2019 . 9 . 27

診察の結果、眼瞼下垂手術及び重瞼術の切開法には目頭形成術併施が適切です。

本症例はこのブログを観て手術に到りました。実は当東京皮膚科・形成外科の他の医師が読む様に薦めてくれたのです。患者さんは品川院を受診して前医が診察しました。目頭形成術の適応であり、患者さんも希望されたのですが、前医は最近美容外科診療を始めたばかりで説明のしようがなく、私のブログを見る様にすすめました。患者さんが早速画像を視たらその症例も結果が素晴らしいので、希望に萌え、すぐ銀座院を受診し私に罹ったそうです。実は私の医師としての姿勢が問われたのでしょう。

美容外科診療や形成外科診療に於いても、初診時の診察はまず病歴聴取から入ります。他の科目と同じです。

どの様な目的を持って来院したのか、何を治したいのか、何を情報のソースにしたのかなどから聴き始めます。主訴とか病歴です。

眼瞼なら産まれつきからの形態と機能の変遷。これは既往歴です。他にも症候群の一部としての先天性疾患を伴っていることさえありえます。大事なことはこれまでの美容医療の既往です。同じ部位を下手に触られていると、私でさえ手術に難渋することがあります。

生活状況や職業などや周囲の理解なども聴きます。これは社会歴といって、病気の原因の一つになっていることもあるからです。ある時顔面皮膚に炎症が続く患者さんに職業を聴いたら、有機溶剤を使う仕事でした。治らない職場環境なので適時診療を受ける様に申し上げました。今でも時折通っています。眼瞼なら、パソコンを使う職業の患者さんは自覚症状が重いし、自動車の運転を頻回にする仕事なら、眼瞼下垂症は危険度が高いので治療の優先度が高いのです。社会歴は診療情報の一つで治療法の選択の一助になります。個人情報として隠す人は誤診の可能性さえもたらします。医療に於いては個人情報は診療情報です。診断は病歴と身体所見と検査から導き出します。

同様に家族歴も重要です。これは何度も提唱してきたから読者の皆さんは知っていると思いますが、一重瞼と蒙古襞は遺伝性で、北東アジア人の特徴です。だから親族がどうなのか?。その中でバリエーションがあるはずですから、どの程度の形態的向上と機能的改善を目指すかを考える一助になります。最近ではどう見ても似ている母親が、実は過去に一重を二重に治していて、診断に迷う症例も時にありました。後で聞き返して「なーんだ!」っていうことになり、患者さんが「だから治したいのです。」となれば「そうですね?!」となります。早く言ってよお〜! 話しながら、身体所見を診ていきます。

眼瞼なら計測と検査です。先天的な眼瞼挙筋の強弱を測ります。コンタクトレンズが原因なら、点眼のテストで、一時的ですが一瞬にして改善しますから、手術法もおのずから決まってきます。目の窓は縦横の比率が形態的に問題視されるだけでなく、機能に大きく影響されますから、これも計測しなければなりません。要するに縦に開かない原因が横のサイズ、多くは蒙古襞が原因になっているからです。これも私がいつも提唱してきました。

こうしてやっと診断が下ります。診断とは数ある治療法から患者さんが選択するための一助です。診断を下すのが医療サイドだからといって、こちら側が一方的に治療法を決めてはいけません。 ただし医師側の見解と患者さん側の希望が一致しなければ進めません。さらに手術に到るにしても患者さん側の社会的状況も検討しなければなりません。社会的状況の一つに経済的環境も含みます。通常早く治る切らない手術は高額だし、保険適応の切開手術はダウンタイムが長くなり、つまり反比例します。

時間をかけて診察し、(カウンセリングではありません。医師は診察,Consultation します。)適切な診断の下に治療法を選択していくのですが、近年は画像の提示も一助になります。昨年インターネット上の画像が広告とみなされる様になりました。それまでは広告規制の対象になっていませんでした。だから一部のビジネス的コマーシャリズムを利用した美容外科チェーン店では画像を改竄して載せていました。私は逆にブログ上に術前から最低3ヶ月までの経過を追って載せてきましたから、皆さんに信用されてきました。

すごく嫌な話ですが、Sチェーン店ではそれ以来ホームページの画像が貧弱になりました。彼は偉そうにほざいていたそうです。「インターネットで惹けなくなるのは皆同じ。うちはこんなに潤沢だからTVCMをもっと出せば他には真似できないから、一人勝ちだ!」との事。判りにくい(下に小さく但し書)TVCMに騙される方が悪いんだそうです。

