2020 . 2 . 1

鼻は口周り。可愛くする方法の一つです。

本症例は初診時には楽しく診療しました。結構フランクですが、やりたいことの主張が強く、巷間いわれているように私もそうなので、二人で丁々発止の診察でした。こうして密な診療の結果、適応が高いと考えられ、手術に至りました。術前の計画は看護師に任せて静脈麻酔の希望も汲み、麻酔医が立ち会えるようにスケジュールを立てました。

ここでいつもの私のモットーです。美容外科治療は人格を豊かにする為にあります。美容医療を何らかの目的を持って受けても、目的を達成出来るとは限りません。例えば可愛くなると稼げるかと言っても、私は銀行員ではありませんから出来ない相談ですし、可愛くなってもてたいと言っても相手を充てがう事は出来ません。ただし内面的人格が高くても、外面的人格つまり美貌が足りないと感じている人は沢山居ます。内外の人格の調和が目的なら効果があります。外面的に向上すると内面的に向上するのは当然です。

その意味で、劣等感、コンプレックス,complexとは複合物、合成、つまり塊り。英語ではInfrrior complex or minor complex=劣等感の塊りは内面的治療の対象でありますが、外面的治療により効果が得られるなら調和的美容医療の極みです。本症例がそうなれば、美容外科の冥利に尽きます。その為にもやはり、長期的経過を見ていく必要があります。

症例は24歳女性。4月に来院。人中部白唇長19㎜。歯科矯正で内反した。上顔面55㎜:中顔面60㎜:下顔面72㎜で下が長い。その内訳として上口唇26㎜:下口唇46㎜と黄金分割比率を適用すると、上が長い。E-ラインより口唇が2㎜前。

内眼角間34㎜:鼻翼幅34㎜:口唇幅48㎜で横部品比率も黄金比率を適用すると、52㎜目標として両側2㎜ずつ横にも引くために、口角挙上は三角関数で計算して30度方向に5㎜挙げるデザインをした。ご覧のように鼻唇角が鋭角でそのために人中が余計長く見えるから鼻唇角プロテーシスをしたらと向けたら、知っていて希望された。頤前に脂肪注入されていて長いから、頤下にある脂肪は溶解した。別部位ですが、内眼角間が影響する眼瞼はつり目で、目頭形成の適応。眼瞼下垂手術と重瞼術の併施も希望あり。

5月中筍に再診。目頭形成術と眼瞼下垂手術は予定した。白唇5㎜切除、外反軽度を確認。口角は30度5㎜。プロテーシスで3㎜は下げたい。赤唇はあまり厚くしたくない希望。人中も弓もはっきりしていて口唇結節もある。手術で造る必要は無い。

ここまでは既にブログ提示しました。やはり口唇手術の画像も診ましょう。各方向の術前と術後約6ヶ月の現在を並べます。

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鼻の下の傷跡は目立たないのですが、口角部の傷跡は見えます。メイクで隠して下さい。

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斜位像と側面像では、内反した唇が可愛くC-カールを造り上げられました。赤唇もはっきりして女の子っぽさに溢れます。口周り=鼻梁から鼻尖、鼻唇角から白唇、赤唇、口角も写して、頤までを見ました。

敢えてここまで触れてこなかったのですがE-ラインよりも口が2㎜前だったのは変えられません。口が突出しています。頤には脂肪注入でやや強い印象ですが、溶かして形を変えてプロテーシスをするまではないと思います。ならば鼻を高くすればE-ラインは整います。こうして話しが進んで行き、時期を見て手術に到りました。

今回外鼻の手術を施行しました。鼻の評価とデザインの計画を載せます。

口周りの手術から3ヶ月経て、腫脹も消失して落ち着いて評価しました。切開はオープン法です。白唇短縮術の際に鼻柱基部を切開したので、今回鼻柱の中央を横断する切開を要しますから、3か月以上待ちました。耳介(甲介部)から軟骨3枚を積み重ねます。前に2㎜、鼻尖を下に1.5㎜を目標とします。プロテーシスはI型が適切です。

前回の口周りの手術から6か月経った10月に再診察して、もう一度デザインを確認しました。鼻:鼻根が低い。現在目頭間より5m上に最下点があるのを10㎜上まで挙げたい。鈎鼻=Humpを隠すプロテーシスを作成します。鼻尖が低いのも鈎鼻が目立つ要因です。I型プロテーシスは最大2.5〜3㎜の厚さを必要とします。耳介軟骨3枚は、一枚目のベースが一辺7㎜のダイヤモンド型+2枚目は帯状に鼻柱を下げる+3枚目は径3㎜の点状でツンっとさせる。手術プランは立ちました。今回も静脈麻酔を希望しました。

今回の鼻の手術の術前、手術直後、数十分後にテープで圧迫固定後、手術翌日の画像を各方向別に並べます。

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今回も静脈麻酔を利用されましたので、手術直後の画像ではまだ酸素チューブを咥えています。術前は鼻尖が上方にありました。術後は下に移動しています。鼻根部にガーゼがありますが、引き出した糸をガーゼを挟んで固定しました。中心がズレない様に、プロテーシスの上下の位置がずれない様に留めました。

