2020 . 6 . 10

口周りは口から鼻まで。骨、口、鼻翼、鼻尖の順に来て、引き続き鼻唇角プロテーシス(ネコ手術?)を挿入しました。

本症例は上の題名にある様に口周りの手術に邁進してきました。それもこれも上下顎分節骨切り術の影響で、バランスが崩れた口元を治したかったからです。口はストンペタっとするし、頤は綺麗なのですがE-ライン的に鼻の高さが足りない。鼻翼は骨切りの結果大きくなった。バランスを取るのが難しい症例です。でも一つ一つ治して来て、今や素敵な中下顔面を造り上げられました。その一部始終を魅せていってくれる。とても為になる患者さんです。前段にこれまでの手術経過を載せます。ネコ手術を見たい読者は下段だけ見て下さい。

当初口周りの手術3点セットも適応でしたが、初回は白唇部切除術と口角挙上術に専念しました。人中部白唇短縮術の結果は21㎜だったのを5㎜切除して術後3ヶ月で16㎜と後戻りゼロで満足されています。実は初回手術の直前に鼻翼縮小術を併施する3点セットを希望されたのですが、予約時には迷っていた為に時間が取れなくて見合わせたのです。

口唇短縮術と口角挙上術の術前像から。

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デザイン画は計画の通り書きました。

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術後3ヶ月です。

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決して白唇短縮術の結果として鼻翼が広がっているわけではありません。計測すると37㎜です。

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あくまでも白唇部短縮術と口角挙上術の術後3ヶ月で経過良好だと言えることが前提で次に進むのです。上の近接画像を見てください。傷跡は全く拡がっていませんし、鼻翼横の余剰皮膚の膨隆も縮小して気にならない様です。

その上側面像と斜位像での口元の美しさは見事です。しかしそれは患者さんの骨格と動的形態、つまり内面性が素敵なのによる効果です。外面的な向上は内面性に影響するのはいつも言ってきた通りです。

とにかく本症例は白唇部短縮術と口角挙上術の併施の術後3ヶ月の経過は良好で、お待ちかねの鼻翼縮小術皮弁法に進めると考えました。

画像を診ていきましょう。

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手術直後に鼻翼幅のサイズは33㎜にしました。しかも両側の鼻翼を横に引っ張ってみても全く拡がりません。糸で縫い寄せただけでなく皮弁通しが癒着しますから後戻りしません。実は患者さんも毎日測って下さっていたそうです。有り難う御座います。こうして術後1か月は一つのヤマです。何故なら瘢痕が形成されて定着に近づいていると考えられます。

鼻翼縮小術の術後3ヶ月です。計測値が重要です。なお人中部の白唇長は16㎜で後戻りゼロです。鼻翼幅は35㎜と定着しました。

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側面や斜位ではやはりおしとやかです。骨の形態と口唇、鼻のバランスが整いました。下方からの画像で鼻の形もすっきりしました。
ところでそこで、鼻翼幅35:鼻尖幅20㎜です。2対1が適切です。鼻尖の下ももっと下げたいし、矢印鼻にすれば更に白唇がすっきりします。当初から念頭にありました。

こうして3ヶ月空けて鼻尖の手術をすることになりました。耳甲介から10×13㎜の軟骨を採取し、10×8㎜のダイヤモンド型と10×2〜4㎜の台形の2枚に切り分けて重ねます。ダイアモンド型のは鼻尖に、台形で帯状のもう一枚は鼻尖の頂点から鼻柱へ入れます。

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上に術前の画像=口唇短縮術+口角挙上術+鼻翼縮小術後です。

下に術後3ヶ月の画像。

DSC00121DSC00121DSC00128 鼻尖がつんっと高く小さくなりました。何と素敵な口元=鼻〜口(歯槽と口唇)〜頤でしょう。

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斜位像では鼻柱は鼻尖に隠れています。側面像でも鼻柱は鼻翼に隠れています。つまり鼻尖は下方移動して鼻柱は下方移動が少ないのです。いきなり患者さんに「鼻柱は下がりましたか?。」と訊かれて私は「途中までは1㎜程。」と断言しました。すると患者さんに「鼻柱から鼻唇角に入れた方がいいですか?。」と訊かれれば、私は身を乗り出し「ええプロテーシスなら可能です。」「最近流行りの様で、ブログに何例か載っています。」と押し売りすれば患者さん「見ました。」「いいですね。」と乗り気です。でも考えてみたら、鼻柱の傷跡がが落ち着くまでは鼻唇角プロテーシスは出来ません。もう一度白唇短縮術の傷跡を切りたくもありません。術後3ヶ月で検討する事を約し、「お楽しみに!。」と言いました。

