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左鼻翼部のそう治癒が遷延しました。手術翌日に診たら何故か隙間がありました。抜糸時には両側鼻翼横の糸を残しました。今後はわざと、念のため全例こうしようと考えています。この創は必ず癒合しますが、幅が出来て目立つなら焼きます。上に書いた様に形態的に改善する為に特殊なデザインを使ったので創傷治癒が遷延していると言い訳しておきます。でも本症例は長い経過になるのは予想されました。

IMG_2432IMG_2435鼻翼を廻る創の糸は残しましたが、斜位像でも側面像でも見えないでしょう。透明糸で細く、連続縫合ですから結紮(結び目)が無いので見えません。次週抜糸します。

富士山型の解消が多いのですが、結果は直ぐ出ません。今後の経過をお楽しみに!

そして術後1ヶ月で診ました。診療して評価しました。

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1ヶ月は肥厚性瘢痕が悪化し得る時期です。ひどくはありません。ケナ不要。

富士山型は完全解消していません。

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富士山型は口角部の三角切除を鼻翼まで追加。鼻翼下をJ字

目頭や上下口唇の傷跡が見えなくなっている。早い時期に追加できそう。

次回3ヶ月に検討しましょう。と言っていたら早くも術後3ヶ月です。IMG_4941IMG_4947

傷跡の治り具合は二回目以降の手術では、長引くのは仕方ありません。これまでの症例でも個体差はあれど、その様な傾向が認められます。

IMG_4944IMG_4946斜位や側面から診て、E-ラインより口が後ろにあるためいやらしさが見られません。

さて約束通り、富士山型の解消度の評価をしました。実は他院(私の大学医局時代の教え子で仲良し)にも罹っていて聞いてみたそうです。「やはり、治す余地がある。」とのセカンドオピニオンを頂きました。ありがとう!。「赤唇縁で切除するべきでしょう。」この点は一瞬迷いました。

ちょっと間をおいて考え、「私の行う口角挙上術では上下赤唇縁を切開上赤唇の上の白唇を切除しますが、それを内側までたくさん切除するという意味でしょ?。」と患者さんに訊くと「そうでしょう。」と納得されました。でもまずは白唇を鼻翼機部を中心に切除してから、その結果を診て口角を挙げた方が形が解りやすい。

そして画像を診ますと、同様の富士山型の症例と比べて、鼻翼下からの落ち具合が強いと思います。鼻翼下直下からストンと落ちています。今回の術前の画像では鼻翼の直下から外側の上赤唇は見えません。今回の術後画像では、鼻翼下には上赤唇が露出しています。効果はありました。でもまだ足りないということです。鼻翼下から鼻翼横まで多めに切除すると、鼻翼横に余剰皮膚が増えてドッグイヤーで膨らみます。今回でもそうです。ポリサージェリー,Polysurgeryの症例では膨隆の縮小が遷延するのです。患者さんは理解していて二回目の手術を希望されました。ちなみに今回の傷跡の余剰皮膚も切除できますが、再び膨隆する可能性は高いです。3ヶ月待っても治らなければ、焼き潰せます。その様な症例は載っていますから心配ないです。

口角の追加挙上術はその後検討していきましょう。教え子のDr. Iも上手ですが、私に遠慮するでしょう。とにかく、このシリーズのブログ画像提示は継続していきます。来月に予定します。

こうしてやはり追加手術をすることになりました。二つ提案しました。一つは鼻翼下の切除を追加する方法。もう一つは通常の口角挙上術を鼻翼の内側の下まで挙げる、しかも台形に切除して鼻翼の下を多く挙げる。

後者の手術デザインは外国、チリ!の医師が発表しています。当地にはモンゴロイド(マヤ文明)が残っていて皮膚色が濃いので傷跡が目立つのに、上白唇部を多めに切除して綺麗に挙がります。応用して台形に切除するのを閃きました。でもさすがに「赤唇縁の傷跡が長くなるのでどうでしょう?」「もっとも〇〇さんは見たとおり、(さらに言えば上の画像の口角の傷跡は見えない。)赤唇縁の傷跡が見えなくなったでしょう。だから内側まで切ってもいいのでは?。」と訊きました。患者さんは「でも長くなるのはどうか・・?」と一瞬迷いました。その瞬間逆に、私は「では二次的に検討しましょう。」と言って前者からすることになりました。実は時間の関係もありますし、上下で引き上げると引き合って傷が不安だし、引き合ってデザインがこんがらかるからでもあります。まず鼻翼下をU字型に切除して挙げてみて、その後口角の台形切除を追加するかどうかを検討することになりました。