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下方からの画像では高さが判りません。腫脹も影響しています。

IMG_4300IMG_4313IMG_4318IMG_4336斜位像ではツンッと高くなったのが判ります。鈎鼻,Hump=鼻骨の先端がカクッと飛び出ている(鷲ではない)も解消出来ました。何と言うかNobleな鼻に改善されました。

IMG_4302IMG_4311IMG_4320IMG_4338側面像では鈎鼻の改善は明らかに判ります。鼻尖の高さは皮膚が伸びて来ないと見えません。鼻根の最下点の位置は明らかに上に移動しました。

手術日から翌日までの画像を提示しました。今回は挿入物=シリコンプロテーシス+成形した耳介軟骨を画像提示します。

IMG_4304IMG_4305シリコンプロテーシスを造り上げ、挿入する前に撮りました。上左図は前面から、上右図は後面です。上下はこの通りで、上は先細に、下は先薄にします。後面は鈎鼻の部分を特に薄く削ります。画像で青白く透けて見えます。

IMG_4321IMG_4322実は予め、大きさを決めて耳介から軟骨を採取します。10×13㎜です。上の画像の様に耳介後面の折れ返り線から侵入し、軟骨だけを中抜きします。縫合後後ろにはガーゼを当て、耳介前面にはお椀型の甲介部に綿を嵌めて糸で前後を結び付けて圧迫固定します。Bolster sutureと言います。耳介血種(格闘技家やラグビー選手に見られる凸凹耳)を防ぐ為です。

IMG_4306IMG_4307こうして採取した耳介軟骨を三つに割って積み重ねて糸で突き通して合体させます。上左図の様に出来ました。上段に説明した様な形に積み重ねました。上右図はシリコンプロテーシスと上下に並べて撮りました。実際はプロテーシスの上に軟骨が重なる様に入れました。高さが欲しいからです。

今回まだ術翌日の最もダウンタイムが強い日数までです。腫脹は外鼻だけでなく、眼瞼まで波及します。内出血は顔全体まで浸潤します。

また上にも書いた様に、鼻根から鼻陵のプロテーシス挿入部は腫脹が両側に膨らみ、鼻が高くなっているのに太くなっています。鼻尖部は軟骨の厚さは約3㎜で、前に高くしたのですが、持ち上げた皮膚を戻して縫合して行こうとしても、当初の数時間では皮膚は伸びて来ないのです。移植した軟骨は元から鼻尖にある鼻翼軟骨の上に固定していますが、皮膚の圧力により移植した耳介軟骨を後ろに押してその後ろにある鼻翼軟骨を押しています。皮膚が伸びて来ると徐々に前に戻ります。これまでの症例提示でもその様な経過を辿っています。

皮膚はExpansion,伸展します。手で引っ張ると伸びて戻ります。コラーゲンは縄鎖みたいな構造だからで元に戻ろうとします。密度が下がるから加齢で戻りが遅くなりますよね。でも伸ばし続けるとコラーゲンは切れて行き密度を変えて行きます。数日間伸ばし続けると置き換わり始めます。ただし皮膚が伸ばされると毛細血管が潰されるので、血行が不足する事になりますから、反応して毛細血管拡張も起きます。赤くなるのはその為ですし、時には皮膚表面から毛細血管が見られます。加齢で皮膚が薄くなると顕著です。何れにしても皮膚が引き伸される(移植の際は後ろから押し出されると言う方が正しいかも知れません。)と徐々に伸びるのですが直後では無く数日後から徐々に伸びます。ではその間軟骨と皮膚は癒着しないでしょうと言われればその通りで、癒着の完成には数週間罹ります。だから形態も数週間の経過中に出来上がります。私は経過が予測出来ますし実は皮膚を戻す前の形態に皮膚を足した大きさが出来上がりなので術中には見えています。

次回術後1週間の経過が見ものです。抜糸直後に画像を頂きました。

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本症例は術後の腫脹が強くて、発赤も長引く傾向にあります。でも形は良いと思います。また上段で書いた様に鼻尖の皮膚が伸びるまで鼻尖は上方にあったのですが徐々に降りてきました。

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下からの画像では、鼻柱に傷跡が治りが良くない様です。やはり白唇最上部=鼻の下を手術しているから、鼻柱の血行が弱いのでしょう。でもこの傷跡は目立たなくなります。

鼻の手術の画像はやはり立体感が見ものです。またE-ラインの関係も見ものです。側面像を見てわかる様に、鼻尖と頤を結ぶ線がE-ラインですが、口の方がE-ラインより後方にあります。大前提として、まずはこの点で大成功です。赤唇に厚みが出てセクシー感が増加して、白唇がすっきりした上に、さらに口元が締まりました。