ここまでこれまでの手術の画像を載せました。これまでの手術の結果に大変お悦び!。鼻尖は見事に綺麗に下方移動し、ツンッと高くなったのですが、自然状態にもあり得る形態的変化は”いかにも感”が全く無く、普通の美人鼻になりました。患者さんには「下顔面は先生の名作ですから。」と言われました。私は骨は治していません。でも手術の経験がありますからその内容を知っているから、軟部組織の手術のデザインを決定出来るのです。とにかく斜位像でも側面像でも、美しくも優しい口元です。

ですがやはり、鼻尖だけ下方移動して鼻柱を下げていないし、白唇を短縮した為に創跡がわずかに谷線になった結果、鼻唇角が鋭角です。患者さん自身は「鼻翼との位置関係が・・・。」「鼻唇角の角度そのものと言うよりは・・・。」と的を得た希望を述べられます。私が横から見て「鋭角です。少なくとも直角までしたいですよね。」と示唆するも「鼻唇角に丸みが欲しいのです。」とこれも的を得た希望を述べられる。鼻唇角プロテーシスの診断を単純化して、角度だけで見て来た私の観点よりも、精細な観点を持った患者さんです。これまでも何度も記して来た様に、美人は美的観点が豊富で詳しいのです。その点は私の見立て通りです。

続けてサイズを検討します。私も最近では”入る物”と言うだけでは飽き足りないのです。実は韓国で流行らせてくれたもんだから、私に罹る患者さんも増えました。そうなると、より複雑な診療をしないと気が済まなくなるのが私の性分です。まず鼻中隔の先端から鼻柱基部=鼻唇角までの距離を触診で探します。平均で3㎜です。ここから何㎜下げるかは希望に応じますし、鼻翼基部との上下位置関係も計測して、少なくとも水平まで持っていきたいと言っておきます。矢印度は希望に依りますが、本症例は鼻尖を下げているので、水平で良しとすると考えます。

3㎜で鼻中隔に突っ返させて、最低2㎜下げ、喰い込むのを計算してプラス1㎜、合わせて最低6㎜以上の物を用意しましょう。結局は術中に入るサイズを決めます。もう一つ患者さんは知っていました。「下の方が反っている様な形がいいんですか?。」私は一瞬答えを探して「ANS(脚注3参照)に乗せるので、底は載せられる様に大きくします。潜り込む部分なので形に影響しません。」と言いながら「アッ、骨どうなっているんだっけ。」とカルテをめくって確認し、「分節骨切りならANSは触っていない筈です。」と言うと、患者さんは「3番から3番までを後退しました。骨は動かしました。」と詳しい!。私も負けずと「分節骨切り術はケーラー法と言って、歯槽骨から歯肉を剥離して骨を動かしますが、ANSまでは剥離しませんから大丈夫ですね。」と説明します。「もしそこに瘢痕が在るとプロテーシスを入れるポケットを作り難い訳です。ルフォー,Le-Fort の後にしたときは大変でした。」

もう一つ「切開は上口唇短縮術のも使えますが、やはり創跡が拡がるといやなので、鼻孔底から行きましょう。鼻柱の傷跡より下だけで出来ます。」とこれまでの傷跡を視認しました。これまでに上口唇短縮術時に同時に鼻唇角プロテーシスを入れた症例をブログで見た様ですが、今回は別々の手術なので別ルートが適切です。

敢えて言えば、鼻尖を下げたのに鼻柱が下げ足りないから鼻唇角プロテーシスを必要としたのですから、私の治療行為の不足に対する追加だろうと言われても反駁出来ませんが、別々に、しかも鼻唇角はプロテーシスを追加した方が、より良い結果が得られるのです。たぶん本症例の患者さんは理解しているし、当初に説明したかも知れません。

