2018 . 2 . 1

白唇部短縮術と口角挙上術は定番ですが。

口周りの手術のブログ掲示が引き続いています。口周りの手術は最終兵器ですと申し上げてきましたが、考えが変わりました。患者さんに取って、口周りの手術が最終兵器なのではなくて、私が患者さんに取っての最終兵器として使われてきました。言ってみれば、私は駆け込み寺みたいな所です。そこでブログ提示症例だけでなく、口周りの手術症例を見直してみました。するとあるわあるわ。約半数の症例は予め他院で手術されていて、その目的は様々ですが、二次修正も兼ねての症例でした。いくつかの例を挙げますと、創跡の問題や、創跡の位置の問題。不適切な手術選択に対する適正な手術の要望。デザインミスに対する修正。不適切な医師に依る治療の結果の後戻り等々です。アッといけない。私の初療後に切除不足で追加手術した例もありました。その症例は満足されましたし、今やSNSの世界では好評判となりました。

そうです。またぞろ二次的な手術です。今回は口囲と言っても、鼻唇溝(法令線とは人相学用語です。)を切除されて創跡が目立つから、同術術野で創跡修正することです。口周りの手術は適切に手術法の適応を見出し、丁寧に巧く手術しないと良い結果が得られないのです。

症例は42歳、女性。白唇長(鼻柱基部〜Cupidの弓):22mm。鼻唇溝を他院で切除している創跡が谷になり却って目立つ。内眼角間36㎜:鼻翼幅36㎜:口唇幅49㎜と口が小さい。上顔面72㎜:中顔面:60㎜:下顔面62㎜と下顔面が冗長で、上口唇(鼻柱〜交連)25㎜:下口唇(交連〜頤)39㎜と5:8より上口唇が長い。鼻唇角が喰い込んでいて、鼻翼よりも低いから鼻唇角にプロテーシスまたは軟骨移植の適応でもある。

現在私は、白唇部は5mm切除を最大限にしています。人中部だけ6mmにして弓を強調したい希望。外反は術前より少し欲しく、それに対して口輪筋の上で切除する手術を示唆しました。口角は目尻と頬骨隆起の中間に向けて約30度方向に5×10㎜の皮膚切除で、口角を横V字に口輪筋ごと外して引き上げるデザインとしました。鼻唇溝は創跡をスピンドルに切除し、頬筋との癒着を剥離して平坦に縫合するプランとしました。

先ずは術前とデザイン後の正面像を供覧します。上に述べたデザインです。

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下に術前の斜位像と左側面像も載せます。

IMG_0283IMG_0284IMG_0290左は手術直後の正面像。下に斜位像と側面像。

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いつも言い訳がましくなりますが、術直後の画像はすごいことになります。口周りは血行が良い部位なので後出血も完全に止まりません。腫脹の強い部位であり、形態変化も明確に見出せません。運動機能の低下のため静的形態も動的形態も出来上がっていません。でも必ず意図した形態に変遷していきます。数多くの経験から判明しています。だからこの手術は、私の様に熟練した形成外科医の技術を丁寧に駆使して、口周りを多く手術してきた美容外科医の経験と診断技術を持ってするべきです。

そして数多くの症例提示をご覧になった患者さんが引っ切りなしに来院されます。平均で週に三例は施行しています。残りは眼瞼や鼻の手術やスレッドリフト術です。口周りの手術が多くなったのはここ数年来の傾向ですが、これらの分野は私の好きな手術で、過去50年間父の時代から多いものです。

そこで、口周りの手術の症例提示は術後1〜2週間からのブログが見物です。術直後から載せなくてもいいのかも知れませんが、経過を見せていけば、今後の患者さんにとり、おおいに参考になると考えます。標準的な経過を知れば手術に臨む日程を立て易いからです。本症例患者さんもその次第で手術に臨み、とても参考になったと仰っていました。もっとも口周りの手術はマスクでカムフラージュしているなら歩ける部位です。今が旬の季節ですかね?。

次回の経過をお楽しみにしていただいて説明はその際にします。今回は隣の部位の説明をします。

本症例は先ず、第一段階で不適切な手術を受けた為に、二次修正を追加する必要が出来た症例です。鼻唇溝は溝ですから、ヒアルロン酸等による充填が第一選択です。外側をリフトしても浅くなります。鼻翼を寄せても浅くなります。この上更に鼻唇溝を目立たなくする方法は、何十年も検討されてきました。

昔(約40年前)シリコン注射が頻用されました。シリコンは異物性が高く、反応して周囲がコラーゲンの塊、つまり繊維化し、酷い時には皮膚直下に肉芽を作ります。ゴツゴツ、ブツブツになるのです。胸でも頻発しました。鼻唇溝にしこりを残した例は少なからず見られました。仕様がないので切除に到った症例もありました。忌まわしい過去です。

その後同様に切ってみようとされました。昭和51年に診療科目として形成外科が標榜化されるまでは、大学病院等のトレーニング施設は存在しませんから、美容整形屋が縫うと、きったねえ(切ったねえ?!)創跡になりました。日本はUSAを真似て反知性社会なので、形成外科の啓蒙が進んでいません。創の縫合は形成外科医が行なえば最高の結果が得られます。でも形成外科医である私でも、鼻唇溝は切除縫合して良好な結果をみせる自信がありません。谷を平坦にするのは難しいからです。本症例は深く谷に縫われたので、少しでも浅くする目的で再手術しました。

30年くらい前にコラーゲン、その後ヒアルロン酸が充填剤として使われ始めました。吸収性ですから、繊維化の危険はありません。現在まで硬さと持続性の改良がなされ、多くの種類が使われてきました。現時点でももちろん主要武器です。ところが非吸収性を謳う生体親和性の低い材料を使たがる輩が出現します。それは患者と医師の人情というものですが、いつの時代も危ない端を渉りたがる輩が居るものです。その度に問題が表面化して話題になるのですが、反知性社会では名前を変えて広告宣伝して、使い回しする医師もいますから、注意しましょう。

鼻唇溝の治療は吸収性充填剤が絶対適応です。敢えて非吸収性充填剤を使っても、異常反応を起こすのは小率で、肉芽繊維化して仕様がないときだけ切除は適応です。いきなり鼻唇溝を切除縫合するのは止めましょう。ましてや、熟練した形成外科医以外(特にチェーン店)が施行したら、それは犯罪行為ではないでしょうか?。

これまで再三再四述べてきた様に、見える部位の美容形成外科手術は、形成外科専門医が行なうべきです。最近形成外科医の在籍しないチェーン店系美容外科屋では、口唇短縮術を奨めなくなりました。創跡が目立つクレームと、その結果として数字的に後戻りが露呈したからでしょう。止めてくれるならそれはそれで良かったのですが、あくまでも自粛に過ぎません。これまでにそんな輩を野放ししていた日本は残念な国ですね。このブログの読者の皆さんなら認識されていることと思います。

口唇短縮術(白唇部切除術)と口角挙上術の組み合わせ手術=いつものやつですが、今回は鼻唇溝の創跡の修正手術を併施しました。残念な件が横行しているので、敢えてその点にコメントを加えました。読者に取っては余計なことかも知れませんが、患者さんに取っては切実です。丁寧に綺麗に縫合しましたから、次回以降の経過をお楽しみに!