もう一つ鈎鼻=鼻骨の先端が凸で鼻稜線がカクッとしている事が解消し、鼻稜線が直線化しています。上段の術前の側面像では鈎が目立つのですが、二つの方法を組み合わせて改善しました。一つはプロテーシスの鈎の部分を極薄(穴があかない程度)にしたのと、さらに鼻尖を高くして鼻骨の延長線上に持ってきたのです。

本症例は鼻根部が凹んでいて、眉骨が比較的出ていました。プロテーシスを本来の鼻根部の陥凹点,Nasionよりも5㎜上まで入れて、眉骨と繋げた感じにしました。鼻綾が上に向かって扇型に広がるいわゆる彫りを造り上げました。かといって眉間から鼻が生えているアバター型ではありません。これが彫りが深い立体感のある鼻です。

今回は術後1週間で抜糸直後にテープを貼ってから撮りました。鼻尖への移植軟骨の固定は約1ヶ月罹ります。プロテーシスの上下左右の位置は糸を引き出して固定したので安定していると思います。次回テープ無しでの画像を載せたいと思います。ただしテープは腫脹の軽減の早期化と腫脹の結果瘢痕化するのを防ぐ作用がありますから、術後1ヶ月は夜間だけでも、できれば常時した方が良好な結果を得られます。

実は私が病気療養で休暇を取ったため、術後1週間は診られませんでした。ですので、術後2週間でもう一度来院してもらい診ました。画像はありませんが、診察しました。大変お喜び!。矢印鼻になってきて、口元が、白唇がさらに短く見えてきて、これまでの手術と相乗効果が加わってお得感により嬉しそう!。私は何度も斜めや横から診て、E-ラインの直線化を強調しましたが、患者さん本人は斜めからは見えない訳で、明確に効果を認識しづらいのです。でもその視点で観ていたら今度は患者さんは頤から頸部が気になってきた。それは私も当初から何とかしたかった部位です。脂肪注入なのでどの様な修正法が適切か逡巡していました。吸引では難易度が高そう。今後診察していきながら検討していくことになりました。

術後1ヶ月が参りました。

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鼻尖の発赤があります。軟骨なので感染には強く、少なくとも鼻量のプロテーシスの部分には発赤がありませんから、心配はないでしょう。正面像で鼻尖が鼻翼と同高にあるのは大成功です。鼻尖がはっきりしない形(いわゆる典型的な団子ッパナ)だったのが鼻尖が「ここだ!。」と言えます。バランス的にもは夏場朝幅の半分でちょうど良いサイズです。皮膚上から触れてみると、軟骨の位置が判ります。意図した位置にあります。患者さんは「ダイヤモンド型が見えますよね!」とうっとりして指し示してくれました。下方からのぞうで傷跡を見ると、鼻柱を横断する傷跡が白く、皮弁の血行が良くなかった状態を示します。ですが、皮膚は壊死していません。白唇短縮術に続けて鼻柱傷を切開したので起きたことですが、普通の皮膚の正常になります。

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斜位蔵や側面像ではE-ラインが整ったのが判り、患者さんも認識しています。可愛いでしょう?。耳後部の軟骨採取部の傷跡は溝にあるので赤い線も見えなくなりました。引っ張ってお見せしました。なぜかやはり周囲が発赤しています。皮膚に毛細血管の反応が強い体質なのでしょう。

術後1ヶ月での経過は通常でした。発赤の経過を見ていきましょう。形態的には90%出来上がってきています。次回術後3ヶ月で完成を診られるでしょう。

鼻の手術から3ヶ月です。

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上右の下面像では、ご覧のように傷跡がまだ見えますが、わざわざ下から見られることはないので気にならないそうです。もっと時間が減ると赤い線は消えていきます。

下列に術前の画像も並べます。

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鼻の稜線が高くなり、鈎鼻も解消しています。上を向いていた鼻尖(何度も言いますがアップノーズではなく、ショートノーズ)は高く下方移動しています。患者さんは形態的に満足です。

口周りの手術からは7ヶ月です。

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口角の位置は改善が診られ、白唇の長さも赤唇の厚みと形態も作れました。

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そして側面像と斜位像で3次元的に診ると、E-ラインより口唇がまだ3㎜前方にあります。72㎜と長い下顔面の中で、上赤唇は露出して、上白唇は短縮しましたから、上口唇と下口唇の比率は黄金比率になりました。鼻尖は高くしましたが、頤は後退しています。頤は短くないので前突が求められます。正面像を診ると、頤の幅もある方です。さらにJowl の膨らみもあります。

ヒアルロン酸ではきりがないので、頤プロテーシスを希望されます。Jowl Fatは脂肪溶解もいいですが、皮膚が柔らかいので弛む可能生があります。その場合はJowl liftの適応です。今後まだ相談していくことになりました。その際にも見せてくださり画像を頂けることと思います。お楽しみに!。お持ちしています。

当院は、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログに加筆しています。もちろん画像操作はありません。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。今回の手術は鼻尖軟骨移植3枚で35万円+消費税です。 I型シリコンプロテーシス挿入による隆鼻術は18万円+消費税です。ブログ提示の契約を頂いたら出演料として20%オフとなります。