そして早速鼻唇角プロテーシスを挿入しました。とはいっても鼻尖手術から3か月を経ました。鼻柱の傷跡が安定するのを待ちました。

今回の鼻唇角プロテーシス挿入術の画像を術前、手術直後、翌日の順で各方向載せます。

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術前には両側鼻翼と鼻尖の高さ=上下の位置関係は水平より約1㎜鼻尖が上でした。術後は両側鼻翼よりも鼻柱基部=鼻唇角の方が下にあります。手術翌日の画像はやや下方から撮りましたのでさらに下がって見えます。

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近接画像でも同じような変化です。

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この手術は側面像が重要です。ただし、顔の向きがそれぞれ違います。なので、E-ライン=鼻尖と頤を結んだ線を基準にして見てください。鼻唇角は術前に約75度だった。手術直後は腫脹でどんどん上向きになっています。約120度です。翌日はさらに増えました。しかも腫脹が白唇にまで波及してモッタリします。なんでも侵襲後は48時間がピークです。

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斜位像も角度が統一できませんでした。でも手術直後の鼻柱の指す方向は綺麗でしょう。鼻柱がまっすぐでなく後方が湾曲しているのが丸みと捉えられる形です。

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下面像は傷跡が見えないのを示そうとしたのです。鼻柱に横断する傷跡がありますが、これより後ろの右の鼻孔縁を切開しています。見えません。

今回は術前と手術直後と翌日の画像を並べました。手術中は局所麻酔で膨隆していても、切開し、ポケット作成の為に剥離していると戻ります。視野が狭いので電気メスによる止血は難しいので、圧迫止血だけですし、挿入すれば圧迫止血になります。でもやはり術直後から出血が腫脹に繋がっていきます。本症例は上口唇短縮術をしていますから、剥離腔(プロテーシスの挿入のためのポケット)は傷跡の深部です。実は術中に傷跡を痛めないように注意を要しました。術後像を診れば、もちろん拡がっていません。でも私は、上口唇短縮術で口輪筋上まで切除しますから、深部にも瘢痕があります。瘢痕は鈍的に剥離すると、毛細血管が豊富なので出血します。術後に剥離腔にジワジワ出血してそれが腫脹亢進に繋がるのは仕方ないのです。

アッ忘れていた。手術の説明をします。右鼻孔縁とは、鼻孔の入り口には環状の土手がありますから、その後ろ約3〜5㎜を切開すれば傷は見えないのです。切開すると、鼻翼軟骨内側脚があり、それを前の皮膚に着けたままま剥離します。剥離は鈍的にANSに向かっていけば当たります。骨切りの影響はありませんでした。そこからは対側=左鼻孔縁の右の切開と同じ範囲に向かって剥離を拡げます。左鼻孔に指を入れてつきやぶらないように注意します。上は鼻中隔軟骨の先端まで、前は鼻柱内は前回の線状瘢痕の直下まで、これでほぼ円錐型のポケットが出来ます。ここからプロテーシスを作成します。台付きL型プロテーシスの台だけ頂いて、面取りして四角錐上にして前は湾曲させます。結局目分量で見た目に入るものは前後最大7㎜としました。一回入れてみて、スムースに入りました。縫合は切開線の両端から行い糸で長軸方向に引いてまっすぐにしながら青ナイロン糸を全6針しました。中央にあることを確認したら、外からの固定はしません。患者さんの希望に沿ったデザイン通りにできたと思います。

次回術後1週間で抜糸後に画像を戴けます。腫脹が軽快しているでしょう。したがって形態的によく判るでしょう。お喜びの声も聞かれると思います。お楽しみに!