鼻翼下をU字型に切除するデザインは前に一例ブログにも載っています。やはり富士山型にされた症例をまず上白唇短縮術と口角挙上術で改善したのですが、追加した症例です。外側(鼻翼下または口角)を、一回でたっぷり切除してあげれば(挙げれば)いいのにと思われるかもしれませんが、鼻翼下だけたくさん取ると鼻翼横の余剰の膨らみが解消しません。初回は最大6㎜以下の切除に留めています。軽度の膨らみは皮膚が収縮して目立たなくなっていきますから、2度目の手術時にずらして縫合していけば膨らみがなく挙げられます。それはこれからお見せします。

画像は今回の術前、前回の術後4ヶ月から。

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鼻翼横の膨らみは前回術後3ヶ月と比べて小さくなりました。鼻翼の直下から外側の口角に掛けての赤唇はまだ見えません。

IMG_5601IMG_5596斜位像や側面像での口角部の上の赤唇も見えません。

デザインは図のごとく。

IMG_5650鼻翼基部を最大3㎜切除します。鼻翼基部を囲むU字と下のU字はかなり長さに差があります。このまま合わせたら、下の皮膚が膨らむのは必定ですが、どうでしょう?。下に術直後の画像ですが、鼻翼基部付近にはプリーツがありません。

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切除はデザインの通りにしました。縫合時に、鼻翼簿外側から合わせて縫っていき始めて、つまり鼻翼基部は上下をずらして縫い、鼻翼の内側では下の皮膚が余る様にしました。余った皮膚は鼻孔の中で横向きの三角形に切除して縫合しました。つまり上下の創縁の長さをほとんど同じに出来て、しかも鼻孔内の創は見えません。事実画像でも見えません。鼻翼の外側の膨隆はありますが、これは腫脹も伴うので消えるでしょう。

IMG_5655IMG_5652術前より口角付近の赤唇が露出しました。富士山型の唇になった際にここが問題点なので、かなり改善されています。

上口唇短縮術の結果、富士山型の赤唇縁になった症例が存在します。私の様に両側鼻翼間を全て同じ幅に切れば、先ず起きません。また元々が富士山型の赤唇縁のCupid’s bow,弓が急なら、シミュレーションしてみて、鼻翼下を鼻柱下より多く切除して富士山型から弓型に変えた症例もあります。赤唇縁は山ではなく弓です。日本人は山だと思っているので、騙されるのです。口角が下がっていると富士山型が強調されますから、シミュレーションして必要な場合は口角挙上術を併施します。

この様に術前の念入りな診察が、適切な結果を造ります。私は真面目な形成外科医ですから、細かい診断をしてから治療(この場合手術)します。日本の医療費は保険診療で安いので、数をこなす為に診療時間が短くなります。当然診断力が向上しません。ミスるとまずいのでやたらに薬を出すので要らない薬が増えます。ましてや美容外科は自費ですが、チェーン店は平均的に売り上げの半額を費やす広告料の元を取らないとならないので、診察に時間を掛けませんし、若造はその能力も備えません。結果的にこの様な求めない形態を造ってしまうのです。

また、形成外科のトレーニングを受けていないチェーン店の美容外科屋は、創の縫合が拙いので、上口唇短縮術の際に鼻翼の下の切除を減らす医師が多かったり、創を減らす為に鼻の孔の中を切って鼻の孔が丸(く)見える様ににします。鼻孔底に見える創跡線を減らしても、鼻翼下と鼻柱下には見える訳で、意味がありません。どちらも要するに、創跡を丁寧に目立たなくする技術が無いから、または丁寧に縫合すると時間が掛かるから、その様なデザインを使うのでしょう。創跡を目立たなくする為の真皮縫合を出来ない非形成外科医は、切って縫う手術をすべきではありません。

そして一度切除したら二次的に治す際に取り過ぎの懸念が生じます。今回の症例も先ず白唇短縮術を調整して少々、口角は前医では挙がらなかったのでまともな手術を追加しました。でもやや控えめの手術にしました。口が閉じなくなる危険があったからです。患者さんも理解していてもらえて二次的に部分的な追加手術をしました。ある程度の効果は診られそうです。もう一つの口角挙上の拡大手術をすれば満足戴けそうです。

今回二回目(前医から数えると4回目)の手術の、術前と術直後まで前回の版に続けて載せました。次回からダイジェスト版の様に1回目の手術の画像を減らして書き直します。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。半分の切除デザインなら半額にします。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。