東京皮膚科形成外科グループの品川院は名称を別にしますが、当院と医師は交流しています。本症例の患者さんを送ってきた(送ってきたのではなく、ブログを視る様に教えただけです。)医師は形成外科の経験も短く、美容皮膚科の経験者でも美容形成外科手術の経験は浅いため、私がまず学問的に質問して、知らないことは材料を与えて勉強(座学)してもらい、先日初めて目頭形成術を、私が片側観せて上げてもう一方をさせてみたら、手がゼーンゼン想い通りに動かないのでした。それでは診察にも身が入らないのでしょう。説明も不足だった訳です。

医師の仕事は診療が第一です診察は手順の踏んで細かく聴取しながら身体所見や最低限の検査もしなければなりません。いつも私が記載している計測と検査は行うべきですが、今時は医療的技術がない美容外科医がほとんどです。ちなみに口周りも同様だから私の姿勢が買われています。

症例は、27歳女性。当院受診の10日前に品川院を受診。カルテを見ると、睫毛内反、頭痛等、LF5/4㎜、MRD7/6。先天性、蒙古襞+で目頭切開もおすすめとだけ記載されている。なんと内容の薄いカルテで、しかも計測値がすべて大間違い。そういえば彼女は前も測り方を知らなかったのです。 ブログを見て当院に罹った。

まず私は診断上カテゴリーを4つに分けて捉える様にしています。一重瞼は先天性前葉性眼瞼下垂症です。十年前に重瞼術埋没法を受けている。七年前には切開法。なぜか画像の様に重瞼になっていなくて皮膚が引き上がっていない。病歴聴取は簡単にして、身体所見上LF,Levator Function:挙筋筋力(最近では滑動距離という。目を閉じた位置から上方視までに瞼縁が動く距離)が右13㎜:左12㎜と正常下限値で先天性後葉性眼瞼下垂は認めない。ただしMRDは2㎜以下で後天性はあり得るし、フェニレフリンテストでよく挙がる。 内眼角間(一重まぶたの平均値36㎜、二重まぶたの平均値33㎜)39㎜:眼裂横径(二重まぶたの平均値27㎜)26㎜:角膜中心間(平均値60㎜)65㎜で蒙古襞の拘縮は明白。前葉性眼瞼下垂症の原因の一つである。

相談,consultの結果、前のラインで切開法。皮膚を4㎜切除し挙筋はLT法で縫縮し重瞼固定して、目頭を4㎜のZ−形成術を繋げてデザインして、約3㎜近づけて拘縮も解除し、目頭を下向きから横向にしたい。

画像は術前、デザイン、術直後の順に。

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術前の遠近像。前頭筋が強く収縮して眉を挙げています。IMG_0781IMG_0779

デザイン画像は開閉。

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術直後の画像も遠近。

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上の術前の画像としたの術直後の画像では明らかに違いますが、手術後が正常の機能と形態です。

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手術直後は、腫脹にばらつきがあり、その結果開瞼も非対称になります。術後1週間に画像を戴きますから、お楽しみに!

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まだ右眼瞼の開瞼の強さと重瞼の幅が揃っていませんが、術直後よりは合ってきました。

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三白眼を気にされました。右眼瞼は角膜が下眼瞼縁に接していますが、左眼瞼は隙間があります。その目で上の術前の画像を診たら、右眼瞼も隙間があった。左眼瞼の隙間はもっと幅が合った。つまり改善は診られますが、開瞼の向上に依存します。

三白眼は後天性腱膜性眼瞼下垂症の付随症状です。前頭筋収縮に因る眉の吊り上げは必発です。他に重瞼線の複数化や窪み目や羞明等もありますが、高齢者で重症化した症例に起きます。他にも交感神経の緊張に因る自律神経症状もよく診られます。

本症例に於いては開瞼向上の程度がまだ安定していません。腫脹が影響していますし、意識して眉を挙げない様にしていますから、まだ挙筋と前葉と交感神経のバランスが判りません。必ず開瞼は向上するので今後の画像が楽しみです!

術後1ヶ月で画像を戴きました。

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正面像は遠近。

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近接画像は左右各眼の正面で撮り分けるので、外向きに見えます。実はこの際私が臨時休業していたため、診察していません。そのため動的形態を見ていません。動的に見ないと、眼瞼の機能は見られないので、私のコメントがありません。でも画像を診たところよく開いてきました。近々診察を受けに来院されますから、その後書き加えます。

術後3ヶ月で画像です。

IMG_3174動的な形態は前頭筋の収縮に左右差があり、つまり眉を挙げる程度に差があり(画像上眉の位置に左右差)、重瞼に差が見られます。

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瞼縁の挙りぐらいに左右差があるかはMRDを計測するべきですが、残念ながら、当院のカメラにはリングフラッシュがないために計測不能です。今後導入していきたいと思います。

目頭形成の下の辺が肥厚性瘢痕だったのですが軽快中です。最終的には白い皮膚になります。そのため、今後も更に診察させてもらいます。たぶんまだブログ掲載の継続がされると思います。お楽しみに!

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。