術後1週間で抜糸しました。

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白唇部の腫脹はまだ残っていますが、重度でなく、気にならないそうです。鼻柱が隠れていたのが、見える様になって自然な形で、気に入っているそうです。

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斜位像や側面像での口元の印象は素敵です。品があります。下から見ても傷は見えません。患者さんは「ブログによく書いて下さって有り難う御座います!。」と仰って帰りましたが、私は「いやいや○○さんが素敵な人ですから、ありのままの事を書いただけです。」そうです。外面的によく出来ていて、内面的にも美しく明るい患者さんですから、そのままを写し取っただけです。

まだ少々のダウンタイム中です。ちょっと変わります。今後の変化が楽しみです!。

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鼻柱は丁度良い下がり具合です。鼻翼と水平位置にあります。丁度良いのは鼻柱が下がり過ぎると相対的に鼻尖が上になり、野暮ったくなるからです。

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側面像での鼻唇角は直角に等しくこれも丁度良いと思います。上と同じ意味で鼻柱前方が上になり過ぎると鼻尖が上を向くから野暮ったくなります。白唇の傾斜に因りますが鼻唇角は直角が丁度良いと考えます。

今回下面像は口周り全体像を載せました。この距離では創跡が気になりません。

次回術後3ヶ月で口周りの形態は「完成!」となりますでしょうか?。

術後3か月で来院されました。「完成!」と宣言しようと思ったのですが、なんと!、”飛び火”に罹患されたそうです。

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それもやはり創跡の線は弱いので出血しました。

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患者さんは慣れたもので、「薬塗ったら治って来ました。」ですって。私「やはり創跡の皮膚は弱いのですね。とびひは菌そのものが傷めるだけでなく、免疫反応も関与します。創が治る機転では免疫反応も亢進するので、やはり影響を受けるのでしょう。」とか難しい説明を返して「いや参りました。画像使えないし、手術の影響だから申し訳ないし・・。」と許しを請う様に述べた上に「綺麗に治るか?、傷跡が傷まないか?、診ましょう。」とお願いしてもう一度診るチャンスを頂きました。

という訳で次回術後3ヶ月+@で魅せてもらえます。綺麗になるといいな・・!。

という訳で診せてもらいたかったのですが・・・。何と!、緊急事態です!。結果患者さんはこの約3か月間は外出を控えていました。術後約半年で来院されました。

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幸い”とびひ”は治りました。私はその事に触れる事も無く、患部に触れましたが、異常は認めません。跡もありません。位置も適切で、形態的には鼻翼基部と鼻柱基部の高さが水平化しました。正面から見えなかった鼻柱が見える様になりました。尚、鼻唇角プロテーシスは右の鼻孔内から挿入していますが、創跡は下から見ても判りません。

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斜位像や側面像でかすかに鼻唇角が見えます。白唇にC-カールがあるのに、その角度も直角になりました。素敵な口元です。下面像でも鼻とのバランスは取れました。

と話していたら、「人中部白唇を・・、足せますか?。」と話しが飛びました。慌ててカルテを診直します。(考えたらこの版のブログには初回から載せてきました。カルテより要約されています。)骨切り後の白唇長21㎜でストンとしているのを5㎜切除。1㎜ずつ寄せました。現在16㎜で後戻りはゼロです。

私はいつも、「15㎜以下ならすっきりします。」と言い放ちますから、患者さんは覚えていたのでしょう。「追加切除は出来ますか?。」と訊かれました。直ちに用手的にシミュレーションします。指で引き上げて、口を閉じてもらいます。力を抜くと歯が出るのですが、閉じられます。4㎜切除可能と告げました。2回目の傷跡は創傷治癒に時間が罹るかも知れないし、切り難いけれど、容認してくれる症例を選べば出来ます。私は丁寧に縫合します。

また前回1㎜ずつ寄せて、人中は深く狭く、弓も綺麗です。赤唇も厚くなり、無かった結節(上赤唇中央の膨らみ)も出来て、前を向きました。そうして見ていると、この唇(口元)はセクシーで可愛くて、私を魅惑します。ならばもう一回寄せると(段階的に)更に魅力を加えられると考えます。

手術予定も立てていきました。その際もブログ提示を承諾されました。本症例の患者さんは優しく魅力的ですから、楽しみがまた増えました。お楽しみに!

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。鼻翼縮小術皮弁法は28万円+消費税。鼻尖軟骨移植2枚で35万円+消費税です。鼻唇角プロテーシス挿入術は15万円+消費税です。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。