2016 . 5 . 3

ハムだかソーセージだか知らないが、これは治したい。難しいんです。

こうしてしまうと修正が難しい。それでも少しでも良くしたい。当然症例患者さんは求めて迷い歩きます。運よく当院に辿り着いたので、私は「これは困りますよね。どうにかしましょう。」と、問いかけました。

症例は26歳、女性。5年前新興の(若い=経験不足)美容皮膚科的クリニックで重瞼術埋没法を受けたのち、眼をもっと大きくしたいとの希望で再診したら、何故か切開法でやたら広い二重にされた。

8mmで切開されていて、LF11mm。眠そうでハム状態と見える早速症例を提示します。左が術前、右が術直後です。

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実は、切開手術の術後修正は、一般的には切開法の適応です。もちろんそのように提案しましたが、取り急ぎ少しでも良くなるように切らない眼瞼下垂手術=黒目整形=NILT法を試行しました。

今回は症例の紹介だけにしようと思いましたが、簡単に説明します。 ハム状態とは、ボンレスハムみたいに、糸で縛ったように重瞼の食い込んでいる状態を言うそうです。私はハムスターの目、ハム太郎の目に似ているからだとも思っていたんですが、症例患者さんに聴いたら笑われました。ソーセージの節の縛りみたいじゃ話にならないので、ボンレスハムをたとえて言うのだそうです。

何がそうさせたのか?、もうお判りでしょう。若い経験不足の美容整形屋=非形成外科=たいていチェーン店出身の医師がやってしまうんです。ひとことで言って下手!。

医学的に説明すれば、3つの要素が重なった結果です。

まずデザイン:瞼板の高さは日本人では最高でも8mmです。瞼板の上縁にある挙筋腱膜から前に枝分かれするコラーゲン繊維が二重の引き込みを作るのですが、つまり瞼縁から8mmの高さまでの皮膚を引き上げる構造が二重まぶたです。コラーゲン繊維の代わりに糸で代用するのが埋没法で、瘢痕のコラーゲンを作って構造を作るのが切開法です。ところが、皮膚側を8mm以上にデザインするとどうなるか?。重瞼縁の下の皮膚が余ります。これがたるむというか膨らむのがハム状態の一態です。 膨らむのはもともと眼輪筋が厚いのも原因となります。厚みと喰い込みの段差が目立つからです。

次に固定が強すぎるためというか、近すぎるからです。皮膚表面から挙筋腱膜までは深さというか距離があります。ばらつきはありますが、約5mm前後です。ですから繋げるのに、長さを持って結びその面に瘢痕性のコラーゲン繊維ができてくるようにするべきです。ところがそれでは瘢痕がうまくできないときもあります。私も経験があります。要は匙加減です。私も美容外科医師歴28年間試行錯誤してきました。若い医師は緩すぎて外れると怖いのできつくする輩がいます。特にチェーン店上狩りの奴は切開の経験が少ないので、切開法の初心者の頃にやりがちです。昔は取れないように、あえて挙筋や瞼板と皮膚を調節縫い付ける方法を行う医師が多かったのです。父の時代はそうでした。昔の芸能人にハム状態の二重が多いのはそのためです。私は父が存命の頃「いまどきそんな手術したら笑われるよ!」って口を酸っぱくしていました。アッ脱線した。歴史のテーマではなかった。とにかく、距離を持って止めないで癒着させると、眼を閉じても二重になります。これがハムの本態です。自然の二重瞼では、眼を閉じたとき折れ返り線はあるにしても喰い込んでいません。

もう一つ手技上の問題があります。挙筋腱膜を痛めるまたは瘢痕化させて筋力低下を来たす。これは医原性眼瞼下垂といいます。切開法の際に挙筋腱膜を露出しなければ固定できないのですが、その際に挙筋腱膜を瞼板から剥がしてしまった痕をたまに見ます。もちろん手技上の拙さですが、チェーン店では時間のためです。コマーシャリズムのために他の倍の手術量をこなすので、半分の時間で手術するから、ゴリゴリ削ってしまい挙筋腱膜を剥がしてしまうのでしょう。とにかくチェーン店での後の修正例に多いのは確かです。もう一つは、がっちり止めた結果として挙筋腱膜表面に瘢痕面ができたため、スライドしなくなるために眼瞼下垂を呈することがあります。修正時に開けてみるとがちがちに固まっていることがあります。これも医原性眼瞼下垂の一形態です。ところでその結果に起きることは軽度の眼瞼下垂状態です。そのため重瞼線の下のふくらみがより目立つのです。ハム状態を余計に目立たせるのです。

そういう観点から本症例を診れば、「その通り!」と見えますよね。1、重瞼線の下の皮膚が余って膨らんでいる。2、喰い込みが強い。3、軽度の医原性眼瞼下垂である。これについては、前医の術後生じたかは不明ですが、下垂ではあります。

そこで修正法ですが、切開すれば3点を治せます。1、重瞼線の下の余った皮膚を切除する。膨らんだ眼輪筋お削る。2、固定を一度剥がして距離を持って止め直す。3、眼瞼下垂を治す:剥がれているなら挙筋腱膜を修復する。瘢痕性に弱いなら、短縮を加える。

そして、埋没法といっても切らない眼瞼下垂手術=NILT法なら、1、の切除はできませんし、2、の固定を変えられませんが、3、の下垂だけは治せます。現にシミュレーションしてみると、ハムを半分隠せます。眼を閉じたらおんなじですが、眼を開いたら目立たなくできました。そして、上の載せたようにできました。術直後は喰い込みはむしろ強いのですが、必ず緩んで丁度よくなります。そこんところはベテランの私たちを信頼して頂いています。次週以降の遷移をお楽しみにしてください。なお本症例もいつかは切開して根本的に治したいそうですが、ダウンタイムを要するのでいずれ、っということになっています。

ついでですが、普通の二重瞼の女性の目を閉じたままの画像を頂きましたから提示して見ます。DSC_0083ネッ、重瞼線はあるけれど、眼を閉じたら喰い込んでいないでしょ?。