2014 . 6 . 25

電磁波って何?!. LASER:レーザーは光です。光は電磁波です。Ⅲ

やっと、美容医療の分野となりました。医療分野でLASERは有用性が高いのは前回までに説明したとおり、光を人為的にコントロールすることで、光エネルギーを熱エネルギーに変える際に、使い易さを備えられる用意なったからです。

もう一度その特徴を説明すると、1:小さな範囲に高いエネルギーを集中できる。2:直進性が高いので照準が外れない。3:色特有に効かせられるので、身体の各組織別に効かせられる。

この結果、様々な種類の医療用LASERが開発されたのですが、内臓や体内の手術では、そこに到達するまでの技術が必要ですし、ターゲットだけを焼くのには、技術がいるので、専門的な各分野での有用性は限られているようです。美容医療では、皮膚表面や皮下組織に対して何らかの熱作用を加えることが求められるからです。

具体的に説明を始めます。

皮膚の表面に何か邪魔なもの、例えばほくろやイボがあるとき、これを切り取ることで取れますが、大きな穴なら縫う必要があります。通常3~5mのサイズなら縫い縮めるほうが綺麗です。それ以下では切り取りっぱなしで患者さんの身体に任せて再生させても綺麗に治ります。でも切ると、出血します。これを止めるのに結局焼かなければなりません。そこで、LASERの出番です。LASERでは、黒いほくろは熱で煙と水蒸気に出来ます。これを蒸散といいます。同時に傷の中にある毛細血管も焼けますから、まず出血しません。だから、ガーゼなんかも入りません。ただ穴の中に軟膏を詰めておくだけで帰れます。CO2レーザーがよく使われます。これは、上記の1:小さな範囲に高いエネルギーを集中して、周りに余計なダメージを与えない特徴を持ってできる有用性ですね。同様に上記の2:照準が小さくできて、周りにダメージがないというのも、見える皮膚という部位に対する際のLASERの長所です。

皮膚の表面に見た目に邪魔な色が生じたら、例えば、メラニンの過剰であるシミ、茶あざや赤あざ(血管腫等)です。これらの多くは、面を持っていて、サイズが5mm以上あるので、切ったら縫わなくてはなりません。色だけ消したいのに皮膚を切る、削るなんて誰もしたくないですよね。そこでLASERの出番です。上記の3:色に合わせたLASERなら色を持ったやつだけを焼けるという訳です。つまり、メラニンに当たると熱エネルギーになる波長のLASER光を選べば、周りの皮膚の組織(材料)にダメージを与えないでメラニンを焼けるということです。シミの場合は焼けたメラニンは、角質(垢)となって剥がれます。やや深い茶あざの場合、焼けたメラニンは異物反応(免疫の一部)で体内から排除されます。メラニンは黒く、皮膚は白っぽいので、色選択性が高い訳です。

よく言うのですが、小学校の時実験したと思います。太陽光線をレンズで集光して、黒い紙に充てると燃えて、煙が出る。白い紙に当てても何も起きない。LASERも光ですから、これと同じように黒いものが燃えやすいのです。服だって、濃い方が熱いし、車だって黒塗りの車のボンネットは、日向に停めるとすぐに、鍋みたいに熱くなりますよね。

赤あざの場合、違う波長となりますが、やはり、無駄な血管だけが焼け、しかも血管中の血液も熱凝固するので、出血もなく焼けます。これを切除したら出血で面倒ってものです。

LASERの仕組みの有用性の一つとして、出力と照射時間が正確に調節できることでできることがあります。熱緩和時間といいます。どんなに色選択性や、照準が正確でも、標的に生じた熱は周りに広がっていくわけで、これが周りにダメージを起こしては意味がありません。しかし、ごく短時間の高エネルギーの照射なら、熱が周りに広がる前に周囲の組織から冷やされるので周りにはダメージが起きないという仕組みです。これを熱緩和時間(Thermal Relaxation time)といいますが、ナノ秒:10億分の1秒ならほぼまったく標的だけが焼けます。実際シミ取りLASERはそういう機械です。マイクロ秒:100万分の1秒なら、周囲のコラーゲンが熱を受けて収縮する程度なので、脱毛LASERなどはこの単位の照射時間です。

もうひとつ、深達度が出力と波長に依存して調節できます。光は薄い皮膚なら通りますよね。要は光の強さと組織の密度の問題ですが、LASERは皮ふ表面から当てるとミリ単位までは到達します。さすがに、センチ単位までは到達しません。組織に当たると、少しずつ光エネルギーが熱エネルギーに変わっていって減衰するからです。皮膚の層の厚さは、表皮(角質と細胞の折り重なった層)で0.2~0.4㎜程度ですからここにあるシミに対してはお手の物です。真皮(コラーゲンと毛細血管の層)は1~2㎜程度ですから、深いあざやしみ、血管腫などにも届くわけです。ちなみに刺青もこの層ですから、強く当てれば墨は黒いのでよく焼けるのです。(焼けた墨は異物となって排除されます。)また、毛は真皮の直下に毛根があって、これを焼けば脱毛になるので、脱毛は、LASERにとって、お手の物です。しかも毛は黒いので色選択性からして、周囲のダメージなく焼けます。日本人の毛は黒いので、よく効くのです。

皮膚は表皮と真皮からできていますが、その下の皮下脂肪層や筋膜層(顔面ではSMASといいます。フェイスリフトに利用されます。)まで届かせる事も出来得ます。そうすれば引き締め効果が得られてアンチエイジングにもなり得る訳ですが、さすがに皮膚に強いダメージを与えることはできないので、柔らかい効果です。敢えて、強いダメージを深く点状に与えることで、深達性の効果を得ようとするLASER機械もあります。フラクショナルレーザーなどがありますが、小さくても創を与えるので赤みが出ます。Ablative LASER(削るLASER)と言います。でもコラーゲンの再生はよく、毛孔引き締めとか、ニキビ跡には効きます。

いろいろな機械の原理を説明しました。いくつかの仕組みはお解りいただけたでしょう。でも機械の種類はたーくさんあります。全機そろえる訳にはいきません。

大阪いけだクリニックに備えているのは 脱毛レーザー:レーザーフェイシャル(まばらな色素にも効きます。)にも使います。YAGレーザー:コラーゲンを引き締めます。CO2レーザー:小さな病変を焼き削ったり、表面だけを削ったりできます。Qswitched YAGレーザー:黒いものだけが焼けます。但し、後二者の場合照射後肌色テープが必要です。

銀座院=東京皮膚科・形成外科には上記+@がありますが、詳しくは問い合わせてみてください。

長々とレーザーの説明をしたのですが、まだまだ足りないかもしれません。レーザーは機械がする治療ですが、選ぶのは私達医療者とみなさんです。つまり頭を使って治療するということです。

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